さまざまなペインポイントを見つけて、社内で素早く実装し、外販に向けてスピーディーに機能強化/改善をしていく。
そんなプロダクト開発のプロフェッショナルであるSHIFTのDAAE(ダーエ)戦略部が、現在力を入れているサービスの一つが「ワスレナイ」です。

企業の情シス部門の運用を効率化するSaaS管理ツールで、2023年7月のサービスローンチから約半年で250社10万ユーザーを達成。
ワスレナイに蓄積されてきたデータを活用して新たなるBPOなどのビジネスの可能性も見えてきており、SHIFTの次なる収益柱の一つとして期待されています。
具体的にどのようにサービスが立ち上がっていき、リリースから半年たった現在、どんな展開を中長期的に見据えているのか。今回は、2名のプロジェクトメンバーに話を聞きました。
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DAAE戦略部 DAAEグループ 金城
大学卒業後、独立系ソフトウェア開発会社に入社。主に研究所向けのソフトウェア開発に携わり、要件定義、設計、開発、テスト、保守の業務を経験。SHIFT入社後は流通サービス1グループにてPOSシステムのテスト設計およびテストPM業務に従事。
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DAAE戦略部 DAAEグループ 渕上
グラフィックデザイナー、アートディレクターを経て、広告代理店や事業会社でクリエーティブディレクターとして、コーポレート、事業、プロダクト、サービスなどのブランディング、マーケティングに関わる戦略立案からアウトプットまで、一貫した開発に取り組む。 マスからデジタル、 平面から立体、映像から空間まで、幅広いクリエーション経験をもとに、 課題に応じたソリューションをニュートラルな発想で提案・実行し、ビジネスの推進と価値の変革を提供している。
目次
なぜ、ワスレナイは全機能を無料で提供しているのか
――まず、「ワスレナイ」のサービス概要を教えてください。
金城:簡単にお伝えすると、企業のなかのIT資産を一元管理するシステムです。SaaSとハードウェア、両方の管理ができますが、メインはSaaS管理です。
現在140以上のSaaSサービスと連携しており、ユーザー企業がもつアカウントや契約内容を可視化して、管理における対応漏れなどをなくします。
それにより、不要アカウント削減によるコストカットやシャドーIT※などのセキュリティリスク予防にも貢献します。主なお客様は企業の情報システム部門です。
※情報システム部門などが関知せず、ユーザー部門が独自に導入したIT機器やシステム、クラウドサービスなどのことを指す。機密情報漏洩の原因となりえる。
ーーシャドーITは企業にとって大きな課題になっていますからね…。これらの発生には、どういった原因が考えられるのでしょうか?
金城:やはり人手不足が大きいと思います。企業のITまわりを一元的に担当している割に、増員は基本的に期待できず、安定稼働が当たり前にも関わらず少ない人数でまわしていかないといけません。
企業の規模によっては“ひとり情シス” で奮闘されているケースも多く、突発作業が多発する日々のなかでは、なかなかそこまで管理が行き届かないのではないでしょうか。
――なるほど。ワスレナイの立ち上がりとしても、そのような背景が大きかったのでしょうか?
金城:そうですね。私自身、企画の方向性がある程度固まった段階でPMとしてプロジェクトにジョインしたのですが、情シス業務の大変さを少しでも軽減したいという代表・丹下の想いと、実際に情シスとしての業務経験があるメンバーの経験をもとに、サービスの骨格ができあがっていきました。
機能も重要ですが、それ以上にこだわっているポイントが、すべての機能を「無料」でお使いいただけるということです。
――え? ワスレナイって無償で使えるんですか?
金城:そうなんです。ここは丹下の強い想いもあって、すべての機能を制限なしで無料でお使いいただけるようにしています。
――どんなに管理アカウントを増やしても、ですか?
金城:はい。ワスレナイはIT資産の効率的な管理がメインのサービスではありますが、それ自体で業務の抜本的な改善になるかというと、そうではありません。
業務改善には弊社の別サービスである「情シスコンシェルジュ」がありますので、ワスレナイはあくまで既存の状態を可視化して管理を円滑にするための器として、いまのところはすべて無料で提供するという方針にしています。
「情シス業務がわからない」を逆手にとったUI/UX設計
――ここで改めてとなりますが、お二人のワスレナイにおける役割分担を教えてください。金城さんはPMということですが、渕上さんはいかがでしょうか?
