日本一の営業組織になる──。
キーエンス元社長の佐々木道夫がSHIFTの社外取締役に就任したのは2018年のこと(※現在は副社長)。
以来、「活動量を増やす」「顧客接点を多くもつ」「それらの活動をきちんと進捗管理すること」「利益率を高める」の4つが徹底されたことで、営業体制は強化。
上記の“まるで雲をつかむような”スローガンは、次第に現実味を帯びるようになりました。
そして、2024年9月。培った営業力を盤石なものにするため、立ち上げられたのが営業推進強化部 営業推進グループです。
始動したばかりのチームは、これからどのような動きをつくっていくのでしょうか。営業推進強化部 部長の黒澤昌弘、営業推進グループ グループ長の臼井将太に話を聞きました。
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営業推進強化部 部長 黒澤昌弘
キーエンスグループ会社にて、営業推進部門、広告制作部門、マーケティング部門を経験。 公共団体との連携や、セミナー講師、全社重点施策でプロジェクトリーダーを務めるなど、多岐にわたって活躍したのちSHIFTへ参画。BtoBのリードジェネレーションからナーチャリングまで幅広く培ってきた経験を基に、SHIFTの営業力およびマーケティング強化を牽引する。
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営業推進グループ グループ長 臼井将太
キーエンスグループ会社にて、新規営業として年間MVPを複数回受賞し、最年少で東日本エリア営業統括マネージャーを経験。営業組織づくり全般に携わり、その後2022年にSHIFTに入社。ネットサービス業界の担当営業を経て、現在は営業推進グループのグループ長を務める。
目次
全社横ぐしで営業力を強化する。複雑化する営業プロセスを、再現性あるものに
──はじめに、営業推進強化部の業務概要についてお聞かせください。
黒澤:各事業部内の営業チームに対して「成果を出しやすい環境」を提供する横ぐしの部署です。以前より同様の取り組みは行っていましたが、組織変更に伴い、体制を強めました。
我々の部内は3つのグループにわかれています。
契約書や見積書、請求書など書類作成や管理といった事務作業を一括して行う営業管理グループ、見込み客へのアプローチをメインとするマーケティンググループ、そして臼井が率いる営業推進グループです。
今回メインで紹介する営業推進グループのミッションは「再現性を高め、営業組織を強化する」。セールスイネーブルメントと呼ばれるこの考え方は、米国で主流となりつつある考え方です。
属人化など、営業活動に常態的にはびこる課題から脱却するべく、メンバー一人ひとりの生産性をあげるため、幅広い施策を展開しています。
──営業推進グループの詳細に入る前にお聞きしたいのですが。いま、おふたりが感じていらっしゃる「営業活動の課題」は何ですか?
黒澤:本来、シンプルであるはずの営業プロセスが年々複雑化していることですね。
お客様自身がインターネットを活用して情報を集めるようになったことで、商品やサービスを容易に比較でき価格にも敏感になっています。
したがって営業活動においては価格以外の価値提供を伝える必要性が高まる一方ですし、さらにコミュニケーションチャネルも多様化しています。
電話やメール以外にもSNSでの短文のやりとり、Web会議での即時対応を求められるなど、営業担当者はそれぞれのお客様の好みや希望に対応するなかで一貫した営業活動を保たなければいけません。
時代による環境変化が、営業活動を複雑にし、営業担当者の業務負荷も高めていると感じます……。
臼井:SHIFTの場合、提供するサービスもお客様のインダストリーも企業規模も多岐にわたっているため、さらに複雑さを極めています。事業部ごとに状況や課題が実にさまざまなんです。
ここ1年でソフトウェアテストをメニューに加える競合も急増しました。
外的要因、内的要因に影響されない強い組織になるためにも、個人の力量に左右されない、すべての営業メンバーが一定以上のクオリティでセールスできる、標準化の必要性を感じています。
ツールの整備から、一人ひとりのパフォーマンス分析まで。全方位的に営業チームを支援
──あらためて、営業推進グループの概要と実際の取り組みについて教えてもらえますか?
臼井:メンバーは私のほかに営業企画・推進チーム4人、デジタルセールスチーム4人。後者は事業部と連携して新規や既存顧客のアポイント獲得を行なうチームで、今期より私たちのグループに統合されました。
前者の営業企画・推進チームの主な取り組みは3つあります。
1つめは、「営業活動の再現性を高める」ことです。SHIFTの場合は、事業部によってお客様の業種・規模が異なるため、リードタイムを含めた営業プロセスもさまざま。
近年は市場環境の変化によってSHIFTとして提供できるソリューションやサービスも多角化していますし、先ほど申し上げた環境変化により営業の難易度も高まっています。
そんななか営業活動のいわゆる勝ちパターンをみつけ、再現性ある活動を言語化し、営業レベルを底上げするための施策やアクションに落とし込んでいます。
2つめは、「営業支援ツールの運用管理・利用推進とデータ分析」です。
効率的なKPI達成を実現するためには活動量や売上といった数値を営業プロセスと紐づけ、導き出したデータから改善点を探らなければなりません。そのためにもCRMツールをはじめとするデジタルツールの活用、最適化は不可欠です。
さらに、そのデータを使ってパフォーマンスを分析し、次のアクションにつなげる取り組みも行っています。
3つめは、「育成・トレーニング強化」です。新卒や中途メンバー向けのトレーニングプログラムの作成や日々のスキルアップに役立つ勉強会の開催、営業支援ツールの整備・拡充に取り組んでいます。
メンバーがしっかりと武器をもって営業に臨めるようサポートに励んでいます。
こうした取り組みの実績はありますか?
