文字しかない企画書から、ゲーム全体のクオリティの指針となるムービーを創り出す――かつて数々の大型タイトルでグラフィック領域を幅広く支えてきたKINSHAのデザインチームがSHIFTへと合流しました※。
※ KINSHAは、エンターテインメント領域の大手企業を中心にお客様をもち、コンシューマーゲームを中心としたゲームのテストから、ローカライズ、3D/2D制作まで幅広く事業を展開。2025年3月にSHIFTグループとなり、2025年12月に吸収合併しました。
本記事では、ピンポイントかつ超高難度な専門スキルを求められるようになったゲーム開発支援について、SHIFTのデザイナーサービスを切り口に紐解きます。
グループ長・村島とデザイナー・小西の二人の話からみえてきたのは、クリエイターの視座を引きあげるSHIFTらしい環境でした。
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エンターテインメント事業部 開発支援サービスグループ グループ長 村島 充
大手通信会社、国内損保、広告会社などで幅広く業務に従事。カスタマーサポート、地方拠点立ち上げ、経営企画など経験する。その後、SHIFTの成長性と今後の可能性に魅力を感じ、2022年10月に参画。 アカウントマネージャー※から現在は開発支援サービスグループのグループ長としてKINSHA吸収合併などの組織基盤やマーケット拡大への貢献を経て現職。
※お客様単位での案件管理や、すでにお取引のあるお客様の課題に対する提案活動・折衝を行うポジション。現在は組織編制によりなくなっています。
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エンターテインメント事業部 開発支援サービスグループ 小西
前職のKINSHA(界グラフィックス)にて25年間、幅広いプラットフォームのゲーム開発に従事。3Dデザイナーとして15年のキャリアを積み、多様なタイトルのビジュアル制作に携わる。その後、グラフィックディレクターとして開発全体のビジュアル方針や品質管理を担う。現在は開発支援サービスグループにてデザインチームの責任者として、組織運営および制作品質の向上を推進している。
目次
「そこそこ」のクオリティは求められない。高難度化するゲーム開発
――まずはお二人の現在の役割について、ミッションを含めて教えてください。
村島: 私は現在、エンタメ領域の開発支援グループでグループ長を務めています。メンバーの稼働を最大化させること、そしてチーム単位でお客様のコア開発にコミットできる強固な受託体制を構築することを目指しています。
小西:私は2025年12月の吸収合併に伴い、KINSHAから転籍という形でSHIFTに加わりました。
最初は環境の変化に緊張もありましたが、SHIFTは新しい提案も前向きに検討してもらえる文化で、仕事がやりやすく自然に馴染めています。
長年ゲームデザインに携わってきましたが、現在はデザイン以外も含めた案件全体の進行管理やお客様との折衝など、現場に近いところでプロジェクトを前に進める役割を担っています。
――最近のゲーム開発の支援ニーズについて、これまでと変化していることがあれば教えてください。
村島: ここ数年、業界全体で新規タイトルの開発案件数が減ってきています。その一方で、1つのタイトルに投入される開発人員は膨れあがっている。
かつては20〜30人でスマートにつくれていたものが、いまでは50人、100人、ときにはそれ以上のメガチーム体制で臨まれるお客様も珍しくありません。
この「開発の大規模化・複雑化」は、工程の徹底的な細分化をもたらしています。
私たちへの相談も、「敵キャラクターのパラメータ設定ができる方」「格闘技ゲームの経験豊富な方」というように、求められるスキルがピンポイントかつ専門化しています。
背景にあるのは、市場の成熟やハードの進化によって、ユーザーの目が肥えてきたことです。中途半端なクオリティでは生き残れない時代だからこそ、企業側もヒットを狙える大作へリソースを集中せざるを得ない。
結果として開発全体の本数は減るのですが、その分、絶対に失敗できないという風に一打席のハードルが非常に高くなっているのが現状です。
小西: デザイン領域も同様に、案件は少なくなっているのが事実だと思います。そのなかで私たちにくるご相談はむずかしいものが多いです。
お客様自身もより質の高い商品を目指されている傾向が強く、要求水準が引きあがっているのを肌で感じています。
これは単なるニーズの変化ではなく、高いクオリティを安定してだしつづけられるチームだけが選ばれる、という構造的な変化だと私は感じています。
「ぼんやりしたイメージ」を視覚化し、プロジェクトの指針を示す
――クオリティへの要求水準が高まっているのですね。そのような状況もあるなかで、 SHIFTでは「デザイナーサービス」が生まれました。どんなサービスなのですか?
村島:お客様が開発している案件のデザイン業務の一部を請け負って制作するサービスです。体制は案件ごとに変わりますが、一案件に対してリーダーが1名、全体で3名から10名ほどで参画することが多いです。
――競合も多い領域だと思いますが、どのように他社サービスとの差別化を図っていくのでしょうか?
