誰にも使われなかったら価値はゼロ。社内システムを進化させつづけるリーダーの矜持

2024/07/31

「私たちの競合は、他社の情報システム部門ではなく、サービスを提供するIT企業だと思っています。『ITの力を駆使して、大きな価値をつくりだしたい!』という気概をぶつけるには、うってつけの場所だと思います」 

こう語るのは、基幹システム推進・統合グループのグループ長、大網 康志です。 

SIer、ITコンサル、グローバルERPベンダー営業を経て、SHIFTに入社したのは2015年9月のこと。当時、基幹システムの専任担当となった大網が自ら描き、代表の丹下にプレゼンしたのが未来に向けた基幹システム全体のグランドデザインでした。 

グランドデザインのベースとなるコンセプトは「ベスト・オブ・ブリード」。個々の業務システムは成長のフェーズにあわせて最適なものを導入しつつ、中心に据えた統合プラットフォームを介して全体最適を実現することで、急成長企業を支えてきました。そんな同グループのこれまでとこれからに迫ります。 

  • 基幹システム推進・統合グループ グループ長 大網 康志

    SIerにてシステム導入を経験後、製造業向けコンサルティングファームにて、IT改革プロジェクトに従事。ERP、PLM、原価管理、DWHなどを中心に、システム企画、導入、保守運用などのフェーズを幅広く手ける。2015年にSHIFT参画後は、SFA、販売管理、PJ管理などの各業務システムの刷新・導入・改善に従事し、IT化の推進を担う。経営陣から業務担当者までの要望に応え、会社の特徴や成長ステージにあわせ、最適なシステムをタイムリーに導入することを心けている。

自ら策定したグランドデザイン。すべての核は“統合プラットフォーム”

──はじめに、基幹システム推進・統合グループの業務内容について教えてください。 

大網:SHIFTの基幹システムの企画・導入・初期運用・改善を行うグループです。正社員のメンバーは6人で、SaaS担当、スクラッチ開発担当、統合プラットフォーム担当、SRE担当にわかれて仕事を行っています。

また、フロント部門やグループ会社のエンジニアにも協力してもらうことも多く、現在は20人程参画してもらっています。 

──領域のひとつとして“統合プラットフォーム”を掲げているのが特徴的ですね。 

大網:2015年に入社してすぐにグランドデザインを描いたとき、中枢に置いたのが「ベスト・オブ・ブリード」の考え方でした。

数あるSaaSとスクラッチ開発という選択肢からベストなシステムを導入し、それらを統合プラットフォームで連携することで全体最適を実現するモデルです。 

当時からSHIFTは成長しつづけている会社でしたし、「SHIFTらしさ」と呼ばれている他社とは差別化された業務要件も存在し、改善されつづける文化がありました。

それを考慮すると、必然的に「ベスト・オブ・ブリード」のような柔軟性の高い考え方が必要と判断しました。 

──これまで、どのようなプロセスで、自ら描いたグランドデザインに近づけてきましたか? 

大網:まずは、各業務領域で利用する業務システムについてベストなソリューションへと刷新・導入することを進めました。

具体的には、SFAや販売管理からはじまり、会計・原価計算、プロジェクト管理、稟議、経費精算などに関するものを順次導入しました。 

また、それと並行して、全体最適を実現するために必要な統合プラットフォームについても少しずつ整備を進めました。

具体的には、統合認証、ETL、DWH、BIツール、iPaaSなどを順次導入しました。当初描いたグランドデザインを実現するために必要な要素はある程度揃ってきています。

ですが、現在も業務システムの改善やリプレイスなども進めていますし、統合プラットフォームの活用した全体最適への施策も並行して進めているので、やることは多くあります。 

使ってもらわなければ意味がない。「ベスト・オブ・ブリード」を体現した“契約書管理DX”

──これまで、たくさんの開発をリードされてきたと思いますが、なかでも特に印象に残っているプロジェクトは何ですか? 

大網:たくさんあるのでひとつに絞るのはむずかしいですね(笑)。最新のものでいうと、契約書管理DXでしょうか。 

契約を締結するまでには、契約内容の確認、契約書のドラフト作成、自社での法務チェック、相手側の法務チェック、両者の押印……と、数多くのステップで数多くの担当者が関わっています。

やりとりに使うツールも、メール、チャット、電子稟議や電子サインなどさまざまです。 

こうした煩雑な作業を一元管理する契約書ライフサイクル管理(CLM)というサービスがあり、それを導入することを企画しました。 

CLMサービスをベースにしつつ、既存の稟議システムを組みあわせることで業務がシームレスに流れるようにし、締結後の契約書は自動でSalesforceに連携し必要なときに契約書を閲覧できる環境を提供することで、相乗効果を実現しました。 

契約管理の中心となる法務担当にとってベストなソリューションが、契約に関わるほかのユーザーにとってベストとは限らないので、各ユーザーのユースケースにあわせてベストなソリューションと組みあわせたところがポイントです。 

単体のシステム導入だけでは得られないような効果をもたらすには、「ベスト・オブ・ブリード」の考え方で全体最適を実現する必要があります。

契約書管理DXは、全体最適の実現に統合プラットフォームを活かした事例となっています。 

参考記事:ベスト・オブ・ブリードで実現したSHIFTにおける契約書管理DX 

──ものづくりにおいて、大網さんが普段意識していることは何ですか? 