渕上:私はデザインディレクターという役割で、2023年11月くらいからプロジェクトに入っています。
ワスレナイはすでにリリースされている段階だったのですが、引きつづき機能拡張や機能改善があるなかで、いまはUI/UXの提案やデザインディレクション、あとは自分で手を動かす部分まで広く担当しています。
――お二人はジョインされたタイミングが違うんですね。各々、どのようにプロダクト改善を進めていかれたのか、どういった部分で苦労されたかを教えてください。
金城:私はワスレナイのアルファ版ができたくらいのタイミングでジョインしたわけですが、要件や仕様を詰めきっておらず、ユーザーがほしい機能がアウトプットできていないというところからのスタートでした。
開発部分はグループ会社にお願いしているのですが、ユーザー目線での機能などについては齟齬が発生していたため、仕様の渡し方をどうするかというところからはじめました。
渕上:私の場合、「情シス業務がわからない」という部分で苦労しましたね。そもそも情シスをやったことがないので、担当者のみなさまのペインを理解していないという。
アカウント担当からお客様の声が吸いあげられてくるので、そういう情報を参考にしつつも、「わからない」ことを逆手にとって、情シス業務に慣れていなくとも扱いやすいUI/UXを意識して画面デザインなどを設計するようにしています。
あと、純粋にやることが多岐にわたるのも面白いところですね。例えばLPデザインやコピーライティング、シミュレーション機能などのコンテンツづくりもやっています。
――こういうのも渕上さんが担当されているんですね!
渕上:僕が入ったときはまだLPが最低限のものだったので、今後の機能拡張や営業サポートも踏まえて、改修した方がいいと提案しました。
まだ課題感が潜在的なお客様に向けて、顕在化できるようなコンテンツをいくつか企画、メンバーに協力してもらいながら、算出ロジックを含めて私が進めていきました。
何といってもスピード感と柔軟性がDAAEらしい
――プロジェクトを通じて「DAAE」らしさを感じるポイントを教えてください。
金城:何といってもスピード感と柔軟性ですね。よくあるウォーターフォール型のプロジェクトと違って、「これ、追加で実装できたら面白くない?」といった差し込みベースの機能アイデアであっても、優先度が高いと感じたら柔軟に開発スケジュールに入れていくところは、まさにDAAEだなと感じています。
実はプロダクトチームは少人数でぐるぐるとまわしている感じなんです。ほかの関係者としてはテスト関係の方が4名、作業部分でお手伝いしてくださる方が3名ほどおり、アジャイルで進めることができています。
――優先順位をつねに見直して機能実装をするとスピーディーで改善速度がはやまる一方で、システムの部分最適化が進んで全体最適が損なわれるリスクが高まるとも感じます。そのあたりはどうされているのでしょうか?
金城:なかなかむずかしいところですが、現状はまだ圧倒的に機能が足りていないので、全体最適が損なわれるレベルに達していないくらいだと感じています。
もちろん、おっしゃる通りのリスクはあると思うので、ほかのSHIFTメンバーにフラットな目線でプロダクトを見てもらいながら、全体最適を損なわない形での機能実装を意識して進めています。
――なるほど。渕上さんが「DAAE」らしさを感じるポイント、いかがでしょうか?
渕上:スピード重視で100%を求めないところ、ですかね。ここでいう100%を求めないというのは、「成立している状態ではあるが、まずは最低限」という意図です。
はやくSHIFT売上の柱の一つになるために、とにかく実装と改善を繰り返す。個人的には非常に学びも多く、やりやすく感じています。
より効率よく運営する仕組みをつくっていきたい
――最後に、ワスレナイの今後について、みなさまが予定されている取り組みなどを教えてください。
渕上:着実によくしていこうというスタンスのもとで、より多くの導入企業様に使っていただき、ユーザーを増やしていきたいと考えています。
そのためにも、得意領域でもあるブランディングやマーケティングの視点も入れながら、プロダクトの成長に寄与していきたいと思います。
金城:おかげさまで機能面が着々と充実してきているのですが、まだまだシステム連携の部分で競合に劣る部分はあるので、引きつづき連携まわりを強化していきたいと考えています。
具体的には、 SaaS連携の拡張にある程度の目処がついてきたので、今後はハードウェア管理に使用されるMDMやEDRとの連携に注力していく方針です。また、お客様から要望の多いネットワーク管理についても中長期的に取り組むことで、SHIFTの新たな収益の柱へと早期に成長させていきたいですね。
あわせて、運営面の効率化も進んでいます。今後はチーム内だけでなく、チーム外との連携についてもより効率的に回せる仕組みづくりに挑戦し、組織全体のパフォーマンスを底上げしていきたいと考えています。
(※本記事の内容および取材対象者の所属は、取材当時のものです)