「その常識、変えてみせる」
SHIFTが掲げるこのタグラインは、私たちの事業への取り組みや社会課題解決への姿勢を表すものです。
それはコーポレート業務においても同じ。たとえば「やりがいを感じづらい」「コストセンター」と思われがちな総務が、経営に直接影響をおよぼし、未来を左右する要の存在となるよう、総務部はさまざまな取り組みに挑んできました。
そんなSHIFT流の総務を象徴する人物が、総務部長の坂本。彼は国内大手SIerでワークスタイル変革を成し遂げた後、2024年にSHIFTにジョインしました。
総務部はいったい何を成し遂げようとしているのでしょうか。坂本に聞きました。
-
総務部 部長 坂本 俊一
大手証券会社にて、営業、総務、IT、財務など幅広く経験。2019年1月NECに入社し、総務部門でオフィス変革、働き方改革の推進により成果を残す。2024年8月、SHIFTに転職。「戦略総務」として、総務領域から経営の底上げと、総務という仕事の底上げに挑んでいる。
目次
「弘法、筆を選ばず」に甘えない
―――総務部のミッションを教えてもらえますか?
坂本:SHIFTで働くすべての方に「最高の環境を提供することで、最高のパフォーマンスを出してもらう」です。
「弘法、筆を選ばず」といいますが、いい筆のほうが弘法はもっとすばらしい書が書けるはずです。才能のある役者は路上でも輝けるでしょうが、すばらしい舞台装置のうえならば、さらに輝ける。
ハード面でもソフト面でも、SHIFTの従業員のためにすばらしい”筆”や”舞台”を用意して磨きあげることが、私たちの仕事だと考えています。
―――新しく移転した「麻布台オフィス」と「新宿第1オフィス」は、まさにそうした舞台装置のひとつなわけですね。
坂本:はい。特に麻布台オフィスは、まだまだそのポテンシャルを発揮できるはず、と感じています。
意匠としては申し分なくすばらしい。一方で使いやすさの観点では改善できる余地があるなと。
「リアルに人が集まって交流や協働する起点」になる場ですが、そのためにはハード面、ソフト面ともに伸びしろがあると考えています。
―――なるほど。ただオフィスを充実させる一方で、SHIFTはリモートワークも織り交ぜた働き方が定着しています。ワークスタイルが多様化するなかで、舵とりがむずかしいのではないでしょうか。
坂本:そうですね。
残念ながら、個人と組織を、生産性向上の観点でとらえると相性がいいとは限りません。
たとえば個人の生産性を突き詰めると、「働く場所を好きに選べる」スタイルが圧倒的に楽で、生産性もあがる場合が多い。
一方で組織の生産性でみると、「N対Nのコミュニケーション」や「意図せざるコミュニケーション」がもつ影響力も無視できない。
雑談まじりの会話が増え、互いの知見がからみあうことで、偶発的な化学反応が生じる可能性が高いからです。
これらはオンラインでは生まれにくく、リアルな交流が圧倒的に強いものですからね。
―――どう折りあいをつけようとしているのでしょう?
坂本:これは総務の仕事すべてに通じるのですが、まずは「経営サイドの思いを受け止めて会社の方針として理解し、全社に伝える」こと。
そのうえでしっかりと「現場の皆さんの課題を聞いて、経営に伝える」ことに尽力しています。両者のつなぎあわせこそが、本質的な総務の役割だからです。
そこで、まず丁寧に現場の声をひろい、働き方に関する課題や悩みをすいあげていくことが大事だと考えています。
一方でその意見を踏まえたうえで、経営陣として実現させたいことについて方向性を確認しながら、会社としてのワークススタイルに関しての共通見解をつくり、展開をしていきたい。
―――現場の声を吸い上げる際に、意識していることがあるそうですね。
坂本:「どんな設備がほしいですか?」「どんな課題がありますか?」といった質問をしないことです。
「どのように仕事を進めていますか? どのようにしたいですか?」といったあるべき状態を軸に聞くようにしています。
「どんな設備が…」「どんな課題が…」と聞くと、聞かれた側の頭のなかにある選択肢からの回答になってしまうので限定的になってしまう。
しかし、「何をしたい?」と聞くと、「お客様に心地よさを感じてもらえる場にしたい」「お客様が取引開始したくなる空間にしたい」「仕事がめちゃくちゃ捗る仕事場がほしい」といった具合に、未来志向で広がっていきますからね。
そのうえで、我々総務のプロフェッショナルが「それならば…」と豊富な引き出しを組みあわせて、提案できます。
―――おもしろい。しかし、あらためて総務の業務は経営に資する、大事な業務なんですね。
坂本:そう自負しています。
冒頭で申した、最高の環境を提供して、従業員が最高のパフォーマンスを出せれば、企業も最高のパフォーマンスを発揮できる。それは社会貢献や社会活動に直結しますからね。
前職のころから、私は総務のプロフェッショナルとして、その意義に自信をもってきました。
アメリカ企業にみた、総務のプロとしてのプライドと専門性
―――大手証券会社からキャリアをスタートされたそうですね。
坂本:はい。当初は営業に配属されていましたが、4年目にコーポレート側に異動しました。いわゆる総務部で、グループの不動産契約管理や工事仕訳、支払いなど基本的な仕事からはじめたのです。
―――そこから総務のプロとしての道を歩もうと?
