「自分はエンジニアに向いていないんじゃないか」。悩む私をある出会いが変えた~トラウマ・コンプレックスとの向き合い方~ DevLOVE関西 登壇レポート

2025/12/25

2025年9月25日、広く「プロダクトづくり」全般を愛する人たちのコミュニティイベント「DevLOVE関西」が開催されました。

今回のテーマは、「アウトプットを通じて変わったこと、人との出会いを通じて変わったこと」です。

本記事では「トラウマ・コンプレックスを乗り越え、成長への道筋を見出す」と題し、SHIFTモビリティサービス部の田代が登壇した内容をお届けします。

 

  • モビリティサービス部 田代 崚

    2024年9月にSHIFT入社、現在は要件定義・PMO業務を担当。前職は IT完全未経験からエンジニアの会社に新卒就職。開発からテストまで経験するなかで、テスト業務の面白さを知る。社外活動として年間およそ150人の方と1on1を実施し、キャリア形成や悩みに関する相談に乗のったり、自分自身も相談したりしている。夢は「メンバーのポテンシャルを最大限引き出し、全員が楽しく生き生きと輝いて働けるようなチーム・組織をつくる」こと。口癖は「今日も最高の1日にします!」

目次

負のループの末に受けてしまった、実質的な戦力外通告

みなさんは、「自分はエンジニアに向いていないのではないか」と悩んだことはありませんか?私はあります。

その大きなきっかけは、新卒で入社した前職での経験です。前職は開発会社で、私は開発・評価を担当していましたが、新卒2年目に上司から実質的な戦力外通告を受けたのです。

当時の私は上司から課題の改善を求められており、解決策について相談したいと思っていました。

しかし、案件の進捗に大きな問題があり、上司も多忙だったために遠慮して相談できず、関係がギクシャクするようになりました。

徐々に精神的に追い詰められ、できていたことまでできなくなり、さらに指摘される――そんな負のループの果てに、ひとりだけほぼ仕事がない状態、いわゆる窓際社員のようになってしまったんです。

「自分はエンジニアに向いているのだろうか」と悩むことが多くなりました。案件からは離れて、次の案件では問題なく業務をこなせていたものの、この出来事は自分のなかで尾を引いていました。

成長を阻害する、思い込みと慢心が生まれる理由

しかし、ある出会いが私を大きく変えました。私がつまずいている原因を人間学の観点から教えてもらい、前向きになれたのです。

今日は、その方から教わったなかで特に大切だと感じたポイントをお伝えします。

まず、成長に必要なのは「思い込みしない」「慢心しない」の2つだということです。

「思い込みしない」というのは、例えば「こうに違いない」と自己流で突っ走ってしまうと、まわりの意見を聞き入れられないため、改善や成長がしづらくなるということです。

「慢心しない」については「これまで成功してきたやり方だから、同じやり方で自分が失敗するはずがない」と過信すると、当然成長できません。

これらをなくすために必要なのが「素直さ」です。いわれたことを受け入れ、実践する素直さがあれば、思い込みや慢心があっても気づくことができます。

しかし、なぜ思い込みと慢心が生まれるのでしょうか。それは過去に経験したトラウマやコンプレックスが原因です。自分を守るために回避したり、戦ったり、そのなかで思い込みや慢心が生じるのです。

例えば、いじめられたことのある人が、その原因を「まわりからなめられていたからだ」と思い込み、なめられないように強くあろうとした結果、偉そうな態度をとってしまうことがあります。

たしかにいじめられなくなるかもしれませんが、慢心を生み出しかねません。

また、勉強ができないことをコンプレックスに思っていた人は、まわりと比較される環境から逃げたり、「自分は何をやってもダメだ」と思い込んでしまったりするケースもあります。

私の場合に当てはめて考えると、「多忙な上司に遠慮して、相談に行けなかった」という点に、つまずきのポイントがありました。

ここにも、私の過去のトラウマやコンプレックスが関わっています。幼少期から思春期に私は、人と仲良くなろうとして、かえって嫌われたり、人が離れていったりする経験が何度かありました。

そのとき「こんなに頑張っても傷つくだけなら、仲良くしようとするのをやめよう」と思い、人に踏み込めなくなってしまったんです。

いまでも人から負の感情を向けられたり、離れていかれたりすることが怖いと思う自分がいます。そうした過去のトラウマやコンプレックスが、私自身の行動を止めていたのだと気づきました。

