当事者だったからこそ、出せる解がある。情シスコンシェルジュが描く唯一無二の後方支援 

2024/01/29

2023年9月。SHIFTは企業の情報システム部門(以下、情シス)を支援する「情シスコンシェルジュ」事業を開始しました。経営陣が1年かけて構想した肝入りのサービスです。

現場をとりまとめているのは、K.Y.。過去に、ソフトからハードまでを手がけるIT企業で情シス部門長を務めていた経歴が買われ、アサインされました。

「情シスはいまや人事、経理に並ぶ屋台骨。DXやデジタル化など企業にとって重要なプロジェクトを遂行する立場にあります。しかし、実際は一日の大半を社内の問い合わせ対応に費やさざるを得ない現状がある。とにかく任される領域が広すぎるんです」

K.Y.はどのような思いで新たなサービスづくりにのぞんでいるのでしょうか。事例を交えながら、やりがいについて語ってもらいました。 

  • サービス&テクノロジー本部 カスタマーサクセス部 情報システムサービスグループ K.Y.

    独立系SIerにてネットワークサーバーインフラの設計・構築・引き渡し・運用保守のPLPMを15年経験。その後情シス部門のリーダーとして、1,500名強の従業員が使用するERP更改プロジェクトや、社内CSIRT組織立ち上げに携わる情報システム部門長に抜擢、自社の中長期IT投資計画立案、IT全般統制を担当し、コロナ禍におけるテレワーク環境の短期間での整備に貢献。某SaaSベンダーのカスタマーサクセスを経て、2022年SHIFT入社。情報システムサービス部署の立ち上げより参画。 

目次

「依頼のしやすさ」を第一に。無料で情シス経験者に相談できるサービス 

──まず、「情シスコンシェルジュ」のサービス概要についてお聞かせください。 

K.Y.:企業の情シス部門担当者の相談に乗り、アドバイスをするのが主な業務です。とはいっても、私たち情シスコンシェルジュへのご相談には料金を一切いただいておりません。

SHIFTの自社サービスであるSaaS一元管理ツール「ワスレナイ」も無償で提供しています。「まずお客様の悩みを聞き、心に寄り添うフェーズで費用をいただくわけにはいかない」という考えからです。 

無償で提供中のSaaS管理ツール「ワスレナイ」。

アカウントの一元管理について、詳しくは上記バナーをクリック(外部サイト)

業務の流れをざっと説明しますと、まず情シス担当者にヒアリングをしながら業務を仕分け、可視化します。

そのうえでSHIFTが支援できる施策を提案し、実施となった場合にはじめて売上が立つという仕組みです。プロジェクトとして始動して以降、情シスコンシェルジュはPMとなって進行管理を担います。 

──はたから見ると、「相談に乗り、知恵を絞る」フェーズこそ、料金化すべきだと思ってしまうのですが、その点についてはどうですか? 

K.Y.私たちが目指すのは、各企業の情シスが本来やるべき業務に集中できる環境をつくること。相談業務はその入り口に過ぎません。情シスコンシェルジュの知見を無償で提供することは、本サービスの特徴でもあります。 

料金設定やサービス内容については部内でもすごく議論しましたし、いまも構築している最中です。 

情シスコンシェルジュとして活動しているのは5名。いずれも当事者、もしくはコンサルタントとして企業の情シスに関わってきた人たちです。ですので、多くの経営層が思い描く情シスと実態がかけ離れていることも熟知しています。 

経営層からすると情シスは「社内の組織だから何でも任せられる」と思われてしまいがち。現場からリソース不足を訴えると「じゃあ、もうひとり採用するか、他部署から異動させれば?」。

しかし、情シスの特殊性を理解して、なおかつバックグラウンドの技術をもつ適任者はそうそう見つかるものではありません。 

情シスのみなさんが置かれている厳しい環境を踏まえ、SHIFTにサポートをお願いしようと思ってもらうにはどうしたらいいか…… 

議論を重ねた結果、電話やメールなどの相談対応は無償にし、PoC(概念検証)向けのチケット制を用意して依頼のハードルを下げるのが得策だろうと。

チケットを「10万円から」に設定したのは、現場の部門長で決裁が下りやすいことを想定した金額だからです。 

まずは「業務量が減った」という実感をもっていただく

──スタートしてまだ3ヶ月ですが、具体的にはどのような案件に取り組んでいますか。 

K.Y.いま一番広がりを見せているのは、貨物倉庫関連のお客様ですね。  

コロナ明けや度重なる国際紛争により、とりわけ国際便貨物の取扱量はここ数年、増加の一途をたどっています。

今後も年ごとに倍増すると見込まれているなか、この企業で急務となっているのが、DX推進です。しかし、大きな組織であるにもかかわらず、情シス担当者は若手従業員、派遣社員の2名のみでした。 

作業現場は、通関手続きを行う前の貨物倉庫が輸入・輸出それぞれに設けられているなど、場所がわかれているうえに、業務そのものも複雑。荷物に貼付されているバーコードを読みとる、バーコードリーダーやハンディターミナルの故障も頻繁に勃発し、電波の状態も不安定。 

お客様側の情シス担当者は社内からの問い合わせ対応だけで手一杯で、ベンダーに依頼すべき「タスク・課題一覧」はあるものの適切にメンテナンスされていない状況でした。 

優先順位に沿った解決施策にも着手できていませんでした。そこで、情シスコンシェルジュが情シス全体の業務洗い出しを実施。 

課題のリストを最新化して効率、コストそれぞれの面から優先順位をお客様合意のもとで決めてゆき、具体的な施策を順番に提案させていただきました。 

──その後、どのようにして実際の支援が進められていったのですか? 

