品質保証のプロであるSHIFTの強みは、開発段階から課題をみつけ、品質向上に向けた改善提案ができること。私たちがリスクを提示し、お客様ご自身があえて「現状維持路線」を選ぶ。こうしたケースもなかには存在します。
今回ご紹介するのは、工場の販売管理・物流管理システムにおけるバージョンアップ案件。
SHIFTにとって、事業会社のお客様に直接伴走できる絶好の機会だったものの、開発は難航。品質の観点から状況を見極め、「移行に踏み切るのではなく、現行システムの維持」の方向性でリスクを提示したことが、最終的にお客様から感謝され、さらなる受注につながりました。
本プロジェクトの詳しいプロセスと成果について、サービスマネージャーを務めたERPサービスグループ グループ長補佐の増田、現場で品質担当として奮闘した松田に話を聞きました。
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ERPサービスグループ グループ長補佐 増田
従業員100名規模の中小企業から社会人生活を開始し、PG、SE、PMと王道的に経験を積む。専門領域は特にもたず、さまざまなプロジェクトを経験してきたことで、システム仕様や状況把握、経験則によるリスクマネジメントに長ける。2018年12月SHIFT入社。組織運営や新規案件獲得、既存のお客様の拡大などの活動に従事。干支も誕生日も同じ愛娘を溺愛中(笑)
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ERPサービスグループ 松田
大学卒業後、大手SIer2社と特定業務領域のSIビジネスに特化したベンチャー企業で合計38年間勤務。さまざまな業界の多彩な案件に取り組むなか、ソフトウェア開発の全工程におけるマネジメントを手がけることを中心に、ときには自分自身も設計・開発を手がけるなど、SIビジネス全般における多くの作業に携わってきた。2021年6月にSHIFT入社後はERP関連のテスト支援・品質保証の案件にPMとして取り組んでいる。休日は家族とドライブをしてリフレッシュする日々を送る。
目次
ひとりからスタートし、最大20人以上の体制に。“提案型支援”で担当領域が広がった
──はじめに、プロジェクトの概要についてお聞かせください。
増田:お客様は大手日用品メーカーの情報システム部門です。もともとお付き合いのあったグループ企業の方が、SHIFTをお客様へ勧めてくださったことが受注のきっかけとなりました。
プロジェクトの目的は、長く利用されていた工場システムをバージョンアップすること。システムは、販売管理・物流管理/生産管理・原価管理というふたつのパッケージに区分されていました。
SHIFTが当初依頼されたのは、販売管理・物流管理システムにおける、総合テストの計画や実施など品質管理と、バージョンアップ後のユーザー教育。
その後、生産管理・原価管理システムのテスト支援も加わり、担当領域が拡大しました。
実施期間は2022年半ばからの約1年半。プロジェクト発足時は松田のみのひとり体制でしたが、業務の拡大により月平均で10名ほどが稼働。最大で20人以上の大所帯になった時期もあります。
──どんなプロセスで、任せていただける業務が拡大していったのですか。
松田:このプロジェクトは、お客様と初顔合わせしたときにはすでに始動ずみで、基本設計が完了し、開発に着手したタイミングから参画しました。
そこから品質保証テストだけでなく、プロジェクト全体における品質改善のための施策も随時提案し、自ら仕事をつくる形で作業を進めていきました。
大切にしたのは「その場その場の会話や対策ではなく、本質的な支援のために何ができるか」という視点です。
こうした積極的な姿勢を評価していただき、新たな受注につながったと捉えています。
「私たちだけだったら、間違った判断をしていたかもしれない」──直々にいわれた感謝の言葉
──プロジェクトを進めていくうえで、苦労したことは何でしたか?
