まったく新しい伴走型SREサービスを。「スピード×品質のシーソー」をコントロールするSREエンジニアの情熱

2025/07/04

近年、サービスの安定性と開発速度を両立させる「Site Reliability Engineering(SRE)」の重要性が高まっています。しかし、「それはGoogleのような大企業だからできること」という誤解も少なくありません。

SHIFTには、そんな常識を覆したいという想いをもった人物がいます。本記事の主人公、島田です。

伴走型のSREサービスをたちあげ、お客様からほぼ100%の満足度を得ていると語る彼。

この記事では島田のSREとの出会いにもふれつつ、情熱を胸に彼がたちあげたSREサービスの内容に迫ります。

  • アジャイル推進部 島田

    2007年に独立系SIerへITエンジニアとして新卒入社。 メーカー/商社/官公庁/教育機関などさまざまな業界業種のインフラシステム構築を経験した後、BtoC向けWebサービスのSREエンジニアとしてインフラ~MW~アプリ領域にまたがったSRE活動に従事。 2023年3月にSHIFTに入社し、QCDのブロッカーになりがちなIT領域がビジネス貢献の立ち位置を確立させるためのSRE活動のあり方を発信中。 尊敬する人はランディ・パウシュ。

目次

「点が線へ、そして立体へ」。SREという天職と、SREの真価

―――まずは島田さんのSREとの出会いから教えてください。

島田:はい。時間をかなり遡ったところからお話しさせてください。

SIerに入社して、最初は百貨店系の受注システムのハンディプロジェクトでDBやWindows/Linuxサーバーの運用を担当し、次はネットワーク、その後はヘルプデスクといった具合に、1〜2年のスパンでまったく違う職種を渡り歩くことになったんです。

「これって全然違う仕事をしているけど意味があるのかな」と悩みました。

DBエンジニアとしての深さを極めるわけでもなく、ネットワークエンジニアとしての専門性を高めるわけでもなく…キャリアの「点と点がつながらない」ことに1年目から5、6年目までずっと不安を感じていました。

そんななか、最初の転機が訪れたのは、大学のサーバー・ネットワーク構築運用案件に携わったとき。システムのユーザーは、教員・職員・学生です。

セキュリティを確保しつつ、学術的な研究をシステムが阻害しないよう設計するにはどうすればよいか――この視点で、フロントからバックエンドまでシステム全体を俯瞰できたのはとても貴重な体験でした。

この案件ではじめて、それまでの経験が活きる場面に出会ったんです。「こうやって少しずつつながるんだな」と感じました。

―――なるほど。でもそれだけでは満足できなかったのですね?

島田:そうなんです。もっと深いところまでやってみたいと思い、大手企業に転職して、そこではじめてSREに出会いました。

それまではお客様のシステムを守ることが仕事でしたが、今度は自社サービスを構築・維持する立場になり、ビジネス目線で考える必要がありました。

前述の大学の案件では技術的な「点と点が平面的につながる」感覚がありましたが、SREでは技術だけでなく、事業の価値向上を目的に据えて「なぜそのサービスを提供するのか」「なぜその機能が必要なのか」というビジネス視点で考える必要がありました。

技術とビジネス、2つの視点がかけあわさり、キャリアの点と点が「立体的に」つながったんです。

―――SREによってキャリアが立体的に。そんななか、なぜ転職を?

島田:単刀直入にいうと、前職でSREとしてやれることが少なくなってきたからです。

SREの考え方を導入して、みんなでプラットフォームを改善していったのですが、あるところから成熟してしまい、「あとはそれに沿って平常稼働させるだけ」という世界観になってしまったんです。

培った経験が活かしづらくなってしまいました。

もう一つ大きかったのは、SREの価値を広く伝えたいという思いです。

SREについて調べると世の中には「Googleや大企業だからできるんだ」という反応も多くて。でも私はそうではないと思った。

すべてGoogleと同じことをする必要はなくても、要点を押さえて企業規模やサービスにマッチするSREのやり方があるはずだと。

そんな思いで、まだSREをまだ積極的に導入していない会社を支援していきたいという想いで転職を決意しました。

私のSREに対する情熱や、実際にやりたいと思っていることをきちんと聞いてくれたのがSHIFTだったんです。

image1

いままでなかった、ツールフリー&伴走型のSREサービス

―――SHIFTに入社されてしばらくしてから、SREサービスを実際に立ち上げたそうですね。世の中にはないまったく新しいものと聞いたのですが。

島田:Googleは自社プロダクトの信頼性担保のためにSREという手法をもち込みました。まず前提として、SREは自社プロダクトに対して行うものです。

企業にとってDX推進は避けて通れない課題ですが、その実現には「内製化」が不可欠です。外部依存を減らし、競争優位性を高めるためです。

しかし日本企業では、外部ベンダーに過度に依存し「ベンダーロックイン」が起きがちです。

その結果、コストの肥大化だけでなく、柔軟なシステム変更や市場変化への対応がむずかしくなります。

自社プロダクトに対して行うSRE活動と、DX推進の必須条件である「内製化」は切り離せない関係にあります。

だからこそSHIFTでは、お客様のSRE支援にあたって、「伴走型」で取り組み、「内製化」の力をいっしょにそだてていくことを大切にしているんです。

―――なるほど。SHIFTが提供しているのは、具体的にはどんなサービスですか?

