電力の自由化、需給バランスの最適化などDXの機運が高まっている電力業界。一方で安心・安全な生活インフラを担うという重責から、すでに取引のあるベンダーと付き合いつづける傾向が強いのも事実です。
「新規参入がむずかしいなかで、SHIFTは着実に入り込んでいる。業界をざわつかせている自負はあります」と、エネルギー・インフラ事業部 事業部長の島崎 英則は語ってくれました。
今回は、SHIFTが電力業界でプレゼンスを発揮できている理由に迫っていきたいと思います。
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アカウントビジネス推進本部 エネルギー・インフラ事業部 事業部長 島崎 英則
2022年9月に入社。大学卒業後、大手SIerに勤務。約20年の間、ソフトウェア開発からマネジメントまで手がける。このときのメイン案件が大手電力会社だったことからエネルギー・電力関連産業、システムに深い知見をもち、SHIFT転職後はこの領域でアカウントプラニングに取り組んでいる。
電力業界がDXに関して抱える3つの課題
──島崎さんの役割を教えてください。
島崎:エネルギー業界、なかでも電力業界に特化したアカウントプラニングが私の仕事です。
具体的には、電力企業が抱えているニーズや課題をヒアリング。そのうえで課題解決のためのプロジェクトを企画・提案します。プロジェクトが動きはじめたら、統括マネジメントのようなところまで手がけていますね。
またプロジェクトを単発で終わらせず、その都度、追加すべきソリューションがあれば提案。あらたなプロジェクトを走らせながら拡大していくのも、大切な役割です。
──どんなプロジェクトがあるのか知りたいのですが、そもそもいま、電力業界のお客様は、どのようなニーズや課題を抱えているのでしょう?
島崎:ご存知のように2016年からはじまった電力自由化の流れもあり、あらゆる領域でDXの機運が高まっているのは大前提です。
発電から送配電を適切かつ安定供給するためのEMS(エネルギーマネジメントシステム)は不可欠。
競争激しい新電力小売の領域では、複雑な申し込み管理や契約管理、料金計算などをスムーズにつなげるCIS(顧客管理システム)も必要です。エンドユーザー向けにスマートメーターなどもありますね。
一方で、電力設備の老朽化も進み、新システムへのリプレイスといったEAM(設備資産管理)のニーズも大きい。
どの企業も一貫して、DXやITエンジニアリングに高いニーズをもっていることが課題に直結しているんです。
──では、その課題とは?
島崎:大きく3つあると考えています。
1つは「ITエンジニアの確保」です。電力関係のシステムは、規模も大きく、難易度も高いうえ、大きな責任も求められます。
電力全体の仕組みやトレンドを熟知したうえで、高い技術的知見とプロ意識も不可欠ですからね。レベルの高いエンジニアを確保するのがむずかしい。
2つめは先にあげた「競争が激化している」こと。競合よりもより高いサービス、優れたUI/UXが求められています。それも優秀な技術者のとりあいにつながっています。
そして最後は「脱炭素」への対策です。企業や家庭で風力や太陽光といった再生可能エネルギーのニーズが高まっています。
不安定になりがちなそれらの需給バランスの最適化を支援するようなシステム構築が強く求められていますからね。
──なるほど。こうした課題は新規で取引をつくるのがむずかしい「ベンダーロックインが強い業界」であることともつながっているのでしょうか。
島崎:はい。業界内で課題は認識されており、優秀なエンジニアがたくさん必要であることも理解されています。
しかし、安心・安全な生活インフラを担うという重責から、信頼あるパートナーとしか怖くてプロジェクトを進めたくない、慎重にならざるを得ないのが本音でしょうね。
お客様の要望にフレキシブルな提案で応える
──これまで、大手電力会社数社のプロジェクトを手がけられたと聞いています。SHIFTはどのように案件を獲得していったのでしょう?