松田:あとから依頼された生産管理・原価管理システムのプロジェクトは、スケジュール通り完了できたのですが、一方の販売管理・物流管理システムは、かなり心血を注いだプロジェクトとなりました。
総合テストで不具合がでたためお客様とベンダーの間に立って、開発体制をフォローする日々。約2ヶ月間、品質改善のための提言やスケジュールのリカバリーを繰り返しました。
新システムは、旧システムを踏襲するつくりだったので、比較して同じ数値になれば「問題ない」と太鼓判を押せるはずだったのですが、残念ながら多くのテストケースでNGがでたのです。
そこで、あらためてお客様に「システムをバージョンアップした場合のリスク」についてデータや資料を用いて提示。最終的には現行システムを改修することになりました。
このとき、お客様から直接いわれたのは、「私たちだけだったら、間違った判断をしていたと思う」。確かにあのままバージョンアップしていたら、工場の稼働に支障が出ていた恐れはありました。
私たちの働きかけによって、納得のいく判断を下していただけた……「冥利に尽きる」の一言でしたね。
フラットな立場でベストな道筋を探れるのが、この会社で働く醍醐味
──このプロジェクトを通じて、どんなところにSHIFTの強みがあると思いましたか。
松田:急なリソースの拡充に対応できるところですね。作業現場は地方。首都圏のようには人が集められない状況で、最大で10人増やさやなければいけない場面もありましたが、難なくクリア。
さらに、現場入り初日から1.0人月で働ける状態にもっていけるのが、自分の会社ながら「すごい!」と思いました。人材不足の世の中で、適任者を集め、教育するのはとてもハードルが高いことなので。
増田:前準備を万全にするのもSHIFTのカルチャーかもしれませんね。あとから加わるメンバーに対しては、必ず作業内容を明確にしてから依頼しています。
──いま、カルチャーという話がありましたが、SHIFTで働く醍醐味についてはどのように感じていますか?
松田:お客様と開発ベンダーの間に立ち、品質向上の視点かつフラットな立場で発言できること、でしょうか。
今回のケースのように、それまで露見していなかった問題をSHIFTがあきらかにし、解決を目指す流れも少なくありません。
どんな場面でも私たちのスタンスはあくまでも中立。お客様に寄り添いつつも、誰かの味方につくというわけではないんです。
両社の状況を理解しながら、本来進むべき道筋を探り提案できる点に、SHIFTで働く面白味を感じています。
増田:私もまったく同感ですね。かつて、コンサルティングファームを志望し、内定をもらいましたが、SHIFTを選んでよかったなと思います。
お客様側の立場で攻めか守りかの姿勢を求められるのではなく、中立という稀有なスタンスで仕事ができているからです。
プライム案件の超上流工程から加わり「経営に基づいた品質」を目指したい
──このプロジェクトで培った知見やノウハウは、次のプライム案件にどう活かせると思いますか?
増田:今回、お客様と膝を突きあわせて議論を重ねてみて、事業会社の潜在的な悩みや課題を知れたのは大きな収穫でした。
また、日ごろはベンダーや製品開発といったIT企業の方たちと“暗黙知”で会話していることが多いため、お客様に対して言葉足らずになっている場面もありました。得られた気づきは、提案活動の段階から意識して取り入れたいですね。
──組織として今後やっていきたいこと、目指していきたいことを教えてください。
増田:プライム案件の、超上流工程から参画していきたいです。やはり「品質向上は経営に基づいてこそ」だと思うので、お客様が目指すKGIやKPIをしっかり理解したうえで適切にプロジェクトを運営していくのが理想です。
そのためにも、SHIFTやERPサービスグループのファンを増やしていきたいですね。
──お客様からみたERPサービスグループのよさはどんな点にあると思いますか?
増田:180人ほどの大所帯でありながら、迅速に課題解決できる体制が確立されていることです。チーム内の課題はPMが取りまとめて解消。
プロジェクト全体の進行にかかわるような問題が起きたときは、サービスマネージャー(※)がお客様に伴走しつつ解決しています。
フォロー体制を徹底できていることは、お客様にとっても安心材料につながると、日々の業務で実感しています。
※複数案件を管理し、滞りなくサービス提供ができるよう責任を担う立場。
──最後に。どんな人がこの職場に適していると思いますか?
増田:「何かに挑戦してみたい」「自らの成長を大切にしたい」という人。やりたいことがあれば、必ず背中を押してくれる会社です。
だからといって「がんばれ!」といいながら、お尻を叩く文化はありません。あくまでも本人が描くキャリアプランに沿いながら、プロジェクトをアサインしています。
興味のある方はぜひご応募ください。
──増田さん、松田さん、本日はありがとうございました!
(※本記事の内容および取材対象者の所属は、公開当時のものです)