島田:まずSREの本質は「事業価値向上」です。

そのためには、組織がシステム、サービス、プロダクトにおいて適切なレベルの信頼性を持続的に達成できるように、「スピード×品質のシーソー」をコントロールしていく必要があり、信頼性の担保に関わるすべてのことにSREは責任をもって向き合います。

その役割を果たすため、SHIFTではお客様のシステム・サービス・体制の成熟度別/ご予算別にあわせてフレキシブルに提案内容をカスタマイズしたSREサービスを提供しています。

要件定義~設計~実装~運用設計~教育(リリース引き渡し)~運用のすべてのフェーズを網羅していて、例えば「なぜか障害が多くて、慢性的に時間がない」という場合、アセスメントから入りますが、「高度監視化ができていないことに課題がある」と認識されているお客様には、導入コンサルティングから入ることもあります。

綺麗なレポートを作成し「論理的にあなたの課題はこうで、これを導入すれば解決します」と提案するだけで終わることはしません。

導入後、最適化やSRE活動の定着まで伴走させていただく場合もあります。このアプローチが他社にはない強みです。

―――お客様ごとに最適な解決策を提案するとなると、選定するツールも幅広いのでしょうか?

島田:はい。特定の製品に縛られないマルチベンダーなので、お客様が使いたいものに合わせて対応できますし、どのツールを使えばよいかわからないお客様には、最適なツールを選定するところから支援します。

製品に縛りがない分、つねに最適解を模索しつづける姿勢が重要です。

プロジェクトの背景や前提があることもよくありますが、それでも私たちはつねに脳で汗をかき、最適解を見つけ出す努力をつづけなければなりません。

実はあるプロジェクトで、技術的に国内に先例のない「Splunkのコンテナ化」を行うことになったものがあって。

決定事項だったので後戻りはできず、またその後プロジェクト自体も成功したのですが、私は「本当にこれが最適なのか」と自問自答しつづけました。

妥当性をつねに問いつづけ、お客様と対話しながら進めていくこと、これを大切に心に刻んでいます。

image2

信頼性は会話によってつくられる、私にとってのSRE

―――これからますます引き合いが増えていくなか、いっしょに働く仲間にはどんな方を求めていますか?

島田:まず知的好奇心です。SREはインフラ全体を見る必要があるので、インフラだけでなく、アプリケーション開発、ネットワーク、DBなどさまざまな領域の知識が必要になります。

そんなスーパーマンはいないので、自分の得意分野をベースに、課題に応じて「これはネットワークの知識が必要だ」「これはPythonの知識が必要だ」となったときに、自ら学んでいける知的好奇心が重要です。

「SREは会話だ」という言葉があるのですが、人に相談でき、円滑にコミュニケーションがとれ、助けを求めることができるかも重要です。

わからないことを恥じず、自分のできないことを認め、あるべき姿に向かって最適な行動をとれる人がSREに向いていると思います。

―――SREエンジニアとして、SHIFTではどのような姿勢が評価されるのでしょうか。

島田:私自身、目標設定は「お客様の課題解決への貢献」を軸に上長とすり合わせています。

何よりむずかしいのは、お客様と課題感を共通認識としてもつこと。そのために大事にしているのは「ここが問題だ」と提起しつづけ、まわりを巻き込んで解決していくことです。

発信すること、相手の話を聞くこと、共通認識をもつこと。そのうえで、技術的な知識や体制の組み替えなどを活用して、課題を解決していくこと。

私自身、これを実践することで評価していただけているのではないかと思います。

―――ご自身の今後のキャリアパスについてはどのように考えていますか?

島田:私はSREのエバンジェリスト、つまりSREの伝道師として活動したいと考えています。

事業としてますます多くの企業のSREを支援していくためにも、まず社内にSREを伝え、さらに対外的にもSREを広めていくことが重要です。

実際、社内でコミュニティを立ち上げ、勉強会を開催し、社外イベントへの登壇もしはじめています。

SHIFTはテストのイメージが強いですが、SREの領域でもSHIFTブランドを確立したい。そんな「やりたい」を自分たちで実現していけるから、やりがいも生まれます。

人間が携わる以上、不確実性と向き合わなければならないITシステムの構築運用において、SREはみんなが幸せになる道を探求する営み。

これからもその思いを大切に、SHIFTのSREサービスを広げていきます!

―――本日はお忙しいなか、ありがとうございました!

(※本記事の内容および取材対象者の所属は、取材当時のものです)