「公共のサービスを支援する部署、と聞くと『未経験では転職できない』というイメージをもたれる方が多いのですが、そんなことはありません。
開発現場で何らかのリーダー経験があれば、すぐに溶け込んでいただけるはずです」
こう話すのは、公共サービス部で部長を務める須藤厚です。
SHIFTが公共分野に参入したのは、2021年。当時、不具合が生じていた新型コロナ関連の某システムについて、中央省庁から「品質保証をお願いしたい」とお声がけいただいたのがはじまりでした。
あれから3年。いまや数十を超える公共団体のお客様を支援し、新しいサービスやインフラの開発をおもに品質の面から支えています。社会貢献性の高い業務を担うやりがいや目指す組織像について須藤に聞きました。
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公共サービス部 部長 須藤 厚
大手証券系シンクタンク入社。約10年の開発現場、約6年の海外駐在を経たのちにネットバンク設立におけるIT戦略、数千人月単位のPM・体制構築を担う。業務開発刷新、インフラ基盤更改、サイバーセキュリティ対策など、ITアーキテクチャー全般の大小さまざまなPMを経験ののち、2021年3月にSHIFTに入社し、現在は公共サービス部の部長を務める。趣味は旅行、ジョギング、ゴルフ。
目次
すべては信頼獲得からはじまった。官公庁出身者も加わり、事業の追い風に
──はじめに、公共サービス部の概要についてお聞かせください。
須藤:官公庁と地方自治体、および公共の案件を担うSIer、100団体ほどのお客様を支援している部署です。品質保証やDX推進のほか、SHIFTが展開するふるさと納税サービス「まん福」の自治体誘致も行っています。
メンバーは総勢120人で、デリバリー部隊である「公共サービスグループ」110人、一般競争入札に向けた提案活動と落札案件のPMを担う「公共ストラテジーグループ」10人で構成。
コンサルティング部をはじめとする他部署やシステムのトラブルシュートを専門とするグループ会社などと連携しながら、さまざまな案件に取り組んでいます。
2024年9月に発足した新部署のため、引き合いの数に対して人数が少ないのが目下の課題です。早期の組織拡大が急務となっています。
──SHIFTが公共分野に参入したのは、2021年だとうかがいました。後発でありながら、順調に取引数を増やせている理由はなんですか?
須藤:冒頭でお話しした新型コロナ関連システムの品質保証では、関係省庁から絶大な信頼を獲得できました。
その評判が省庁やSIerに広がり、取引拡大につながったことに加えて、官公庁出身のメンバーが参画したことが追い風となりました。
SHIFTはあくまでも第三者としてソフトウェア、そしてプロジェクトそのものの品質を管理する立場。コスト削減や納期に追われることなく、つねに品質優先で動いています。
こうした独自のスタンスに惹かれて、SHIFTに参画したのが、元デジタル庁統括官の篠原俊博。私たちの部を内包する公共事業部部長として現場をリードしています。
また、会社の顧問には国土交通省や内閣府に在籍していた青木由行氏が名を連ねています。
おふたりの働きかけによって、デジタル庁や国土交通省と強固なパイプができ、かつ、お客様が目指す方向性やニーズを的確につかめるようになったんです。
公共の課題・トレンドは「標準化と情報共有」。停滞するプロジェクトを推進すべく、品質面をサポート
──実際にこれまでかかわってきたプロジェクトの事例を教えていただけますか。
須藤:ここ1年ほど、マイナンバーカード関連の案件を複数支援しています。
例えば、健康保険証と紐づける「機能一体化」。情報をのせたカードを医療機関に持参しても、システムがうまく作動しないケースがたびたび発生し、問題になっていました。
暗雲立ち込めていたところに、私たちが参画し、品質分析と根本的な原因解明に尽力。改善に向け、確かな道を探し当てることができ、お客様からたいへん感謝されました。
──大がかりな国の施策にかかわることに、モチベーションが高まりそうですね。
須藤:そうですね。デジタル庁をはじめ、国としてITの力で国民の利便性向上を図ろうとしているなかで、肝となる品質面をサポートするのが私たちのやりがいであり、ミッションです。
また、自分の生活にも家族にもかかわる身近な取り組みであること、公共というくくりで物事を広く見ることができるところにも面白味を感じています。
──多くの公共のお客様と接するなかで、共通課題やトレンドをどんなところに感じていますか?
