3年で5倍以上の案件規模に。超巨大ERPプロジェクトを生んだ「ファーストペンギン作戦」 

2024/03/14

SHIFTが掲げる行動指針、「できないと言わない、できると言った後にどうやるかを考える」。このスピリットで未踏の領域へ飛び込み、大成したプロジェクトは数多く存在します。 

今回ご紹介する大手グループの「人事給与システム更新プロジェクト」もそのひとつ。 

立ち上げメンバーのひとりであるT.Y.は当時を振り返り、その3年後に5倍以上もの売上拡大を実現するなど、夢にも思わなかったといいます。 

「この案件が成功したことで、次のビジネス展開の道筋がみえました」と胸を張るのは、統括サービスマネージャー(※)を務めるH.K.です。

ふたりは、どのようにして業務を推進し、再現性ある“サービス”へと確立させたのでしょうか。プロセスと成果、今後の展望について話を聞きました。 

※複数案件を管理し、滞りなくサービス提供ができるよう責任を担う立場。 

  • サービス&テクノロジー本部 基幹・ERPサービス部 ERPサービスグループ H.K.

    1958年生まれ。2019年6月に大手IT企業からSHIFTへ転職。前職では組立製造業を中心にSCMや大型ERP導入、業務改革・事業継続コンサルティング組織管理などSE現場から事業・組織マネジメントまでを実践転職後は主にSAP案件に携わり、SAP SuccesFactorsを活用した「人事給与システム更新プロジェクト」統括責任者として参画ゴルフとワンコとの触れあいにいそしみながら休日を過ごす日々。

  • サービス&テクノロジー本部 基幹・ERPサービス部 ERPサービスグループ T.Y.

    1978年生まれ。前職までは保険会社向けソフトウェアの開発から情報システム部門としてPマーク導入などさまざまな立場・業務に携わって2020年4月にSHIFTに転職。PMとして「人事給与システム更新プロジェクト」の立ち上げから関わる。プライベートではふたりの男の子の父として奮闘するかたわら、隙間時間に漫画と音楽を楽しむ。

目次

プライムベンダーを標榜する企業として。上流工程から挑む 

──はじめに「人事給与システム更新プロジェクト」の概要についてお聞かせください

H.K.お客様は従業員数万人が在籍する大手グループです。新たな人事制度をスタートさせるにあたり、グループの人事給与システムを更新・統合することがプロジェクトの目的です。 

SHIFTは「福利厚生」領域を担当し、要件定義から品質テストまでを一気通貫で支援。ほかにも「人事」「給与」「権限/ワークフロー」があり、それぞれ別のベンダーが担っています。 

これまで2段階にわけて作業が進められました。平たくいうと、グループ各社のシステム内にあった数万人分の人事情報を「一元化」し、新しいシステムへと格納していく流れです。 

スタート時、私たちは強いプレッシャーを感じていました。規模の大きさや複数にまたがるシステムの複雑さがこれまでにはないレベルだったからです。 

「福利厚生」、「SAP SuccessFactors(以下、SFs)」、「上流工程」、3つの知見を実業務を通じて着実に得ていく必要がありました。 

──それほど困難な案件であってもお客様の課題に寄り添う。その根底には組織として目指す何かがあったのでは? 

H.K.:冒頭でも触れましたが、SHIFTには「できないと言わない。できると言った後にどうやるかを考える」という行動指針があります。

この案件は「できる」といった先に「ERPグループやそこに属するメンバーの経験値が一気に上がる」というありがたいプロジェクトです。 

会社としてプライムベンダーを標榜している以上、そうあるためには上流工程を熟知するメンバーを増やしていかねばなりません。

また、市場でも希少なSFs人材を育成することは、他社との差別化や売上、個人の単価アップにつながりますし、何よりもお客様貢献にもつながる。険しい山ですが、是が非でも登頂したいと思いました。 

──具体的には、どのようにして「3つの知見」を得ながら、業務を進めていったのですか? 

T.Y.ひとつひとつの業務を進める過程で地道に……と、それは当たり前の話ですが、次のチャレンジがのちにSHIFTの評価へとつながりました。 

得た知見を型化、コンテンツ化しながら、社内メンバーやほかのベンダーにシェアし、社内人員の拡充とプロジェクト全体の業務効率化を進めていったんです。私たちはこの取り組みを「ファーストペンギン作戦」と呼んでいます。 

知見を社内外にシェア。プロジェクト全体の効率化と人員増強にまい進したワケ

──まず、社内への働きかけについて、どのように知見を広め、人員を拡充していったのか教えてください。

T.Y.:社内のエンジニアに短期間でSFsを設定する技術を身につけてもらうべく、独自の教育コンテンツを製作しました。

手順に沿ってデモ環境に触れ学習することで、約1週間で現場に出られるようになります。さらに人事給与系の業務知識については、立ち上げメンバーが講師となって数回にわたり、勉強会を開催しました。 

場所を問わず学べる仕組みをつくったおかげで、国内のみならず、ベトナムにあるSHIFT ASIAのメンバーも参画できるように。いまでは、32人のSHIFTメンバーがこのプロジェクトで稼働しています。 