苦しみ、焦り、不安を受け入れて、何度も吐き出す

それでは、私はトラウマやコンプレックスとどう向き合ってきたのか。過去の出来事をなかったことにはできません。ですが、心の痛みを最小限にすることはできると思っています。

実践方法の1つ目は、トラウマやコンプレックスの存在を認知することです。いまの自分の行動パターンの原因を理解するだけで、私はかなり気が楽になりました。

2つ目は、トラウマやコンプレックスを他人に開示することです。

最初は、当時のつらかった記憶を思い出したり、他人にどう思われるだろうと不安になったりして話すのがむずかしかったのですが、吐き出すことで心の重荷を降ろせました。

また、繰り返し開示することで、自分のなかでもトラウマ・コンプレックスを徐々にネタとして消化できるようになり、本当の意味で受け入れられるようになったという感覚があります。

自分で受容できるようになってはじめて、傷ついた過去の自分に「大丈夫」と言ってあげられるようになるんだと思います。

ただ、過去の出来事を消し去ることはできないので、いまでもトラウマやコンプレックスが発動することはあります。

特に人前で発表するときなどすごく緊張しますが、その度に「いまトラウマが出ているな」と自分と向き合いつづける日々を送っています。

これら2つのことを実践するようになり、思考パターンも大きく変わりました。

いま振り返ると、前職にいたころの自分は、いいわけと他責ばかりでした。

自分が見たいようにしか物事を見られていませんでしたし、「なぜ周囲は自分のことをわかってくれないんだろう」とも思っていました。

「弱みを克服しなければ」「エンジニアに向いていないんじゃないか」という思い込みもあったと思います。

弱みを強みに変えるチームづくりを目指して

しかしいまの自分は、少しずつ俯瞰的に物事を捉えられるようになって、視野が広がってきました。また、思い込みに気づいたことで、弱みが強みに変わってきています。

私は人に踏み込めないことを弱みだと思っていましたが、裏を返せば相手の痛みがわかる、優しくできるという強みにもなり得ることに気づきました。

つらい経験は、悪いことばかりではありません。新卒時代の経験があったからこそいまの自分があるので、当時の上司には本当に感謝しています。

いまでも、思い込みと慢心に気づいては正していく日々を送っていますが、それらに気づけるということは、自分の現在地やレベルを把握できているということですし、だからこそ成長にもつながるのだと思います。

私は社外活動として、この1年間でさまざまな人と1on1を行ってきました。そのなかで気づいたのは、私自身の学びは、ほかの人にとっても再現性の高いものだということです。

トラウマやコンプレックスの存在を認知し、それを他人に開示することで楽になった人たちを数多く見てきました。

トラウマやコンプレックスがない人、思い込みや慢心をしていない人は、ほとんどいないものです。

ここまでお伝えしてきたとおり、トラウマやコンプレックスから自分自身を解放することで、思い込まず、慢心せず、素直でいられるようになります。

そうすることで思考が整い、成長し、成果が出るようになります。

我々エンジニアは技術を追求しがちですが、どれだけ技術を磨いても思考がずれていると、成果をあげることはできません。

ですが、思考さえ整っていれば、技術は後から勝手についてきます。なので、技術を磨くより先に、まず思考を整えることが大事だと思います。

私のいまの目標は、チームメンバーがポテンシャルを最大限に発揮させ、楽しく生き生きと働けるチームや組織をつくることです。この目標は、今日語った2つの経験をもとに立てました。

1つは、人と深く関われなくなった幼少期の経験。当時は人と関わることに興味がない、面倒くさいとすら思っていましたが、本当は仲間に囲まれている人がうらやましかった。

いまは自分もそうなりたい、いっしょに楽しく成長していける仲間がいるだけで最高だ、と思っています。自分のまわりにも同じ気持ちをもつ人が増えてほしいです。

もう1つは、新卒時代の経験です。当時はすごく苦しみましたが、完璧な人間はいない、誰しも得意なことと苦手なことがあると気づきました。

苦手をなくすよりも、得意なことをさらに伸ばしていくほうが幸せに近づける――そう実感したからこそ、苦手なことの克服に苦しむ人たちを、1on1などを通じて支えたいと思います。

(※本記事の内容および対象者の所属は、イベント開催当時のものです)