須藤:「標準化と情報共有」が課題であり、トレンドだととらえています。長い間、地方自治体はそれぞれ独自のシステムを使い、情報も分断されていました。
そのため、あらゆる改善に相当の時間がかかっています。さらに、取り組みを支援するSIerも人手が足りず、各社ともに苦戦を強いられている。
こうした状況下で私たちができるのは、やはり、システム、プロジェクト全体双方の品質を向上させること。案件の推進に貢献できていると自負しています。
さらなる組織拡大に向け──広くリーダー候補を募る背景と狙い
──組織拡大が急務とのこと。具体的にはどのような経験・スキルをおもちの方に、仲間になってほしいですか?
須藤:システム開発のプロジェクトマネジメント経験があるとうれしいですね。PLまで経験している方は、入社後経験を積むことでゆくゆくはPMになってほしいと考えています。
今後、私たちは一般競争入札で新たなお客様の開発案件を受託していきます。社内外のさまざまな専門部隊をまとめながら、プロジェクトを推進するPMの役割を担うケースはさらに多くなるでしょう。
さらなる組織拡大に向け、迅速なリーダー育成を実現していきたいと思っています。
──PMを目指してもらうために、どのようなファーストステップを用意していますか。
須藤:まずは、小規模なチームのリーダーとして挑戦する場を設けたい。
先ほどお話ししたマイナンバーカードの「住民票や戸籍謄本などのコンビニ交付」案件については、全国1,700以上の地方自治体に対し、リリースに向けた最終の品質テストを展開中です。
そのうちの1市町村のPLを、新しいメンバーにお任せしたいと考えています。
さらに、一般入札で落札できた大型案件には、サブリーダー的な立ち位置で入っていただき、現場で経験を積んでもらいながら、シニアのPMが随時フォローしていく体制を構想しています。
支援するのは、国民の暮らしを便利にするための新たな取り組み。現場には“ポジティブ”しかない
──未経験から公共案件のメンバーとなることに対して、不安をもつ方もいらっしゃると思います。そのあたりについてはいかがでしょう。
須藤:私たちが支援しているのは、国民の暮らしを便利にするための新たな取り組みであり、レガシーシステムの保守ではありません。
何かを維持するのではなく、みんなでアイデアを出しながら、よいものをつくろうとしている。
障壁が立ちはだかったとしても、チャレンジ精神があれば乗り越えられることばかりです。とにもかくにも現場はポジティブさにあふれています。
留意点があるとすれば、公共案件のPMにつく条件として、情報処理のPMやITストラテジスト、AWS資格など公的資格の保有が求められていること。
ですが、もし保有していなくとも、入社後、勉強するチャンスになると思いますので、前向きにとらえていただけたら。
学びでいうと、ストラテジーグループのメンバーとともに、提案書を作成するチャンスもあります。最上流工程から下流工程まで、全工程の企画を考え、形にしていくプロセスは、必ずご自身の血肉になると思います。
──実際に、公共サービス部ではどのようなタイプが活躍していますか?
須藤:PMって突き詰めると、コミュニケーションなんですよね。
お客様やメンバーと対話しながら、それぞれの思いを理解し、ギャップを調整するのが仕事ですので、フットワークが軽くて、人と接するのが好きなタイプが向いていると思います。
さらに、技術的なバックグラウンドがあるひと。オールラウンドでなくてもいいんですが、自分のコアとなる分野があると、軸がぶれずにバランスよくマネジメントができる傾向がありますね。
若手メンバーでいうと「数々の苦難を乗り越えて、高い目標に到達できた」など、何かしら苦労した経験があるひとが強いと感じます。
組織拡大の先に描くのは、「品質といえば、SHIFT」と連想される世界
──今後の展望について聞かせてください。
須藤:国のIT予算でいうと、デジタル庁で5,000億円、地方自治体では1兆円以上。チャンスは無限大、実際に引き合いもたくさんあります。
順風満帆ともいえる公共サービス部の課題はおもに2つあります。1つめは、先ほどから申しあげているとおり、組織の拡大、そしてリーダー候補の募集、育成が急務であること。
2つめは、ストラテジーグループの提案力向上です。一般競争入札の競争に勝ち、落札しなければ売上につながりませんので。
確かな提案書を書きあげる、納得感のあるプレゼンができる、落札したプロジェクトをしっかりリードできる、という即戦力人材もまだまだ不足しているのが現状ですので、全体的な底上げは不可欠です。
こうして力をつけながら、チームを大きくし、公共の領域で「品質といえばSHIFT」といわれるようなブランディングを築きたいと思っています。
──最後に、候補者へ向けてメッセージをお願いします。
須藤:新しい仲間とSHIFTで最大級のプロジェクトを受注し、成功させたいです。興味のある方、いっしょにがんばりましょう!
(※本記事の内容および取材対象者の所属は、取材当時のものです)