島崎:そうですね。プロジェクトにおいて、職人にしか担えない部分と型化できる部分をふまえた提案が支持されているのかなと思います。
経験豊かなメンバーそれぞれがもつ業務・開発知見と型化されたテストサービスを組みあわせる。SHIFTの強み+αが伝わる提案はサービス提供後の評価も高いです。特にテストに関しては継続的な支援を行えていますね。
──SHIFTにはテストのみならず「PMOサービス」もありますよね。
島崎:はい。多くのプロジェクトを推進してきたコンサルタントメンバーが揃っています。エネルギー領域はもちろん、巨大なプロジェクトを上流工程の戦略・調達から仕切ってきた、本当に優秀な人材がいる。
彼らの実績も見せたうえで、「ぜひSHIFTにPMOもまかせていただきたい」とプレゼンし、獲得することもあります。
──エネルギー業界の知見をもつプロフェッショナル人材がいる。その実績と価値が伝わったわけですね。
島崎:加えて「フレキシビリティをもって」受注できることは隠れた強みになっていると感じます。
前職時代、現場でお客様と対峙している際に、要望に応えられない歯がゆさを感じる瞬間が多々ありました。
しかし、SHIFTは取引の大きさや期間、内容に限らず柔軟に要望に応えられる体制と姿勢がある。それも支持される理由かなと。
もとよりSHIFTのクレドにも「できないとは言わない、できると言った後にどうやるかを考える」とありますしね(笑)。
「噂に聞くSHIFT」をつくりだすプロフェッショナル人材の活躍
──小さなプロジェクトから、別プロジェクトに拡大していく。また同業他社に提案するケースも多い、と伺いました。
島崎:はい。これもレベルの高い人材がいるからこそ、ですね。先述したプロジェクトでもPMOで入ったメンバーは本当にすばらしい仕事をしてくれたのです。
「SHIFTにはここまで寄り添ってできる人間がいるのか…」と界隈がざわついたほど(笑)。
その実績と信頼から、同業他社向けの提案機会をいただくケースがあり、お客様とともに成長できている実感があります。
──安心・安全・安定性が求められる、慎重な業界。それだけに一度、信頼いただけたら仕事が広がる可能性が高いわけですね。
島崎:そう思います。業界規模は大きく、専門性も高いため、貢献実績を積み重ねることで、これまで以上の信頼を得ることが可能だと思っています。
――大手のみならず、新電力系のお客様も増えているとか。
島崎:はい。やはり評判を聞いてお話をいただく、あるいは得意領域であるテストでSHIFTのサービスの質の高さを知っていただいてほかのプロジェクトに拡大していく…といったケースが増えています。
印象的だったのは、新電力の小売事業を手がける企業とのお取引。エンドユーザーの方とつながることを目的とした、CISシステムの立ち上げプロジェクトでした。
電力は料金メニューが極めて多彩です。そのうえリアルタイムに近い使用量や料金との連携もあって、CISは複雑。そのため、品質を確保するための施策について検討されていました。
そこで「噂にきくSHIFTはどうか?」とお声がかかったのです。
――そのときはテストから、入られたのですか?
島崎:そうです。前述でも申し上げた通り、難易度は非常に高く、失敗は許されないなかでのご依頼でした。
特にSHIFTのテスト領域はメンバーが揃っていますから、精鋭が参画。テストを徹底的に行い、障害をひとつひとつ解消していきました。
結果として納期に間に合い、企業から信頼を得ることができましたね。その仕事ぶりが評価されて、上流工程のコンサルティングから任せていただくようになっています。
――いかなる案件においても、仕事ぶりが評価されていることが、躍進につながっているわけですね。
島崎:そうですね。こうしたお客様の広がりを感じられることは、個人的にも仕事の醍醐味、モチベーションになっています。
前職では目の前のお客様一社しか見えていませんでしたからね。「もっと外に出てみたい」「もっと自分の力が役立つのではないか」とジレンマが少なからずあった。
しかし、いまや日本各地、本州だけではなく幅広いお客様と接することができており、社会課題の解決に貢献したいという意欲が上がる一方です。
――事業部を牽引する立場として、今後はどのようなビジョンを抱いていますか?
島崎:上流工程から下流工程まで、できるだけ多くの領域で案件を受注していきたいですね。
ビッグデータやAIを活用して、さらに電力のDXが進んでいくような「攻めた」領域において、エネルギー・電力業界の支援をしていきたい思いがあります。
そのためにも、ともに働く仲間をふやしていきたいですね。
(※本記事の内容および取材対象者の所属は、取材当時のものです)