1を10,000に伝播したい。「アジャイルって何?」から学ぶ、ひよこクラブで目指すこと

2024/05/23

「私、実際に経験があるんです。当初はウォーターフォール開発案件の品質保証業務を担当していたのですが、途中でお客様が『次の開発クールよりアジャイルでまわしていく』と」

こう語るのはエネルギーサービスグループの岩館です。

いまや、誰もが知っていて損はないアジャイル。その初心者向け社内勉強会が、アジャイルひよこクラブ勉強会(通称:ひよこクラブ)です。

その運営に携わる岩館に、ひよこクラブのことや、参加者がどう成長していくのか、運営にかける想いを聞いてみました。

  • エネルギーサービスグループ 岩館

    2022年4月にSHIFTへ入社し、エネルギー業界のPMOや品質保証PMを担当。トップガン検定※(PMOスペシャリスト)合格。FY22_4Q新人賞受賞。ひよこクラブ受講時に声をかけられ、運営や講師役を担うように。現在は運営サポートとして関わっている。 

    SHIFTグループ従業員を対象とした社内制度 

目次

全10回で初心者がスクラムマスターに

──まずは「ひよこクラブ」について教えてください。 

SHIFT社内ではさまざまな勉強会が開かれており、アジャイルに関するものもレベル別に複数開催されています。 

ひよこクラブは初級者・アジャイル未経験者向けで、全10回のクラスで1クールが構成されています。アジャイルに関する生きたスキルを身につける内容で、毎週水曜日の終業後、18時半から1時間半・オンラインで開催しています。 

会の前半は毎回テーマを変えた講義。後半は数人ずつのグループにわかれ、アイスブレイクで和やかな空気をつくってから、毎回の課題に対しオンラインのホワイトボードツールを使用してワークを行います。最後にふりかえり反省会も行います。

実際のアジェンダ例

──好評につき、第5回目のクールが実施中とのことですね。 

少人数のグループに運営スタッフが一人ずつ入ってチームが自走するまで引っ張っていく形になっているため、定員は数十人と少なめに設定しています。 

そのため、運営スタッフが多く所属する部署で少しずつ宣伝し、定員に満たなければ広く募ることにしていますが、割とはやい段階で定員に達したので、全社に告知できなかったんですよ。 

アジャイル案件担当でなくても無関心ではいられない

──こうした勉強会が求められているのはなぜなのでしょうか? 

最初からアジャイル支援と決まっているプロジェクトであればアジャイルサービス部のメンバーが担当することが多いのですが、最近はそれ以外の部署、品質保証業務やPMO、コンサル業務などでもアジャイル案件を担当する可能性はあります。 

私も実際に経験があるんです。当初はウォーターフォール開発案件の品質保証業務を担当していたのですが、途中でお客様より「次の開発クールよりアジャイルでまわしていく」と。

そのときは、「ひよこクラブでアジャイルのことを学んでいてよかった」としみじみ思いましたね。 

──全10回のなかで、特に大事な回や盛りあがる回はありますか? 

個人的には第1回と第5回、第8回です。第1回はアジャイルの概念を説明する回なのですが、アジャイルという言葉は、狭義ではウォーターフォール型と比べたときの開発方法の違いを指しますが、広義では仕事の仕方、社会人の生き方も含まれます。 

アジャイルはいいものをどんどん見せて、価値を送り込んでいくというもの。そうした意味でも業務全般にアジャイルが求められています。ひよこクラブの第1回ではこうした内容を伝えています。 

第5回はデイリースクラムがテーマです。デイリースクラムとは、簡単にいうと朝会のようなもの。

ただ、一般的に朝会というと「昨日はこれができました、今日はこれをやる予定です」と一人ひとり発言するスタイルが思い浮かびますよね。 

一方、デイリースクラムは、業務に支障を与えるものがあればそれを浮き彫りにして、チームみんなで協力してそれを取り除き、チームがゴールを達成するために再計画することを目指すもの。 

「1週間後にこうしたいのに、まだ人やツールが用意されていない」「前工程の作業が遅れているようで、予定日に作業着手がむずかしそうだ」といった先を見据えた問題を主に取りあげます。 

デイリースクラムの目的は業務遂行の支障となるものを協力して取り除くことですから、自分ができないことをみんなに伝える必要があります。 

そこで重要なのがアイスブレイクです。業務に関する会話だけでなく、雑談ができる関係になって、できないことを遠慮や恥ずかしがらずにいえる関係になることが大事なので、ひよこクラブの第5回ではこうした内容をお伝えしています。

ぜひみなさんにこの話を聴いてほしいですし、模擬体験を通じて体験してほしいですね。 

第8回のテーマは、(スプリント)レトロスペクティブです。日本語でいうとふりかえりです。

簡単な伝言ゲームを用いて成功や失敗を経験いただいて「プロセス」「技術」「チーム」についてふりかえり、具体的な改善策を提案することを経験します。チームを高め、チームが継続的に改善することに役立ちます。 

──勉強会の最後には卒業テストが? 

