千変万化の流通業界。生き残りをかけたDX戦略のオンリーワンパートナーとして

2023/06/27

DX化への対応戦略が迫られるなか、コロナ禍の影響を大きく受けた業界の1つに、流通業界があげられる。  

  「それでも商品を売る、届ける、という本質は変わらない」。  

そう言葉にしたのは、流通・物流サービス部副部長 兼 流通2グループのグループ長の近藤幸一郎です。  

近藤は大手SIerで総合スーパーなど流通系の大規模プロジェクトのPM、管理職も経験。  

「経験を活かしながら、まだまだ会社と一緒に成長していきたい」と2019年、SHIFTに入社しました。  

目まぐるしく消費者の生活様式が変化する昨今。 流通業界は、商いの根幹である「売り方」や「販売促進」にこれまで以上に注力するようになりました。  

 世の中の潮流をふまえ、SHIFTの流通グループが提供している価値はなにか、迫っていきたいと思います。  

  • 流通・物流サービス部 副部長 兼 流通2グループ グループ長 近藤 幸一郎

    前職は大手SIerにて、新卒から約15年在籍。一貫して流通大手小売業向けSI事業を担当。通常やエンハンス開発、大規模刷新(約1,000人月)が織り交ざるプログラムマネジメントを務め、営業と共に、受注からリリース、リリース後の保守まで一貫して主導。2019年5月にSHIFT入社。入社後も流通系のお客様を中心にプロジェクト推進支援、並びにテスト支援案件を、サービスマネージャーとして数アカウントを管掌。その後、同年9月の組織再編時に現所属のグループ長を拝命。当時60名規模だったグループが、現在は200名規模にまで成長・拡大。2021年9月より、産業流通・通信サービス部(現 流通・物流サービス部)の副部長に。継続して流通系を管掌している。

目次

価格訴求から「価値」訴求。求められる、お買い物体験のアップデート

「モノからコトへ」消費者の価値観が移り変わったといわれて久しく、購入して所有する時代から、体験や経験に価値がある時代となったことはいうまではないでしょう。とはいえ消費者から選ばれつづけることが、至上命題であることに変わりはありません。  

あらゆる施策を講じる必要性があるなか労働人口は減るばかり。生産性を向上させるべくECやアプリ、無人店舗やセルフレジを導入する動きに加えて、コロナがある種の追い風になり、流通業界のDXは一気に加速しました。  

ときを同じくして、いつでも、どこでも、スマートフォンの単純操作で商品が届く時代になりました。店舗でみた商品を同じ値段でネットで購入できる。究極の利便が実現された一方、リアル店舗は大きな変化を求められました。  

リアル店舗のよさは、実物を見て触って体感して購入できること。ホスピタリティ溢れる接客、セミオーダーに近いカウンセリング提案が、リアル店舗の価値であると叫ばれたのも記憶に新しいですね。  

つまり、リアル店舗の価値はサービス提供する従業員そのもの。店舗DX、セルフレジなどの導入は従業員のノンコア業務を削減し、これまで以上にサービス提供を行っていくための手段です。  

消費者にリアル店舗にも足を運んでもらうために、いまはTVCMのようなマス向けの施策ではなく、個々の志向に合わせた集客や販促が有効な時代。そのためにデータ基盤構築、会員情報の共通化、ECやアプリケーションの改修もトレンドにあがっていました。  

事業戦略における、1本の柱になりつつあるDX。ただし、業態が異なれば、戦略に濃淡が生まれます。百貨店とコンビニでは客層、店舗数、購買頻度が異なるので課題感も異なる。同じ業態のなかでも、コアコンピタンスが各社違うので実現したいことが異なる。  

「商品を売る、届ける」という本質からブレずにデジタルやテクノロジーを活用すること。その先の消費者を想像できるか。事業とDXが密接に紐づいており、相互シナジーが求められるのが流通業であり、わたしが向き合うお客様の潮流だと思っています。 

QAとPMO。両軸でのサービス提供がSHIFTの新しい価値

変革を迫られている流通業のお客様の多くが、データを活用した新たなお買い物体験を生み出そうとされています。 SHIFTの支援例としては、大手コンビニチェーンのお客様における、グループ会社を跨ぐ、会員IDの共通化を目的とした、データ基盤の構築プロジェクトがあげられます。  

