新刊「SHIFT流 AI時代のソフトウエアテスト」発売。開発者・PMにも届けたい想い

2026/04/20

激変するソフトウェア開発の現場。AIの登場により開発スピードが飛躍的に上がる一方で、「品質を誰が、どう担保するのか」という問いが現場に突きつけられています。

それに一つの解を示すべく、SHIFTは新たな書籍を出版しました。『SHIFT流 AI時代のソフトウエアテスト』(日経BP社)です。

2019年に発売され長きにわたり多くのエンジニアに読まれつづけてきた 『駄目パターンに学ぶ 失敗しないソフトウエアテスト実践ノウハウ』を大幅に改訂。

AI時代の「品質」と「エンジニアの役割」を再定義した一冊となっています。

「AIがコードを書くような時代になったからこそ、品質を人間の側で考えなきゃいけないというメッセージや人の役割が伝わるかたちにまとめられたと思います。テストエンジニアだけではなく、AI活用と品質の両立や、自身のキャリアに悩む開発者・PMにとって道しるべとなれば」と、広報IR部 広報室 寺山は語ります。

執筆者への前後編にわたるインタビュー記事に先立って、本記事ではなぜいま、新たな書籍を出版する必要があったのか。本書の紹介とそこに込めた想いについて、寺山に聞きました。

関連コンテンツ

  • 広報IR部 広報室 寺山

    行政、メガベンチャー、セキュリティスタートアップの広報を経て、2024年にSHIFTに入社。事業・技術広報として、SHIFTの事業・サービスに関する社内外への発信に取り組むとともに、エンジニアによる情報発信や登壇をサポート。エンジニアと協働しながら社内外のつながりを構築し、新しい価値やイノベーションの創出を目指して日々奮闘している。

目次

前回本を大幅に改訂。いま求められる「AI×テスト」の知見

――今回、日経BP社より『SHIFT流 AI時代のソフトウエアテスト』が出版されましたね。まずはこの企画が立ち上がったきっかけについて教えていただけますか?

寺山:はい。きっかけは、2019年に出版した書籍『駄目パターンに学ぶ 失敗しないソフトウエアテスト実践ノウハウ』の改訂を出版社から相談されたことです。

同書は、非常にありがたいことにロングセラーとなっていました。

もともとは雑誌『日経SYSTEMS』の連載をまとめたもので、SHIFTのメンバーが「アンチパターン(ダメなパターン)」を通じてテストのノウハウを解説するという内容でした。

ありがたいことに、この書籍が長く売れつづけたこともあり、2025年の年明け頃、出版社さんからご相談をいただきました。

ただ、そのタイミングで出版社の方から「SHIFTはAIを使ったテストの取り組みもされていますよね。単に書籍をリニューアルするだけでなく、AI×テストの知見も紹介しませんか?」とご提案いただいたのです。

――時代の変化にあわせて、内容も進化させようという提案だったんですね。

寺山:その通りです。実は2024年の7月に、『日経コンピュータ』でソフトウェアテストにおけるAI活用について取材いただき、紹介いただいたことがありました。

出版社側もその記事を通じて、SHIFTがAI活用に力を入れていることを把握してくださっていたんです。

それが今回の「AI時代の品質論」というテーマにつながりました。

関連コンテンツ

――前作と今作で、一番大きく変わった点はどこでしょうか?

寺山:前作が「個人の職人技の集合体」なら、今回は「当時以上に社内で標準化・形式化されたテストナレッジ集」です。

個人のスキルに依存せず、SHIFTとしての品質の考え方がより統一された状態で執筆できたのではないかと感じています。そこが最大の違いであり、進化ですね。

また、前作ではあえて「SHIFTの本」という色を薄くし、いわゆる技術書として世に出していました。

しかし今回は、企画段階から出版社側とも「テストのトップ企業であるSHIFTが考える品質」を前面に押し出すという共通認識がありました。

ナレッジ共有や標準化がさらに進んだことで、SHIFTの品質を誰でも語れるようになったことは、組織としての大きな進化です。

一方で、執筆者一人ひとりがプロフェッショナルとしての誇りをもち、文章の端々にそれぞれの「譲れない品質へのこだわり」が滲み出ているのも、本書の魅力だと感じています。

SHIFTが定義する「AI時代の品質論」。新刊における3つのキーポイント

――今回の書籍の内容について、特に伝えたいポイントを教えてください。

寺山:大きく3つあります。1つ目は、先ほどもふれたナレッジの標準化です。

「SHIFTという企業が提示する標準解」がまとまった内容になっている点は、読みどころの一つです。

――2つ目は、やはりAIでしょうか?