──プロジェクト全体の業務効率化への取り組みについても教えてください。SHIFTがほかのベンダーをリードする立場になったと聞いています。それはなぜでしょうか。 

T.Y.先ほど少し触れましたが、このプロジェクトは「福利厚生」を担うSHIFTのほか「人事」「給与」「権限/ワークフロー」をそれぞれ別のベンダーが担当し、進めています。 

当初は煙突構造でお互いがまったくみえない環境でしたが、会社は違えども、目指すゴールは同じ。細かな課題でいうと、要件定義書などの資料も各社が同じフォーマットで作成しないと、受けとるお客様側が混乱してしまいます。 

だったら、共通のツールやシステムをつくり、みんなで活用しながらプロジェクトを進めていくのが得策だと考えました。 

そこでまずSHIFTが主体的に行ったのが「セッションの型化」です。それまで要件定義するにあたって、バラバラだった説明内容や合意手順、方法を統一し、フォーマット化してほかのチームに展開しました。 

さらに、SFsについても各社共通の困りごとがありました。最新の設定内容を定義書に反映できるツールがメーカーから提供されていないんです。ですから、設計書と定義書のレベルをあわせるために、両方を見比べながら人の目で確認する必要があって。 

──もしかして……そのツールをSHIFTが開発したんですか? 

T.Y.はい。SFs設定定義書の自動化ツールを独自開発しました(笑)。SFsから書き出したデータを自動でドキュメント化することで、作業時間の大幅短縮と定義書の品質向上が叶いました。 

以上、「セッションの型化」「SFs人材高速教育コンテンツ」「SFs設定定義書の自動作成」の3つが、私たちが実施した「ファーストペンギン作戦」でした。 

担当領域が拡大。「抜けられては困る」強いベンダーに一歩近づけた 

──あらためて、どんなところにこの仕事の醍醐味を感じましたか? 

T.Y.はじめは不安だらけでしたが、いつのまにか「できる」というマインドになり、ベンダーの先頭に立って業務推進できたことが1番の醍醐味でしたね。 

ゼロの状態からプロジェクトをはじめるなんて、SHIFTだからできた挑戦だったと思います。この案件で、自分自身の精神力も一段上にいけた気がしています。 

H.K.私自身は、お客様にとって、ERPグループが「抜けられては困る」存在になりつつあることを醍醐味に感じています。 

前職は大手ITベンダーだったのですが、信頼できる協力会社には「強さ」がありました。技術力も経験も発注側より上回っていて「この会社に抜けられたら困る」と思わせる強さです。今回、力をつけたことで、私たちもその域に近づけたんじゃないかと。 

──今回、SHIFTならではの強みは発揮できたと思いますか。 

H.K. 発揮できた強みはふたつあります。ひとつは、標準化していく力です。 

一般的にシステムを扱う企業やエンジニアには個性を追求する面が少なからずあります。でもSHIFTは各社で足並みを揃えるように努め、率先して「型」をつくろうとするマインドがある。標準化してこそ、よい品質が生まれることを熟知している数少ないIT企業だと自負しています。 

ふたつめは、むずかしいリソースのアサインにも対応できること。市場に数少ないSFs人材を独自の教育コンテンツによって増やし、国内外のメンバーを集結させられたのは、SHIFTがもつ柔軟性によるところが大きいと感じています。 

こうした長所がお客様にもたいへん評価され、もともと担当だった「福利厚生」以外にも「人事」「給与」、そしてアプリ全体のインターフェースにおける品質テストや運用保守もお任せいただけることになりました。

売上は3年で5倍以上に成長。手前味噌ですが、これは驚異的な数字です。 

今後は、このSFsの成功事例を起点に人事領域システムの導入支援事業を拡充させ、お客様から「指名される」グループを目指していきたいと考えています。 

人事領域ビジネスは、必ず会社の成長ドライバーになる 

──最後に。これからどんなひとに仲間に加わってもらいたいですか。 

H.K.とにかく好奇心旺盛なひと。指示待ちではなく、わからないなりにも「こんなふうに進めていきたいんだ」と前に出てみんなを引っ張っていってくれる人。こうした素養があれば、専門領域は問いません。 

T.Y.:実際、いまのプロジェクトメンバーは、指示された内容の2倍の量を自発的にこなせるような、想像力豊かで個性が光る人ばかりです。

職人肌タイプもいれば、私のようにお客様とのコミュニケーションが好きなタイプもいて、適材適所のポジションに就いています。横連携もしっかりしており、のびのび仕事ができる環境です。 

H.K.これから私たちが注力しようとしている人事領域ビジネスには「売上」、「上流工程からの支援」、「市場価値の高い人材育成」と、ERPグループや会社の成長につながる要素がすでに備わっています。社内外にインパクトを与えることは間違いないでしょう。 

興味のある方は、ぜひ応募してください。 

──H.K.さん、T.Y.さん、本日はありがとうございました! 

(※本記事の内容および取材対象者の所属は、公開当時のものです) 

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