臼井:訪問件数×リードタイム短縮×提案の質、それぞれを向上させることで、新規のお客様開拓数は過去最多クラスとなり、年間4億円規模以上のお客様が売上に占める割合も増加しています。
勝ちパターンナレッジの蓄積とシェアを高速で推し進めた結果が、すでに表れはじめているんですよ。
「営業視点をデータ分析にどう落とし込むか」が“標準化”へのカギ。柔軟性と主体性をもって難題に取り組む
──営業プロセスの標準化やパフォーマンス分析に力を注がれているとのことですが、どのようなスキルをもった方が活躍されていますか?
臼井:「柔軟性と推進力がある」 方ですね。つねにマラソンしているような感覚があるので、考えながら走りつづけられる人が理想ですね。
当然ながら、アウトプットした内容は、各事業部の責任者チェックを経て、現場でしっかり役立ててもらいます。現実と乖離した的外れな分析などありえません。
ただ単にデータ分析が得意なだけでは成り立たず、営業の視点も組み入れながらの全体設計がポイントとなります。
──いまお話しいただいたスキル以外では、どんなタイプのひとが活躍できると思いますか?
黒澤:突発的な業務に対しても余裕をもって接する心、いついかなるときでも楽しめるマインドをもつひとですね。
営業推進グループは担当業務が広く、まだ着手できていないテーマが山積みです。そのうえ、経営層からの要望もどしどし降ってきます。
自らで優先順位を決めて、全力投球できる前向きな姿勢が求められますし、実際、同タイプのメンバーが多いです。
臼井:“変わること”に対する柔軟性も大事ですよね。SHIFTは急成長企業ゆえに、変化が著しい。朝に右といっていたものが、夕方には左になるケースも少なくないので。
一方でグループとして意識しているのが、主体性です。さまざまなレイヤーのメンバーと接する横ぐしの部署だからこそ、視座を変えながら、能動的にアクションすることをつねに意識しています。
──高いスキルと前向きな姿勢が求められるこのグループでの、働く醍醐味は何でしょう?
臼井:SHIFTは、中長期的な売上目標を2,000億円、3,000億円と具体的な数字で掲げ、実現に向け一丸となって日々取り組んでいます。
そのなかで私たちは「いまこれをやっておかないと、次の成長フェーズに達することができない」という経営層の強い思いを受けて、業務に励んでいる。
このことがまず、やりがいだと感じているし、答えのない難題に立ち向かう経験そのものも、自分の価値向上になると確信しています。
──ちなみに、臼井さんは2022年7月に転職されています。なぜSHIFTを選んだのですか?
臼井:会社が急成長しており、かつ提供しているサービスやプロダクトに将来性がある点が魅力に映りました。加えて、品質テストを標準化するなど、仕組みづくりにも長けている。
反面、営業組織はまだ小さく、とてつもない伸びしろを感じたので「過渡期の組織に身を置いて勝負に出るのもいいかな」と。将来的には自分の市場価値や報酬アップにもつながると感じました。
営業=お客様の信頼獲得。まずは、恵まれた環境を活かして一人ひとりのパフォーマンス向上へ
──部として、グループとして今後成し遂げたいこと、目指す方向性についてお聞かせください。
黒澤:やはり会社として掲げる「日本一の営業組織にする」。この一言に尽きますね。
臼井:その実現への布石として、とにかく営業メンバーのパフォーマンスをあげていきたいというのがいまの私の率直な気持ちです。
ニーズを理解し、多くのお客様の信頼をつかむことが‟営業“とするならば、SHIFTはつねに新しい武器をもって、しがらみなくお客様に寄り添える最高の環境。ベンダーフリーで商材は幅広く、AIやアジャイルなど新たなサービスも日々生まれています。
こうした恵まれた土壌を活かしつつ、メンバーのパフォーマンス向上に寄与して、売上が報酬に還元されるようになれば、一人ひとりのモチベーションは高まるでしょう。
そしてさらに上を目指すようになるという好循環が生まれ、強い組織に成長できる。そんな構想を描いています。
(※本記事の内容および取材対象者の所属は、取材当時のものです)