寺山:はい。2つ目は、AIとテストの関係性を、書籍というまとまった形で発表できたことです。

これまでもプレスリリースや技術ブログなどで断片的には発信していましたが、会社として「テストにおけるAI活用」や「AI時代の品質への向き合い方」を現時点でどう考えているのか、網羅的に整理した上で発信できたのではないかと考えています。

――単にAIツールの活用法を紹介するのとは一線を画す内容ということですね。

寺山:その通りです。

最新の取り組み紹介として短期的なスパンでの情報をまとめたわけではなく、その裏側にある「テストエンジニアのあり方がどう変わっていくか」というビジョンまで含めて、中長期的な見通しや陳腐化しにくい情報をまとめるように工夫しました。

――3つ目のポイントも教えてください。

寺山:3つ目は「品質の再定義」です。AI時代において、ソフトウェアの品質をどう捉えるか、人間は何を見て、AIに何を任せるか。

この「AI時代におけるソフトウェアテストの意義」と「人とAIの役割分担」の言語化ですね。

テストのことはAIに全部任せればいい、というわけにはいきません。時代にあわせて変わるテスト手法と比較して、品質保証の根幹は変わらないものです。

このバランスをSHIFTとしてどう捉えているか、書籍全体を通して伝えています。

――その3つのポイントを、本のなかでどう構成・表現しているのでしょうか?

寺山:本書の構成は、大きく4章仕立てになっており、そのなかで網羅的に解説されています。

1章は、「AI時代のテストエンジニアリングの新たな地平」。

AI時代にテストエンジニアに求められるスキル、組織変革とは何かについて説明した上うえで、個人・組織のためのスキル習得のロードマップを示しています。

2章は、「AIシステムを対象としたテスト」について。AIシステムを対象としてソフトウェアテストを行う際に必要となる基礎知識を体系的に解説しています。

3章は、「これだけは押さえるテストの基本」。ソフトウェアテストを行う際の基本的プロセスに沿って、各プロセスの役割や必要な考え方、準備事項について解説しています。

4章は、「すぐに使えるテストの実務ノウハウ」。

「テストの生産性向上」、「アジャイル開発でのテスト自動化」、「テストツールにおけるAI機能の活用」など、ソフトウェアテストの実務で活用できるノウハウやTipsを、具体的に解説しています。

3〜4年先を見据えて本質を届けたいから。執筆者選定の舞台裏

――今回、執筆陣の人選にもかなりこだわったと伺いました。

寺山:はい。実は、AIに関するパートについては、弊社の教育機関である「ヒンシツ大学」の講師を務めている林 栄一、永井 敏隆にお願いしています。

※ヒンシツ大学とは:SHIFTが培ったナレッジを言語化し体系化した教育専門機関。ソフトウェアテスト業界著名人の監修テキストと、経験豊富な弊社講師陣により、入門、実践、応用から管理、テスト戦略まで、バリエーションに富んだ講座を提供。

AIの世界は変化が激しいので、すぐに情報が古くなってしまいます。書籍として3〜4年は読みつづけられるものにするためには、普遍的な教育的価値や体系化された理論が必要です。

――なるほど。だからこそ、人材育成の観点で日頃から体系的な講座をつくったり、企業研修を担ったりするお二人が適任だったわけですね。

寺山:そうです。林さんは企業研修を長く担当し、AI人材育成にも向きあってきた方です。永井さんもAIシステムを対象にしたテスト講座を長年受けもっています。

彼らなら、技術の陳腐化に左右されない「AI時代のテストエンジニアのあり方」や「品質保証の本質」を言語化できると考えました。

――一方で、テストの実務パートについてはいかがですか?