小西:一番の差別化ポイントは「たしかなクオリティ」をご提供できる点だと考えています。
お客様からの高い期待に応える、そのなかでも私が一番むずかしいと感じるのは、ゲーム全体のクオリティの指針をつくってほしいという依頼ですね。
お客様の頭のなかにあるのは、例えば「ゲームAとゲームBの世界観を掛け合わせたような感じにしたい」というような大まかなイメージ。
そこから「であれば、今回はこのビジュアルクオリティをベースにつくり込みましょう」と、私たちが具体的なグラフィックとして視覚化し、プロジェクトの指針となる基準を提示するのです。
――開発の初期段階から深くコミットしているのですね。
小西: はい。KINSHAには大手ゲームパブリッシャー様の大型タイトルにおいて、アルファ版やプリプロ版といった開発の初期段階から深く関わってきた実績とノウハウがあります。
あるアーケードゲーム案件では、筐体デザイン以外のモデリングからエフェクト、UIに至るまで、画面内のグラフィック要素をほぼ丸ごと支えるなど、プロジェクトの根幹を担ってきました。
ほかにも「こういう趣向のゲームにしたい」という文字情報しかない企画書の状態から、私たちが「絵にすると、目指すべき世界はこれですよね」と、直感的に伝わる簡単なムービーをつくって提案した案件もありました。
その映像をお客様に見ていただいた結果、すべての要素ではないもののそれを指針として受け入れてもらうことができ、実際の開発が具体的に動きだしました。
ぼんやりとしたイメージを形にして、プロジェクトの土台づくりに貢献できたことは、デザイナーとして非常に手応えを感じた経験です。
職種の壁を破ることで手に入るクリエイターの視座
――KINSHAとの吸収合併により、強いデザイナーサービスを提供できるようになったと理解しました。お客様への提案活動全体にはどんな変化やいい影響がありましたか?
村島: 提案の幅が劇的に広がりましたね。プランナー、QAコンサル、QAメンバーとタッグを組み、7〜8人の職種横断型チームとして、お客様の課題に対して全方位からアプローチを仕掛けることが可能になっています。
グラフィックという単一の職能に閉じこもるのではなく、同じ社内にプランナーやエンジニアがいて、いつでもシームレスに連携できる環境は本当に強力です。
一部請け負いという形ではなくて、私たちは「ゲーム開発を丸ごとSHIFTで受け入れる体制」を創っていきたいと考えています。
――職種を超えたチームで動くことで、そこで働くメンバーの視野も広がっていきそうですね。
小西: そうですね。ゲームデザイナーが転職を考えるのは、私自身の経験や周囲の声を聞いていても、担当するタイトルや特定のデザイン領域に固定化してしまい、「飽きてしまった」と感じることが最大の原因だと思います。
何年も同じトーン&マナーのグラフィックを制作しつづけることで、自身の将来のキャリアイメージが広がらないクリエイターが少なくありません。
だからこそ、SHIFTという「第三者」の立場で、業界内の多種多様なタイトルや挑戦的なプロジェクトに横断的に関われるいまの立ち位置は、キャリアの閉塞感を打破したいデザイナーにとって最高の環境だと思います。
同じものばかりつくってマンネリ化するような「飽きる暇」はありません。さらにSHIFTという環境の面白さは、同じ社内にプランナーやエンジニアがいることです。
グラフィックにとどまらず、今後はシステム的な制約を踏まえたうえで、エンジニアと「このスペックならデザインのアプローチをこう変えれば、もっとよくできる」と議論し、チームでより高いクオリティを目指せる環境をつくっていきたいと考えています。
――これからこの新しい組織に加わる未来の仲間に対して、お二人はどのような期待をもっていますか?
村島: 私は、ものづくりに対して自分だけの譲れない「芯」をもっている方といっしょに働きたいです。
「自分は組織のいちメンバーに過ぎないから、上が決めた方針に従います」という、牙を抜かれたような働き方はSHIFTでは求めていません。
「自分がこの作品のクオリティを絶対に引きあげるんだ」「自分がこのゲームを面白くするんだ」という心意気や主体性をもって、意見をぶつけてきてほしい。
そうした個人の意志の強さこそが、チームの提案力を高め、お客様との関係を深め、結果として自分自身の成長にも返ってくると思っています。
小西: 「つくりたい」という気持ちは本当に大事ですよね。「こういうゲームに関わりたい」とか「自分がつくったものを世に残したい」とか。
そういった気持ちが強い方ほど伸びますし、いい作品につながるのは私自身の経験からもいえますね。
――最後に、開発支援サービスグループが目指す、理想の組織像を教えてください。
村島: メンバー全員が、立場や職種の壁を忘れて何でも本音でいいあえる組織でありたいですね。仮に何かミスをしてしまったとしても、チームでフォローできますから。
一人で全部抱え込まなくていい。これからご入社される方も、フランクにコミュニケーションをとっていただけたらうれしいです。
「つくりたい」という気持ちさえあれば、あとはチームでいっしょに戦っていきましょう。
私たちはまだ変化しつづける組織です。できあがったレールの上を歩くのではなく、私たちといっしょに新しいゲーム開発支援のかたちを創りあげていきましょう。
熱い想いをもった方と出会えることを、心から楽しみにしています。
(※本記事の内容および取材対象者の所属は、取材当時のものです)