ゲーム開発支援の質を決めるもの。「コミュニケーションは徹底してこそ意味がある」 

2023/11/20

ゲーム業界に入ったきっかけは、アルバイトだったというS.K. 

人材不足ゆえに、アルバイトでもさまざまな責任のある仕事を任せられるというチャンスに恵まれ、実力をつけてきました。ゲームテスト会社に就職してから数社を経て、「ベンチャー企業でやってみたい」とSHIFTに入社したのが2016年でした。 

現在はエンターテインメントサービス部に所属し、世界にも名の知られる大手ゲーム会社をお客様に、複数案件を管理するサービスマネージャーを務めています。  

入社当時に立てた目標をすべて達成したというS.K.ですが、実は入社当時、マネジメントに苦労したといいます。彼のこれまでを追いかけてみましょう。 

  • サービス&テクノロジー本部 エンターテインメントサービス部 エンターテインメント3グループ S.K.

    美容専門学校卒業後、テスト会社へ就職。3ヶ月で80名規模案件のリーダーを担当。その後は管理業務に加えプランナーや商談活動なども担当して、2016年23歳でマネージャーとしてSHIFT入社。これまでの業界経験や提案力を活かし、現在はサービスマネージャーとして従事。 

目次

数字、根拠、そしてメンバー各人の顔。安心を提供するための材料とは 

―――サービスマネージャーとは複数案件を管理し、滞りなくサービス提供ができるよう責任を担う立場。SHIFTの顔としてお客様と折衝するわけですよね。そういった役割において、大事にしていることを教えてください。 

S.K.:私の場合、お客様は大手ゲーム会社の品質管理部の方です。仕様のボリュームが大きいゲームを担当することが多くて、バグをとりきってリリースできるまでの品質にもっていくというのがミッションです。 

過去に依頼したことのある企業と比べ、SHIFTに依頼いただくからには進め方や考え方など、他社とは違う新しい刺激を期待されているのではないか。そう思い、SHIFTならではの価値が提供できるよう意識しています。 

ゲームQAは“直感”によるところもありますが、私はできるだけ数値で可視化し、具体的な根拠も説明しています。 

「こんな観点でテストしていたので、このようなピックアップバグを検出できた」とか「プレイ内容から逆算して検出した」など過程もロジカルに報告することで安心していただけています。 

――― 数値の部分は、具体的にどのような数字を出すのですか。 

S.K.:テスト内容そのものに関する数字だけでなく、たとえばメンバーの生産性について、その妥当性がわかるデータも出します。 

私たちのお客様は、ゲーム業界でも老舗の企業様です。一方で私たちチームのメンバーは非常に若い。直接的な言葉ではおっしゃいませんが、「ベテランはいないのだろうか」といった不安をもつこともあるでしょう。 

そこで案件を重ねるごとにメンバーの生産性が向上しているデータなどもお見せして、高いコストパフォーマンスに安心していただくようにしているんです。 

成長の最中にあることや、若くても勤続年数が長くてずっと任せられそうだなとか。会社として伸びているという点のアピールにもなりますし、「優秀な人たちが長く働く会社なら、これからも発注しよう」と思ってもらえるようにという発想です。 

―――お客様に対して安心を提供するため、さまざまな切り口を考えているんですね。 

S.K.:案件の終了報告時には、それまでの取り組みだけでなく、特にメンバーの頑張りもいっしょに報告します。各人の顔を売るのも、サービスマネージャーの役割に1つだと考えているからです。 

私が作成する最終報告では、お客様に各メンバーの名前を覚えてもらえるように、個別の成果がわかるデータも紹介します。個人の名前も覚えてもらって「彼なら、安心だね」とリピートにつながる。メンバー一人ひとりをどう見せるかはいつも意識しています。 

こうした定性的な部分と、定量的かつロジカルな視点を掛けもつこと。最近、お客様が増えているのは、そのような姿勢が評価されていると私自身は感じています。 

まわりに相談できる人が“めちゃめちゃ”たくさんいる。これがSHIFT 

―――話を遡って、前職でもゲームQAやマネジメントの経験はあったと思うのですが、入社後はスムーズでしたか? 

S.K.:業務的なむずかしさはあまり感じませんでしたね。ただ苦労したのは、恥ずかしくていいづらいのですが、上に立つ人間としての人としての部分、そういう点は苦労しました。 

業績もよかったし、お客様の評価もよかった。ただ若かったこともあってマネジメントがうまくできなかったんです。 

救われたのは相談に乗ってくれる人が一人でなく、たくさんいたことです。 

―――相談相手が、たくさんいた? 

