
SHIFTには、すべての正社員が入社時に参加する研修があります。
この研修は、制度説明や現場に出る際のナレッジの共有研修のための場だけではなく、受講者が「SHIFTでこれからやっていけそう」と思えるように不安を払拭すること、改めてSHIFTの理念に共感してもらうことを主眼としています。
企業規模の急拡大を下支えする入社時研修の担当者に、カリキュラム内容やそこに込めた想いなどをうかがいました。
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トレセン室 室長 髙橋 朋裕
新卒でSIerグループにてSEとして製造業向けのシステム開発やパッケージソフト開発などを担当。2019年にSHIFTに入社後は、主に中途/新卒社員の入社時研修を企画推進。社内のパパママコミュニティをはじめ、社外のパパコミュニティ、NPOでも活動し父親業も楽しむ。
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エンプロイープランニンググループ 野口
新卒で広告代理店に入社し広告運用コンサルを担当。その後商社に転職し、貿易事務を経験。二社目で新人教育を担当したことから人事という仕事に興味をもち、2021年1月にSHIFTのコーポレート人事部に入社。最初に任されたのが中途正社員の入社時研修担当だった。3歳の娘がおり、日々仕事と育児の両立に奮闘中。
目次
SHIFTのカルチャーを根づかせるための5日間
――まずは、SHIFTで行われる入社時研修について、概要を教えてください。
髙橋: これはSHIFTに入社されるすべての方に、職種や経験の長さに関わらず正社員として働くタイミングで必ず受講していただく5日間の研修です。「SHIFTで正社員として働くために通る場所」という位置づけですね。
――入社時研修を行う目的には、どのようなものがあるのでしょうか。
野口:入社時研修の目的は、「SHIFTが大切にしていること」を知ってもらうことです。そこで、まずは下記に示すSHIFTの「クレド(行動指針)」を理解・浸透させることをめざしています。
- ふてくされない、素直に受け入れる
- できないと言わない、できると言った後にどうやるかを考える
- 我々はビジネスの世界におけるアスリートである、脳で汗をかけ
- 楽しいと思えることを提案し、自ら仕事を創りだす
- つらいときこそ、笑顔
これはSHIFTの全従業員にとって「規範となる行動」であり、代表・丹下がいっしょに働きたいと思った人の共通点をあげたものでもあります。創業期につくられたクレドは、現在でもすべての従業員から大切にされています。
クレドについて詳説した、以下の記事もぜひご一読ください。
研修期間中は、必要な資料を掲載してあるポータルサイトを確認する機会がたびたびあるのですが、そのサイトのもっとも目立つ場所にクレドを掲載してあります。
受講者の方がクレドを目にする機会を増やして、親しみをもち自分もそうあろうとする意識をより一層高めるためです。
髙橋:入社時研修では、「SHIFTらしさ」も受講者の方に伝えたいと考えています。これを知っておくと、受講者の方が現場に配属されたときに働きやすいでしょうから。
――「SHIFTらしさ」とは?
髙橋:業務はもちろんですが社内イベントなど、何ごとにも「真剣に」「やり切る」ことが文化として根付いていることが挙げられます。
加えて、数字で日々の活動を把握し、数字をもとに議論するというのもSHIFTらしさの1つ。
データを扱う場面では「分母/分子を明確にする」「単位は細かく」「リアルタイムで見られるようにする」など、細部にまで徹底的にこだわる文化があるんです。
――従業員の「マインドセット」についても、入社時研修では意識されていると伺いました。
髙橋:わかりやすいように「マインドセット」と呼んでいますが、「アンラーン(学び直し)」という呼び名のほうが個人的にはしっくりきます。
アンラーンというと、これまでの経験やスキルを捨てなければいけないのではと考える人がいるかもしれませんね。
ですが私は、アンラーンを「SHIFTのやり方に合わせて経験やスキルを再構築すること」と捉えています。これまでの経験/スキルの「使い方や、自分自身の戦い方を変える」といったイメージです。
SHIFTにとっても、中途入社の方にとっても、これまで築き上げてきたキャリアは財産です。
これらを「SHIFTという環境のなかでどう活かすか」「それによって自身のパフォーマンスを上げ、お客様に価値提供をすることができるか」ということを、入社時研修をきっかけに考えてもらえるようにカリキュラムを組んでいます。