寺山:こちらは、国際標準と自社ナレッジを融合したSHIFT独自の品質保証標準「SQF(SHIFT Quality Framework)」をまとめたメンバーに依頼しました。前作の書籍の監修もされているので最適です。

また、もう一名の中村はベンダーでのテスト経験が長く、客観的な視点をもっています。

テスト実務者の視点と、読者の視点の双方から、アップデートに加わってもらいました。小倉にはアジャイルQAの専門家として、AI駆動開発を見据えた品質論を語ってもらいました。

各領域に精通した社内のエキスパートたちに、書籍全体を通じて内容のレビューや監修を行ってもらうことで、内容のブラッシュアップを重ねました。

経歴も社歴も異なるメンバーが集結し、書籍の編集や執筆にあたったのですが、各メンバーの知見がなければ、ここまで充実した内容の書籍にはできなかったと思います。

開発者にこそ届いてほしい。「AIがコードを書く時代」の必読書

――出版後の反響はいかがですか?

寺山:おかげさまで、Amazonのレビューでも星4以上(2026年3月9日時点)と高評価をいただいています。特にうれしかったのは、お客様や購入者からいただいた感想ですね。

一部のご感想をご紹介します。

  • 本書は、品質の本質やテストの役割を深く掘り下げた一冊だと感じた。プロダクト開発においてはスケジュール、リソース、品質という3要素をどう調整していくか考えつづけなければいけないため、「最適化のむずかしさ」については特に共感ができた。これからソフトウェアの品質に向き合う人たちに必要なスキルの再定義が具体的に示されており、参考になった。
  • AIを適切にソフトウェアテストや品質保証に組み込むことで大きな価値を引き出し、品質に対する姿勢をアップデートするための示唆に富んだ内容になっている。
  • 生成AIによるコーディングが一般化するなかで、ソフトウェアの品質維持やテスト設計・実行のあり方について明確な指針を示す一冊。特に初級から中級のテストエンジニアにとって理解しやすい内容だと思う。

「AIがやるからテスト不要」ではない。AI時代だからこそ高まる人間の責任

――『SHIFT流 AI時代のソフトウエアテスト』は、テストエンジニアだけでなく、開発者の方々にも読まれているようですね。

寺山:そうなんです。実は今回の本の内容を一番届けたかった層がそのような方々でもあります。

「AI駆動開発では、テストもAIが行うからテスト工程自体に人間が関わる必要がなくなる」と短絡的に捉えられがちですが、実際は逆です。

AIがコードを書く時代になったからこそ、「何が正しいか」「品質の基準をどこに置くか」を人間が設計し、判断する責任はむしろ重くなります。

なので、この本はテスト専業の人だけではなく、開発エンジニアやPMやPdMの方々にこそ届けたかったし、いろいろな反響を聞く限り実際に刺さっているようです。

「AIに任せる部分」と「人間が担保する部分」、その境界線をどう引くか悩んでいる方々の道しるべになれているのかなと。

――SHIFTが第三者検証のプロとして存在する意義が、このAI時代に改めて問われているわけですね。

寺山:まさにその通りです。AIとの共存を前提としたうえで、人間が担うべき品質保証のあり方を提示できたと自負しています。

テストに携わる方だけでなく、これからソフトウェア品質に本格的に向き合う開発エンジニアやPMの方々にとっての『最初の道しるべ(入門書)』として手に取っていただきたいですね。

まとめ

AIがコードを書き、テスト実行を自動化する時代。しかし、人間が品質を手放せるわけではありません。

私たちには「理想とする品質は何か」を描き出し、AIの成果物を正しく評価する高度な判断力が求められています。

組織としてナレッジを標準化し、AIとの共存を体系化したSHIFTの姿勢が詰まった本書。変化の激しい開発現場において、エンジニアが立ち返るべき「品質の道しるべ」となれば幸いです。

(※本記事の内容および取材対象者の所属は、取材当時のものです)

関連コンテンツ



記事を探す

  • 職種

  • 対象

  • 記事カテゴリー