大網:ユーザーが使いやすいシステムをつくることですね。触れられることでシステムの価値を実感してもらえるし、より長く使ってもらうことで、その価値はさらに上昇していくものだと捉えているので。 

1年かけて完璧なシステムをつくったとしてもその1年間は誰にも使われないので提供価値はゼロです。出せる効果は小さくてもはやく使ってもらえるようにすることを重視しています。

コアな部分からリリースすることで、ユーザーからも具体的な要件を集めやすいですし、はやくいいシステムができると考えています。

スモールスタート&アジャイルというスタイルがよいのではないかと考えています。 

求められる自主性にどう応えていくかが、活躍できるカギ

──基幹システム推進・統合グループでは、どんなマインドやスキルをもった方が活躍できると思いますか? 

大網:うーん。とてもむずかしい質問ですね。長く採用活動にはかかわっているものの、どう伝えたら求めている人が応えてくれるのか、未だにわからないんです。

経験やスキルはあるに越したことはないんですが、それがあるからといって活躍できるとは限らない。 

ただ、ひとつ断言できるのは、すばらしい企画書や計画書、提案書はつくれても、実現に向けて動けない人は評価されない会社だということ。これは私自身が身をもって知ったことです。 

入社して2ヶ月たったころ、自ら描いたグランドデザインをもって、意気揚々と代表の丹下に提案しにいきました。しかし手応えはゼロ。

いま振り返ると、実際に提供される効果や価値を具体的に見せられていなかったからだと理解していますが、当時は「このまま進めていいのかな?」と不安になりました(笑)。

不安はありながら、そのグランドデザインの実現に向けて、個々の施策を関係者と合意をとりながら進めて行きました。

その後、システムをリリースし運用改善を進め、具体的な価値が提供されていくと、ユーザーや経営層からの評価としてフィードバックされるというのがSHIFTにあった進め方だったのです。 

こういったスタイルにアジャストできる方が活躍できると思います。 

──SHIFTでは自主的に動くことを歓迎されるんですね。 

大網:そうなんです。どんどん自分で進めていくことが歓迎されます。誤解がないように補足しますが、事前に提案をし、予算を確保し、稟議が承認されないとシステム導入は進められません。

必要に応じてPoCしたり、スモールスタートするといった感じで目指すゴールに向けて進めていくイメージです。

事前に要件を明確にし、プロジェクト計画や体制など合意を取ってから進めるという過去の習慣から抜け出せたから、いまやりたいことに全力投球できています。

成功だけでなく、失敗も山ほど経験しましたが、あらゆる体験が自己成長につながっているように感じます。 

うちのメンバーにもつねづね「何事も尻込みせず、自分でどんどん進めてほしい」と伝えています。

予算とか人手が足りないといって、足が止まっちゃう人はうちのグループではちょっと厳しいでしょうね。 

情熱をぶつけられる、やりがいのある場所。情シスという名で食わず嫌いせず、門を叩いてほしい

──当初のグランドデザイン実現に向けて必要な要素が揃ってきているとのこと。グループ長として今後目指していきたい方向性について教えてください。 

大網:今後は、SHIFTならではの価値づくりに挑戦していきたいと考えています。 

SHIFTでは全従業員が毎日勤怠・工数登録しているのですが、オフィス入退室時の顔認証のログや、社内ネットワークへの接続ログなどを組みあわせたり、さらには別で取得管理しているストレスチェックや従業員満足度調査の結果との関連を見て、健康経営や働き方改革へのヒントが見つかるかもしれない。

これはほんの一例ですが、いずれにせよ、従業員のため、会社のためになるようなデータの利活用を進めていきたいです。 

──最後に、採用候補者の方にメッセージをお願いします。 

大網:いち企業の情報システム部門としては、非常にやりがいや面白さのあるポジションです。 

私自身、「与えられたものをただこなすのではなく、自ら考え、課題を見つけて自由度高く動けそうな点」に魅力を感じ、8年前、SHIFTに入社しました。

従業員が300人だったあのころも、単体7,000人超(※2024年5月末時点)の大企業に成長したいまも変わらない、ベンチャー気質が社内にみなぎっています。 

私たちの業務課題が発端となって、情シス向けの自社サービスがリリースされた例も複数あります。

「自分の手で、世の中にないサービスをつくるんだ!」というような熱い思いをもった方は、情シスという名前で食わず嫌いせず、ぜひご応募ください! 

──大網さん、本日はありがとうございました!  

(※本記事の内容および取材対象者の所属は、取材当時のものです)