
「DevRelグループ」。
これは自社の技術やエンジニアと、社外のエンジニアをつなぐ“DevRel(Developer Relations)”に特化した専門組織のこと。
その活動はエンジニア向けのイベント開催やカンファレンス登壇、ブログやSNS運営など、テック関係の情報発信とコミュニティ運営と多岐におよびます。
GAFAなどのテック企業ではおなじみですが、SHIFTのようなSIerがDevRelグループを立ち上げ、積極的に活動しているのは極めて稀です。
立ち上げから数ヶ月で、同グループの活動により、SHIFTのエンジニアの高い技術力と強い組織力が、業界内に知られはじめています。
なぜ、いまSHIFTはDevRelに力を入れているのか。グループが思い描く、SHIFTの未来像についてDevRelグループの3人に聞きました。
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採用開発部 DevRelグループ グループ長 チャンドラー 彩奈(あやなる)
学びの場コーディネーター。カンファレンスやコミュニティなど、エンジニアが技術を学び、交流する場を企画運営。楽天グループにてエンジニアの人材育成などに10年取り組んだ後、2024年にSHIFTに入社。SHIFTのDevRelグループ長として、エンジニアコミュニティ「SHIFT EVOLVE」の運営や技術カンファレンスの協賛を担当。
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広報IR部 広報室 寺山
行政、メガベンチャー、セキュリティスタートアップの広報を経て、2024年にSHIFTに入社。事業・技術広報として、SHIFTの事業・サービスに関する社内外発信に取り組むとともに、前職までのDevRel経験を活かし、DevRelのメンバーとして「SHIFT EVOLVE」などの主催イベントや技術カンファレンス、グループの技術トピックに関する発信を担当。
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事業人事部 採用企画室 村松
営業としてキャリアをスタートし、その後、知人との創業、事業開発や組織運営などの経験。複数の事業を立ち上げ、黒字経営を達成していたものの、さらなる事業拡大には組織の成長、ひいては個人の成長が欠かせないことを痛感。人の成長と事業成長の関係に面白さを感じ、2023年にSHIFTに人事として入社。
「エンジニアが新しい技術を学ぶ機会」を提供するために発足
――DevRelとは何か、あらためて教えていただけますか?
チャンドラー:DevRelは「Developer Relations」の略称です。DevRelグループのミッションは、開発エンジニア向けの情報を発信することで、「自社の技術やエンジニアと外部のエンジニアをつなぐ」ことです。
寺山:企業や組織の垣根を超えて、「新しい技術を学びたい」と考えている意欲ある社内外のエンジニアの方々に、その場と機会を提供するために発足しました。
その結果として、エンジニアの採用や自社サービスのプロモーションにもつながれば…と考えているわけです。
チャンドラー:そう。DevRelは「採用のために存在する組織」と考えられがちですが、私たちは「採用促進は副次的な効果」と考えています。
――では、「学びの場づくり」を通じて得られるものとは?
チャンドラー:「技術ブランディング」です。
SHIFTは、ソフトウェアテストや品質保証の領域で多くのお客様に支持されて、事業が伸びてきた自負と誇りがあります。
ただ、テストのイメージが強すぎて、設計や開発などの上流工程にも対応できる高い技術をもったエンジニアが数多く揃っていること、DX全般の業務を手がけている事実が伝わっていない面がありました。
村松:私は人事にも籍を置き、採用を担当していますが、志望者の方から「SHIFTは開発領域にもたずさわっているのですね」と驚かれる機会がままあります。
採用よりも前のフェーズで、「SHIFTは広範な技術領域をカバーしている」ことを伝える必要があるなと、強く感じていたのです。
チャンドラー:私が代表理事を務めるアジャイルのカンファレンス「Agile Japan」などに、以前からSHIFTは協賛しており、技術的な取り組みの紹介をしていたのですが、「テストだけではなくアジャイル開発においても極めて優秀な人材が揃っている」という事実があまり認知されておらず、もったいないと感じていました。
だからこそ、SHIFTに転職しDevRelチームを立ち上げ、SHIFTがすでに有していた技術的な強さ、エンジニアリングの幅広さを伝えようと思ったのです。