S.K.:そうです。SHIFTでは案件ごとにチームが変わります。近くで自分の仕事を見てくれている先輩は、何人もいるんです。 

つまり相談できる“大人”がいっぱいいる環境。それでみなさんのアドバイスをトータルすると、やはりコミュニケーションを軽んじてはいけない、徹底的にやりきれというところに行き着いたんですね。 

さらに入社したころの上長が、コミュニケーションについていろいろ葛藤されていた様子を間近で見ていたんです。いまは、別の部署に異動されたのですが、移る前に「コミュニケーションは回数だよ」といっていたのが、強く印象に残っていて。 

―――それがいまのS.K.さんのマネジメントスタイルに影響しているのですか? 

S.K.:はい。コミュニケーションが大事とはよくいわれることだと思うのですが、たとえばお客様の期待値から外れてしまうのは、チーム内の情報共有や伝達が不充分であることが理由だと考えています。 

ちゃんとコミュニケーションがとれていれば、SHIFTには蓄積されたノウハウがあるので質の高いサービスを提供できるはず。私たちサービスマネージャーはそこを管理するのが役割なんです。 

そのために重要なのは、土台となる人間関係をしっかりつくること。SHIFTは数字にきびしいとか堅苦しいイメージがあるかもしれないのですが、実は数字ではない関係づくりのようなところからチームの基礎を組み立てていくのを大事にしています。特に私のいるエンターテイメント部門はそれが重要だと思っています。 

―――どのように土台をつくっていくのですか? 

S.K.:基本は、正社員、契約社員、アルバイトなどに関係なく、1on1です。週1回、月1回、何ヶ月に1回などの定例の機会以外にも、「最近はどう?」と話しかける機会をもつように心がけていますね。 

悩みがあればいつでも聞くのは当然ですし、普段からプライベートについても話せる関係性をつくっておいて、直感で悩みを察知するなんてこともあります。 

そのためにも、やはり現場に直接行って顔を見て話すことって本当に大事で。最近は頻繁にはむずかしいのですが、それでも週に1回は顔を出すようにしています。 

―――チームは東京・大阪・福岡などわかれていますよね? 

S.K.:そうなんです。だから離れたメンバーとも会話できるよう、毎日夕方30分間の“夕会”を欠かしません。夕会は案件ごとなので、進行中の案件が5件あれば5回することになりますが、それだけの価値があると思っています。 

真面目に、ときには厳しい話もしますが、普段は「気のいいお兄さん」的なキャラクターでありたいと思っています。緊張と緩和というか、ギャップがあるからこそ、真剣な話題のときは、みんなにちゃんと伝わるというか。そこは意識していますね。 

目指すのは世界品質。社内で憧れられるチームブランディングも 

―――ゲームが好きという方々は、プランナーなど実際に手を動かしたり企画系の職種を志向する人が多いと思うのですが、案件や人を束ねる面白さをS.K.さんはどうとらえていますか? 

S.K.:私、因数分解が好きなんですよ。ゴールがあって、何をどう積み上げると達成できるかを考えるのが好きで、それがはまると面白いと感じるんです。ある意味でゲーム感覚なのかもしれないですね。 

それからSHIFTは手をあげれば何でもチャレンジさせてくれる。マネジメント、コスト管理、お客様からの評価などすべてつながっていて、自らのチャレンジ次第でポジティブなサイクルをつくり出していける。それがSHIFTで長く働きつづけている理由ですね。 

―――将来、チームとして目指しているものについて教えてください。 

S.K.:お客様が世界で知られる大手企業ということもあり、案件は基本的に全世界に向けての発信になります。だから“世界品質”という視点で戦っていきたいですね。世界中のどこで出しても面白いと認めてもらえるようなものを、チームで目指しています。 

それともう1つ。社内に向けては、「あのチームに入りたい」と憧れられるチームにしたいです。世界で特に著名なゲーム会社のひとつを担当しているのだからチームメンバーにもその自覚と自負をもってもらえたらと思います。 

―――S.K.さん個人のビジョンはどのようなものですか。 

S.K.:私自身はいま、まさにそこを考えているところなんです。入社した当時は、SHIFTはモバイルゲームしか扱ってなかったので、ゲーム業界の幅を拡げるというミッションがありました。 

特にいまの私のお客様である大手企業をいつか必ず担当したいというのが、目標でした。それがチームのみんなのがんばりもあって実現して、さらに最近、給与の目標額もついに達成できました。やりたかったことを、全部やってしまって、さぁ、何をやろうかと(笑)。 

そういうことで、いまはワンランクもツーランクも上の、新たなビジョンをまさに思案中なんですよ。 

(※本記事の内容および取材対象者の所属は、取材当時のものです)

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