自分を活かす仕事は、自分で見つける。金融の事業会社で30年を過ごした私の流儀 

2023/08/02

金融業界で長きにわたってキャリアを積んだ。そんな「猛者たち」はキャリアの集大成として、どんな道を選ぶのでしょうか。 

「長年働いていた証券会社で付き合いのあったSIerにも興味はあったんです。知っている人もたくさんいて仕事はやりやすそうでした。ですが、やりやすさよりも“面白味のある会社”で働きたいとSHIFTに入社したのです」 

今回の記事の主人公、I.M.はこう語ります。 

彼は現在、大手証券会社をお客様に、業務改善支援システムプロジェクトのPMOを担っています。これまでのキャリアをどのように活かしているのか、話を聞きました。

  • サービス&テクノロジー本部 品質サービス統括部 金融サービス部 保険・証券サービスグループ I.M.

    大学では無機化学を専攻し、卒業後は銀行に入行。9年間勤務した後に大手証券会社に転職。その会社におけるキャリアの集大成としてRPA案件などの業務改善プロジェクトを手掛け、2019年に別の証券会社に転職。社会人生活も30年に近づき、自分の強みを活かしたいと2021年SHIFTに入社。 

私のこれまで

  • 23歳

    新卒で大手銀行入行

    済制度改革対応のためのシステム構築や、銀行統合プロジェクト参画など 

  • 28歳

    結婚。第一子が翌年誕生 

  • 31歳

    大手証券会社に転職 

    数々のプロジェクトに、PMO等で参画 

  • 50歳

    準大手証券会社に転職

    IT企画部長を務める 

  • 51歳

    SHIFT入社

  • 54歳

    お客様のオンサイト先常駐(現在)

目次

“勝手に”やった仕事から、働きかた改革関連の開発リーダーに 

私は工学部出身ですが、得意な数学を活かせられると見込んで新卒で銀行に入行。支店業務や、本店にてデリバティブトレーダー、ポートフォリオマネージャーの補佐、決済系業務などに携わっていました。 

実は、5年で自分の道を見つけて転職するつもりだったんです。ところが、自己分析してみたらまだまだ外に出られる人材になれていないなと(笑)。

そこから、登録機関システムの構築、金融商品時価会計対応プロジェクト、決済制度改革対応のためのシステム構築、銀行統合プロジェクト参画などの経験を経て、結果的に銀行には9年間在籍しました。 

その後、大手証券会社に転職。債券フロントシステム構築や、財務省の発行する個人向け国債・物価連動国債の商品性検討などの制度企画に6年間従事しました。 

その後証券会社や銀行など国債市場の主要プレーヤーによって設立された機関への出向を経て、会計のセクションに異動しました。 

いま振り返っても、私らしいな、と思えるエピソードですか。 

2010年代後半に私のいる部署でもRPAやチャットボットなどを導入して生産性を上げようと取り組んでいたのですが、ほとんどがうまくいきません。 

そんななか、私はたまたまUiPathを使わせてもらえることになり、本来の業務を超えて勝手に、自分達の業務改善用にRPAロボを構築していたところ、部下が1日3時間かかった業務を30分に減らすことができたのです。 

それが役員などの目にとまり、「RPA導入を中心とした業務改善プロジェクトのリードを任せた」といわれたのが2018年。それから開発リーダーとして1年間でRPAロボを150体つくることを推し進めました。 

「業務を一番わかっているユーザーが自分で効率化ツールをつくるべき」と考えていましたので、UiPath研修を毎週実施するなど社内のリテラシーを高めることに。結果として、業務効率化の目標値を大きく上回る、年間3万時間を超える時間創出に至りました。 

この仕事は高く評価されました。ただ、逆にやり切った感じもあり、2019年に別の証券会社に転職したんです。フロント業務のITを支援するシステム部と、持ち株会社のIT企画部の部長職として2年近く携わりました。ところが、ものすごくやるべきことが多く、自宅に帰る時間も有効に使いたいので、一週間のうち何回も職場近くのホテルに泊まるしかなかったこともありましたね。 

体にも支障をきたしてしまって。何よりも、仕事のやり方や進め方が自分には合わなかったこともあり、このまま仕事をつづけても、組織の役には立てないと思いました。そこで、退職を決意しました。 

自分を活かせる仕事は、自分で見つけてくればいい 

私は、転職はタイミングと縁だと思っています。SHIFTのほかにも興味をもっていた会社があり、そのうちの1社は最初に働いていた証券会社と付き合いのあるSIer。知っている人もたくさんいて仕事はやりやすそうでした。 

SHIFTについてはほとんど知りませんでしたが、調べてみると若い人が多くて、会社としてもどんどん成長しています。何よりも、好きなことをやらせてもらえそう。そこで、「やりやすい会社」よりも「面白味のある会社」としてSHIFTに入社したのです。 

ただ、最初から順風満帆とはならず。というのも私のこれまでのキャリアはITが本筋ではなく、一方でSHIFTから与えられた案件は、自分になかったIT知識と業務知識を求められたため、最初の案件ではお客様の期待に応えることができず、残念ながら3ヶ月で終了しました。 

そこで、やっぱり「自分の案件は、自分で見つけてくるしかない」と思い、さまざまな人に声をかけたところ「あなたにぜひやってほしい」と2社目で働いていた証券会社からオファーをいただきました。 

それから現在まで、本社営業の企画領域でシステム開発のPMOやユーザーの業務改善支援をしています。元々、もし早期リタイアをするならそういった仕事をフリーランスでやりたいなと思っていたんです。自分の一番得意とする分野の仕事ですから。 

その意味では、早期リタイアした場合と同じことがSHIFTで叶っているといえますね。 

一方的に「あなたにはこれ」と業務を決めつけないカルチャーがあって、これだけの規模の組織になっても、自由さのあるSHIFTと私の相性はとてもよいと実感しています。 

業界再編を見据えて、総合コンサルティングができるように 

証券会社における対面営業のお客様は高齢者が多く、若い人は手数料が高いことからネットトレードが中心です。 

対面営業を中心にしている証券会社は、ますます工夫をして、優秀な人材を確保しながら利益を伸ばし、金融機関としてシステムを高度化しなければなりません。 

こうした課題の最適解を見出すべく、各社の経営陣は相当の危機感を抱いています。私の個人的な見立てでは、銀行、証券、保険会社が統合されて総合金融サービス業になるのかもしれません。金融商品を売買する機能はなくならなくても、いずれは統合されて全方位サービスが生まれることでしょう。 

すると必要になるのは複雑だが品質の高いシステム。そのためにこれから先IT投資額が増えていくことは明白です。SHIFTとしてITの切り口から金融業界を支援するためには、システムだけではなく、上流工程の総合コンサルティング領域にもっと食い込むことが必要になってきますし、実際にお客様のニーズは高いものだと認識しています。 

SHIFTの伸びしろは、まさにこのようなIT以外の部分。「お客様の本当のニーズ」をキャッチすることができるようになれば、IT以外の業務支援や業務を補完するサービスなどにも広げていくことができるのです。金融系の事業会社で経験を積まれたかたが、SHIFTで活躍される可能性も大きいでしょう。 

私自身は、「あれをやりたい、これをやりたい」ということよりも、いまやっていることをどんどん伸ばしていきたいですね。それがSHIFTの伸びしろともつながることであれば、理想的だなと思っています。 

外部協力:林 康章(執筆)

(※本記事の内容および取材対象者の所属は、取材当時のものです)

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