これは勉強会の内容をきちんと理解しているかを確かめるものです。私たち運営スタッフがつくったWeb回答形式のテストで、選択肢から選ぶ問題のほか、記述式の問題もあります。

なかには Professional Scrum MasterTM1(以下:PSM1) に関するものもありますし、講義で「ここが大事だよ」と取りあげた内容も出します。採点も運営スタッフが行います。 

──全10回の勉強会で参加者はどのような成長を遂げるのでしょうか。 

「アジャイルってなに?」という人が全10回参加することで、さまざまな現場の業務において発生する課題に対してアジャイルに対応できるようになります。 

そこから仕事に楽しみを感じ、自分のスキルアップのための資格取得(PSM1など)を目指すきっかけになると思います。

卒業したメンバーのなかには、スクラムマスターとして一人でお客様のなかに入っていって、案件をまわしている人も複数います。

スクラムマスターは単価も高いので、会社全体の価値を向上させられているのではないでしょうか。 

ひよこクラブを通じて得られるのは、喜びをわかちあえる人間関係

──ひよこクラブのオススメポイントを教えてください。 

一つは勉強会のスタイルです。講師の話をただ聞くだけの講義だと、わかったつもりになっているだけで、実は身についていないことがありますよね。

一方、手を動かす方法だと理解できていない場合は手が動かないから気づけますし、身体で覚えたことは忘れにくいので、少人数で課題に取り組むようにしています。 

リモートで在宅業務をしていると、話す相手は業務で関わる相手を中心に限られてしまいがち。

ひよこクラブでは少人数ワークでは可能な限りカメラをオンにしていっしょにワークに取り組み、助けあっていくことで、勉強会以外でも助けあえる関係になりやすいと思います。 

実は、これがとても大事なのです。業務で人間関係が嫌になったとき、そのまま会社を辞める選択をしてしまう人もいるかもしれません。

しかし、勉強会で縦横斜めの人間関係ができていればどうでしょうか。困ったときに助けあえますし、資格を取得したときやSHIFT AWARDを受賞したときにいっしょに喜びをわかちあえる──。

そんな仲間がいろいろな部署にいたら、SHIFTでの人生を楽しんでいこうと思えますよね。 

1が10,000になる。経験や知識を、従業員1万人に伝播したい

────運営側として、この活動にかける想いを教えてください。 

私は会社を活性化していきたいと思っています。最先端技術の知見や特別なスキルで会社を代表して引っ張っていくことはできなくても、縦横斜めに網目のような仲間づくりやスキル共有することで会社を活性化できればと思い、私ができる方法で頑張っているところです。 

私は2年前に入社したとき、SHIFTの勉強会の多さに圧倒されました。1万人規模の会社ですから、誰か1人が時間をかければいい作業は、1人が1万人に向けて発信すれば1万倍の効率で成長することができるはず。1万人が家族のようにともに伸びていけたら素敵ですよね。 

SHIFTはまだまだ伸びていく会社です。私もいっしょに伸びていきたいですし、「自分が勉強会で何かもらったのであれば、今度は自分が返していこう」と思うようになりました。SHIFTに入って自分の人生観が変わったことを実感しています。 

──どんな方に、ひよこクラブへの参加をオススメしたいですか?  

入社して何をするか迷ったらまずひよこへどうぞ。ほかにも、「アジャイルって何?」と思ったとき、いつか業務で必要かなと思ったとき、ホワイトボードツールを使ってみたくなったとき、仲間をつくりたくなったとき、業務改善したくなったときにもぜひ「ひよこクラブ」へ。 

ひよこクラブでは年に1〜2回、参加者や運営メンバーの募集をしています。興味をもっていただいたら、アンテナを張って参加募集をお待ちいただけるとうれしいです。 

(※本記事の内容および取材対象者の所属は、取材当時のものです)