K.Y.はじめは効率化に役立つシステムを導入するための比較検討など、小さなものからスタートしました。するとすぐに「部分的に依頼するだけでも業務量が格段に減る」と体感いただけたようで。 

いま、お客様方針を大きく変える提案ができつつあるのはPCの調達まわりです。

「備品が壊れたら新品を購入する」という方針のもと、担当者一人が不具合PCのパーツを入れ替えたり、廃棄PCのなかからまだ使える部品を備蓄していたり、いわゆる「ニコイチ、サンコイチ」の対応を行っている状況がありました。

この「延命措置」に多くの時間を費やしていたうえに、10年も更新されていないPCがあるなど、古いスペックゆえ業務の生産性を下げてしまっていたんです。

SHIFTではPC調達は「3年で自動的に入れ替え」が行われており、PCによる生産性ダウンや故障率は低く抑えられています。 

このような「SHIFTスタンダード」をお客様にもご提供したいと考え、リユース事業を手がけるSHIFTのグループ会社「エスエヌシー」とともに、現在、具体的な運営プランを提案中なんですよ。 

情シスならではの“しんどい”経験を、お客様のために活かす 

──プロジェクトを進めていくなかで、SHIFTの強みを感じる瞬間はありましたか。 

K.Y.「できないとは言わない、できると言った後にどうやるかを考える 」というクレドのとおり、どのような要望に対してもイエスといえることですね。 

私が入社したのは2022年9月。「現場で起きるあらゆる課題に寄り添いたい」という考えが強いカスタマーサクセス部に配属されたこともあって、このクレドの浸透をすぐに実感できました。 

SHIFTは技術トレンドをいちはやく取り入れる組織。そこに、さまざまなバックグラウンドの従業員が集結しているので、どこかにアクセスすれば必ず何らかの解を用意できます。 

先述した今回の案件では、エスエヌシーとタッグを組みましたが、例えば今後AIツール導入の依頼があったとしても、しっかり受け止められる素地がSHIFTにはあります。 

──SHIFTの情シスコンシェルジュとして、どんなところにやりがいを感じていますか。 

K.Y.自分の経験を十二分に活かしながら、他社の根本的な改善に取り組める点でしょうか。 

かつてIT企業で情シスの部門長を務めていたとき、内部から業務改善できる面白さがありました。

自分がいいと思った製品やシステムを導入したことで、全社の生産性が上がり、事業が拡大する……こうした実感がもてるのは情シスならではですし、エンジニアとしてやりがいを感じられる場所だと、いまでも思っています。 

一方で、情シスにしかない“しんどさ”に苦しめられていました。もっとも悩みの種となったのは、日々の問い合わせ対応です。 

私は部門長でしたので、決して口外できないセンシティブな相談が役職者から直々に寄せられてきました。重要な任務ですし、当然無下には扱えません。

1つひとつ丁寧に対応していて、気がついたら日が暮れていた……なんてことは日常茶飯事でした。 

一番ストレスだったのは、将来のための時間を使えなかったこと。向こう3年のデジタル化計画や新システム導入のための比較検討、製品トレンドのキャッチアップなどに全然手がつけられなかったんです。「自分がもうひとりいたらいいのに」といつも思っていました。 

──自分がもうひとり……まさに、情シスコンシェルジュのコンセプトですね。 

K.Y.そうなんです。私が事業会社から転職すると決めたのも、私自身の“しんどい”経験が他社の情シス改善に活かせると思ったから。 

情シスコンシェルジュは経営陣が構想して走り出したサービスではありますが、私がやりたかったこと、そのものなんです。 

「他者を助けたい」という思いが強い人と、サービスを成功させたい 

──最後に。今後このサービスをどのように育てていきたいですか。 

K.Y.:組織を大きくしてビジネスを成功させたいという思いはもちろんありつつ、現状できていないことは多々あります。

情シスを担う方たちの気持ちを汲みとり、本当に寄り添えるサービスを目指していくためにも、まずはお客様の声に100%対応できる体制をつくっていきたいですね。 

そのために必要なのは仲間です。技術や経験はあとからついてくるもの。私と同じように「他者を助けたい」という思いが強く、情シスの特殊性を理解しよう、相手の意を汲みとろうとする人が情シスコンシェルジュに向いていると思います。 

会社をまわすエンジンでありながら、つねに困りごとを抱えているのが情シスです。SHIFTとしてもこうした社会課題を解決したいという思いがあり、事業を構想してきました。 

仲間とともにビジネスを成長させながら、ゆくゆくは日本企業活性の一助になれたらうれしいですね。 

──K.Y.さん、本日はありがとうございました! 
(※本記事の内容および取材対象者の所属は、取材当時のものです)

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