SHIFT Agile FESレポート!AI時代における人間中心のアジャイルを語り尽くした注目セッションを紹介

2025年5月17日、SHIFTは初となるアジャイルカンファレンス「SHIFT Agile FES」を開催しました。

国内最大級のアジャイルイベント「Agile Japan」のサテライトイベントとして、SHIFT本社とオンラインのハイブリッド形式で行った本イベントでは、「People-Centric Agile:Crafting Quality」をコンセプトに、アジャイルだからこそ実現できる品質や、エンジニア組織のあり方も含めた、AI時代における人間中心のアジャイルのあり方について、ともに考え、議論する場となることを目指しました。

品質にこだわりつづけながら、これまで1,000件を超えるアジャイルプロジェクトに参画し、アジャイル経営支援からアジャイルQA支援まで、さまざまなプロフェッショナルサービスを提供してきたSHIFTの多様なナレッジや知見も発信しました。

本レポートでは、当日のセッションからいくつかをピックアップし、イベントの模様を振り返ります。

SESSION:幸せに働ける組織を目指すリーダーの葛藤と挑戦

本セッションには、クリエーションライン 代表取締役社長 安田 忠弘氏とSHIFT VPoE 池ノ上 倫士が登壇。2名は、自社の組織づくりや事業改革を通して得た学びを共有しました。 

安田氏は、組織づくりにおける失敗を経験した過去から、HRT(Humility・Respect・Trust)を基盤とした組織運営の重要性を痛感。

また、事業方針からの逸脱によってお客様と従業員の信頼を失ったことで、ビジョンの一貫性と自社の強みに立ち返る重要性を再認識したといいます。 

一方、池ノ上はSHIFTに存在する「効率や標準化を追求する文化」と「挑戦と失敗を許容する文化」の相互作用によって生み出されたメリット・デメリットにふれつつ、エンジニアの市場価値を基にした報酬制度や、スキルやプロセスも評価する新たな制度改革への取り組みを紹介しました。

「幸せに働ける組織を目指すリーダーの葛藤と挑戦」SHIFT Agile FESイベントレポート

KEYNOTE:Kent Beckの思想と学びの道筋

本セッションでは、Kent Beck氏の著書の翻訳者である吉羽 龍太郎氏とSHIFTのアジャイル推進部 部長 秋葉 啓充が、アジャイル開発の父ともいえるKent Beck氏の歩みや思想について語り合いました。

Kent Beck氏は、XP(エクストリーム・プログラミング)やテスト駆動開発の提唱者であり、ソフトウェア開発に人間中心のアプローチを取り入れてきた先駆者です。

その原点には、建築家クリストファー・アレグザンダーの思想があり、構造の美しさやセミラティス的な重なり合いが、ソフトウェア設計にも通じるといいます。

吉羽氏のアジャイルとの出会いや、XPを最初に導入した際の手応えにもふれた対談の詳細はこちら

「Kent Beckの思想と学びの道筋」SHIFT Agile FESイベントレポート

SESSION:若手中心の内製アジャイル開発で研究開発に挑戦

本セッションには、ソフトバンク株式会社スクラムマスターの李 多美氏、アジャイルコーチ兼Agile Transformation 河村 信宏氏、SHIFT アジャイルコーチ 谷川 智彦が登壇。

ポスト5G時代を見据えたNEDOの研究開発プロジェクトでのアジャイルの実践について語り合いました。

本プロジェクトは、ソフトバンクと産総研が共同で推進し、2027年までに「超分散コンピューティング基盤」の社会実装を目指す大規模な研究開発です。加えて、特筆すべきポイントは、研究開発プロジェクトが若手メンバー中心の内製アジャイル体制で行われたことです。

李氏がスクラムマスターを務めるチームは、各研究成果を統合する重要な役割を担っており、谷川はアジャイルコーチとして支援しています。

プロジェクトには「若手中心・内製アジャイル」「商用とは異なる品質重視の優先度」「長期視点」「研究と開発の融合」といった特徴があると同時に、研究開発プロジェクトならではの壁ややりがいもありました。

若手が主体的にプロジェクトを進めるなかで、主体的に考え、動いてもらうためにスクラムマスターの李氏が考えた工夫や施策とは。

「若手中心の内製アジャイル開発で研究開発に挑戦」SHIFT Agile FESイベントレポート

まとめ

品質にプライドをもつSHIFTが、エンジニア組織のあり方も含め、人間中心のアジャイルをともに考え、議論する場として開催した本イベント。

当日のさまざまな発表を通じて、アジャイル開発が単なる手法にとどまらず、人の価値観や成長を支える文化であることが改めて浮き彫りになりました。

現場で奮闘する実践者の言葉には、日々の開発に役立つ気づきが多くあります。ぜひ各セッションの詳細レポートもご覧ください。