先方の体制は、ホールディングスの持ち株会社、システム開発を担う事業会社、ECのフロント改修を担う事業会社など、それぞれが並走している状況でした。データ量、ベンダー数の増加によってプロジェクトが複雑化。品質へのニーズが高まったことで、SHIFTが参画することになりました。 

QAを担当するだけでなく複数のベンダーを束ねるPMOとしてもサービスを提供。全体を把握したうえでテスト戦略や計画、成果物のレビューを行い、品質を可視化し、上流工程で問題を検出しました。QAチームと連携し、障害状況の確認を手際よく進めることで、水面下に潜んだリスクに対して先回りでの対応がお客様に対して能動的な動きを実現できましたね。  

会員IDが約数千万人の大規模プロジェクト。スケジュールの見直しはありましたが、管掌範囲内での遅延はなく、プロジェクトの完遂に成功。「テスト工程では相当数の障害を検出していただき助かりました」とお褒めの言葉もいただき、信頼の獲得に大きく繋がったと思います。    

実はグループ横断のご支援のスタートは、システム開発を担う事業会社様のQA案件で信頼を勝ち得たことでした。「今後もシステムテストはSHIFTさんに任せましょう」というようなお言葉をいただいて。  

総合テストのフェーズでは、ホールディングスが実施している領域もあれば、事業会社が実施している領域もあって。こういった状況下でも、TCoE(※)体制を構築することで、品質レベルの担保を可能にしました。  

(※)品質保証業務のプロセス、観点、フォーマットを標準化、テスト計画の作成から設計書のインスペクション、各種テストの設計・実行まで、担当者の能力に偏らない均一化されたアウトプットの実現  

「テストシナリオを対応いただいているのであれば、業務システムもわかっているはず、プロジェクト推進でも助けてもらえないか」というところからはじまったのがPMOなんですよね。  

当時はPMOサービスをこれから広げていきますという、まさに立ち上げの時。QAプロジェクトをベースに信頼を構築し、PMOとしてプロジェクト推進にも参画することで、他社にはないオンリーワンパートナーとしての価値提供を実現できた瞬間でした。

「One-SHIFT」として、新しいコラボレーションモデルを実現したい  

「One-SHIFT構想」を本当の意味で実現したい。  

品質サービス統括部は、主にQAとPMOがサービスの主軸。ただSHIFTという会社で見ると、提供サービスはコンサル、Agile開発支援、自動化、セキュリティ、インフラ、マイグレーション、CSなど多岐に渡ります。グループ会社まで含めると、UI、UX、マーケティング、脆弱性診断とさらに広がりますね。  

お客様の困りごとは品質に留まらないことが往々にしてあります。例えば、先述の大規模プロジェクトは企画構想段階からはじまりました。  

現状のプロジェクトはどんな問題と課題があるのか、そういった課題の整理抽出フェーズから、お声がけいただくことも多いんですよね。  

こうした支援はコンサルティング部が得意とするところで、課題の整理抽出で終わらずに、その後の開発支援へと部門間を跨ぎ、連携していくことがSHIFTならではだと思っています。  

逆もあって、リリース後は運用保守がはじまり、その運用で助けてほしいと声がかかります。CS部が得意な領域ですが、エンドユーザーからの問い合わせ対応に留まらず、障害に伴ってシステム改修が必要となり、付随して発生するテストは私たち品質サービス統括部が担えるよう連携します。  

CS部とのコラボレーションのモデルは現在取り組んでいることですが、全体を捉えるとSHIFTとして提供できる価値の余白はまだまだあると思っています。のびしろですね。  

このようなコラボレーションモデルにグループ会社とのサービス連携も加われば、お客様の困りごとに対して、打ち返せないものがなくなる。SHIFTという企業のバリューもまだまだ上げていけるんです。  

実際いまはまだ、SHIFTという会社のイメージから、お声がけいただけていないものがあると思っています。イメージの面でとりこぼしているものがあると思っていて、それはやっぱり機会損失ですよね。  

テストだけでない、DXという単語で第一想起されるよう会社の価値を高めていく。そのためにも、お客様のあらゆる課題に応えなければいけない。そのためにまだないコラボレーションモデルをより広く、より深く揃えていくことを流通グループから取り組んでいきたいです。  

これまでも、これからも、オンリーワンパートナーでありつづけるために。 

(※本記事の内容は、取材当時のものです)

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