坂本:いや。最初から意識が高かったわけではありません。
ただあるとき、外資系企業の合併対応に携わることになり、外資系企業のコーポレート担当の仕事を目の当たりにする機会があった。そこで総務のイメージがガラリと変わったんですよ。
―――外資系の総務職は、まったく違った?
坂本:違いましたね。彼らはバックオフィスの仕事にプライドと専門性をもち、プロとして自分のスキルを磨き、会社を選び、選ばれていた。
大いに感化されて「自分も総務のプロフェッショナルになろう」「会社を選べる立場になろう」と決意しました。
そのためには「総務だけやっているのではダメだ」と判断。
今後、どんな職域でも必須になるであろう「IT」の知識と、会社の意思決定に重要な目線を掴むためにように「ファイナンス」の知識を学ぶべく、異動願いを出したのです。
結果3年間、証券会社のIT部門でSEとして社内システムなどを担当。その後、3年間は財務部でFP&Aや管理会計の制度設計などを手がけていました。
―――ユニークかつ戦略的なキャリアパスですね。そして満を持して、総務部に戻ったのですか?
坂本:それが戻れなくて(笑)。「諸事情もあって、ここは本格的に総務でやっていけるかどうか挑戦をしてみようと思い立って、国内大手のSIerに転職したのです。
それが2019年1月。新しい環境で働きやすさを実現するための、全社をあげたワークスタイルやオフィスづくりを手がけるというプロジェクトに邁進しました。
―――その後コロナ禍もあり、「オフィス不要論」もあがるなど過渡期を迎えました。
坂本:はい。「オフィスの意義」や「総務の価値」を問いただす時流のなか、経営陣と侃々諤々の議論を重ねました。
経営側からしたら、誰もこないオフィスの膨大な維持費を負担しているのは我慢ならないけれど、いつか出社できるとなった潮目に「働きやすさ」や「働きがい」を増幅するような舞台としてのオフィス環境を準備しておきたい。
このときも従業員の多くにアンケートを実施、声を拾い集めました。さらにブランディングの部門とすりあわせ、会社の理念やパーパスと地つづきのオフィス設計を形にしたのです。
―――それだけ充実した総務の仕事をされていたと考えると、前職を離れたのが、不思議に思えてきます。なぜ転職を?
坂本:組織規模の壁があったからです。
前職では私自身、仕事のやりがいは感じていました。ただ、どうしても10万名の大所帯。1人の力で、やりきれる範囲が限られてしまいました。
特に、総務に関して結果は残しつつも「こうやればこうなる」という再現性の高さ、SHIFTでいう「方程式」まで見い出せたかといえば、むずかしかった。
もう少しコンパクトな規模で、かつ成長著しい場所で挑戦ができる。経営面でもコミットして総務の力を発揮できる場を求めていたのです。
そんなときにSHIFTにお声がけいただきました。
総務の価値を知る組織で、業績にも影響を与えていきたい
―――似たような規模の他社からもお誘いがあったのではないでしょうか。なぜSHIFTを選ばれたのですか?
坂本:求人名を「戦略総務」として、経営に影響を与えてほしいとメッセージを発していた点が大きいです。総務領域の価値を感じてくれる場所で、思う存分力を出し切ってみたいと思えました。
また、決算資料でもコーポレート業務について具体的な数字を交えてここまで公開している会社を私は知らなかった。まさに「常識を超えていく」組織だなと、その点に可能性を感じましたね。
―――実際に入社されて、いかがでしたか?
坂本:決断とそこからの行動のスピードは、尋常じゃないなと感じました。「その話、うえには通っている?」みたいなわずらわしい会話がなく、すぐさま施策がまわりはじめる。
スピードは私が臨んでいたものだし、組織の強みだなと思います。
―――スピードはSHIFTの大きな特徴ですよね。今後のビジョンは?
坂本:総務が業績に影響を与え、貢献できたという実例を積み上げていきたいです。
たとえば、各オフィスをどのように効果的に使ってもらうのか。現在の麻布台オフィスも底知れないポテンシャルを秘めていますが、まだまだその力を出し切っているとはいえないと思います。
いずれにしても、SHIFTはグループ連結で約13,500名の組織に急成長しています(2024年8月末時点)。さらに今後、2万名、3万名と従業員数が増えることも予定されています。
オフィスやその使われ方、ワークスタイルといった面でも、さらに高度化していく必要があります。
そうした大きな課題をのり越えた先には、さらに総務という仕事そのものの価値を、日本において上げていきたいですね。
実は総務の磨き上げは、日本全体の伸びしろだとも思っていますから。ぜひ、実現させたいんですよ。
※本記事の内容および取材対象者の所属は、取材当時のものです