「SHIFT流」を非エンジニアにも体感してもらう
――入社時研修のカリキュラムは、大きく基礎研修と技術研修で構成されているんですね。

野口: はい。上の図では基礎研修は黄色、技術研修は水色で表しています。私が担当する基礎研修のカリキュラムは、以下のように組まれています。
- 労務や法務、人事制度などの組織のルール
- セキュリティやコンプライアンス
- 組織の構造
私たちは、この基礎研修を通して受講者の方の不安を払拭したいと考えています。
「新しい会社で、何をどうすればいいのかわからない」「誰に何を聞けばいいのかわからない」という不安を少しでも減らして、安心して業務に入れるように研修内容を考えています。
髙橋: 不安をゼロにすることはできないと思います。ですが、「なんとかやっていけそう」と期待が不安を上回れば、現場に出たときの姿勢が大きく変わります。
そのための“最初の一歩”として、入社時研修は存在しています。
――エンジニア以外の職種で採用された方も、技術研修を受けるのでしょうか。
髙橋:その通りです。便宜上、技術研修と呼んでいますが、内容はエンジニア向けに限ったものではありません。
むしろ、SHIFTの根っこである「ソフトウェアテスト」を体験して「業務への向き合い方」を肌で感じてもらうことが主な狙いです。
SHIFTには、テスト管理ツール「CAT」とテスト設計支援ツール「TD」があり、技術研修では受講者の方にCATとTDを実際に触って、ソフトウェアテストを実施してもらいます。
品質保証エンジニア以外の職種でSHIFTにジョインした方は、どうしても「テストの体験」と捉えがちですが、ここで伝えたいのはSHIFTが事業を運営する上で大切にしており、すべての業務のコアでもある「生産性」や「標準化」についてです。
そういう意味では、「技術研修=理念研修」と考えてもらったほうがよいかもしれません。
SHIFTは、非IT人材でもテストエンジニアとして活躍できるようテストを標準化し、その結果として生産性も向上させてきました。こうした思考は、あらゆる職種の人にとって役立つものだと思います。
技術研修では、生産性についてグループで考え、改善策を発表してもらいます。お題はその時々で変わりますが、標準化/生産性の枠組みを知り、かつ自身で考える経験はSHIFTで働くうえで非常に役立ちます。
SHIFTの事業範囲も狭く、従業員数も少なかったころの入社時研修は、いまよりもっとテストにフォーカスしたテクニカルな内容でした。
SHIFTの価値観や理念を理解していて、かつテストに興味をもっている方が入社されるケースが多かったため、それで十分でした。
ですが、いまは従業員数も事業も急拡大しています。
多様な考えをもつ社員たちが増えるなかで、「SHIFT流のやり方」「SHIFTが大切にしていること」「SHIFTの強み」を、技術研修を通して全従業員に改めて知ってもらう必要が出てきました。

2025年4月の入社時研修も、多くの方が受講!
野口:入社時研修のカリキュラムは、受講者アンケートや現場の声、SHIFTの内情を反映して少しずつアップデートされています。
実際に、「SHIFTの強みを語る」という取り組みをここ1年以内で取り入れるようになりました。基礎研修/技術研修を通して学んだSHIFTの強みを、受講者同士で説明しあうんです。
技術研修ではテストを体験することになりますが、「強みを自分の担当する業務にどう落とし込めるだろう?」と考えてみてほしいですね。

「やっていけそう」を現場に入っても思い出してほしい
以下は、研修の受講者から寄せられたコメントです。
この規模の会社においてトップのメッセージが迅速に従業員に伝搬できるのは経営陣のブレのなさと全従業員がそれを受け入れられる下地があってこそ。新入社員がメッセージを受け取るための下地づくりに入社時研修が役立つことが理解できた。
クレドを軸とした自律性やスピード感などを醸成できるように聴講と作業をうまく組み合わせた研修で、とても有意義だった。講師の一語一句から、クレドの重要性と実現性を感じました。
これまでいかに自分が生き残るか?を考えて日々を過ごしていましたが、今回の研修で自分自身が尊重されていること、そしてチャレンジを心の底から歓迎してもらえていることがわかりました。SHIFTなら輝けそうです。全力で頑張ります!
――高評価されていることが伝わってきました。今後、入社時研修で取り入れたいことや目標があれば教えてください。
髙橋:現在の5日間のカリキュラムでは、どうしても時間が足りない部分があります。
だからといって日数を増やせばいいというわけではない。いま考えているのは、「現場に出たあとも初心を思い出す仕掛け」をつくることです。
例えば、今年は入社時研修のスピンオフ企画として、決算説明会を同期と共に視聴する、現場での課題や気づきを共有しあう「同窓会」を行います。
入社後しばらく経ってから、「研修で学んだこと」がどんな意味をもつのかを再認識したり、今後自分がどのように貢献していくのかイメージしたりする機会として、とても有効だと思います。
入社時研修はもちろん、その後の仕掛けを通してSHIFTの全従業員がより高いパフォーマンスを発揮し、その結果ハッピーなSHIFTライフを送れるようにしていきたいですね。
――今日はありがとうございました!
(※本記事の内容および取材対象者の所属は、取材当時のものです)