レベルの高いエンジニアの存在が、幅広いトピックでの登壇を可能に
――具体的にはどのような活動をされているのでしょう?
チャンドラー:大きくわけると3つあります。「テックイベントの主催」と「外部イベントへの協賛」、そして「SNSなどを通じた技術発信」です。
1つめについては「SHIFT EVOLVE」というテックイベントを実施しています。
SHIFT内には、私が入社したときには有志のエンジニアたちがつくりあげたコミュニティが存在していたので、その人たちといっしょにブラッシュアップしていきました。
イベントのテーマとしては「アジャイル」、「セキュリティ」、「生成AI」といった技術に特化したものはもちろん、評価制度や給与制度をふくめた「エンジニアのしあわせな働き方」などがあります。
SHIFTグループはエンジニアを中心に年間約2,500人を採用すると同時に、退職率9%(2024年8月末時点)という離職率の低さを誇っています。
そんな環境づくりのナレッジの共有は社会的な意義があり、またエンジニアの方々がSHIFTに注目するきっかけになると考えています。
――2つめの「外部イベントの協賛」では、外部のイベントにエンジニアが登壇しているんですか?
チャンドラー:そのとおりです。こちらでも同じく技術やエンジニアの働き方など、幅広いトピックを取り上げています。
広範なトピックを扱える理由は、SHIFTには技術力と発信意欲の高いエンジニアの方々が多数在籍しているためです。
セッションを通じて何を訴求するべきか、親身になっていっしょに考えてくれる方が多く、大きな支えになっています。
DevRelとしても、こういった方たちが輝ける機会を、今後も提供できればと考えています。
――最後の「SNSなどを通じた技術発信」は、主に寺山さんが担当されていると伺いました。
寺山:はい。Xを使ってイベントの告知や実況などを行ったり、イベントのアーカイブ動画はYouTube、登壇資料はSpeaker Deckで公開したりと、多様なチャネルでの技術発信を行っています。
X:こちらをクリック
YouTube:こちらをクリック
登壇資料:こちらをクリック
認知を広げられることはもちろん、既存のお客様にイベントを告知してコミュニケーションをとったり、協賛イベントでSHIFTのサービスに興味をもった方がいたら、事業部と連携して営業につなげたり、といった動きもしています。
何よりXを運用していると、潮目が変わっていることを実感します。
かつては「QA系のエンジニア」の方が主にフォローしてくださっていたのですが、最近はAWSやAI関連などのエンジニアの方からの反応も本当に増えてきたんです。
「SHIFTってこういう取り組みもしているんだ!」との声を目にする。
肌感覚で、テストやQA以外の領域でも多様なエンジニアが活躍していることが徐々に伝わっていると感じますね。

――それはうれしいですね。ただ、いくら質の高いエンジニアが多くいるといえど、イベントで存在感を示すのは大変ではないでしょうか。
チャンドラー:そこはDevRelグループが相当にこだわっているところであり、SHIFTならではの強みがあるんですよ。
VPoEとの連携で登壇者を徹底的にサポート
――DevRelグループのこだわり、強みとは?
チャンドラー:大きく2つあります。
1つめは「VPoE(Vice President of Engineering:技術部門の責任者)の池ノ上 倫士と密にコミュニケーションをとり戦略的にテーマを決めている」ことです。
世のなかに技術系イベントは多数あります。そのなかで、会社として打ち出したい方向性をブレイクダウン。
「どのようなテーマが考えられるか」「現場レベルでホットな技術とは」などをVPoEと日ごろから相談し、トピックや登壇者の選定をしています。
このとき大切なのは、「そのテーマに需要があるか?」という視点です。
――どういうことでしょう?
チャンドラー:たとえば「アジャイル」や「AI」などは、会社としてもアピールしたいトピックです。
SHIFTにはそれぞれの分野に長けたすばらしいエンジニアがいますが、冒頭でお話したようにテストやQA領域のイメージが根強い。
そこで「アジャイル×品質」や「テスト×生成AI」といった、SHIFTの得意領域とからめたテーマを打ち出すようにしています。
――たしかに。そうなるとテストやQAに強いSHIFTが、どのようにアジャイルや生成AIと向き合っているのかと、興味がわいてきますね。
チャンドラー:そのうえで、2つめのDevRelグループの強み「登壇発表の準備は徹底的に伴走」が効いてきます。
テーマと登壇者を選定した後、実際の登壇内容のブレストを行い、公開用の発表タイトルや概要を確定。登壇内容や登壇資料は、2ヶ月ほど前から準備を進めています。
――そこまで手伝うケースはめずらしいのではないですか?
チャンドラー:そうかもしれません。前述のとおり、VPoEとDevRelグループが連携しているため、ちゃんとブラッシュアップできるのです。
また、採用が目的でないからこそ、価値ある情報を社内外のエンジニアに届けられます。
結果として、技術力はありながらもプレゼンに自信がなかったエンジニアの方でも、見違えるような発表ができる。これは、SHIFTの技術ブランディングに直結します。

――そのように、カンファレンスでの発表内容も質を高めている。だからこそ、多くの人にSHIFTの技術力が浸透しはじめているのですね。
村松:そう感じています。採用については、すでに芽がではじめていて、「イベントを見てSHIFTに興味が出てきて……」と転職を決められる方の声を聞きます。
イベントをきっかけにカジュアル面談を行ったところ、候補者の方がとても優秀だったので、「SHIFTにこれまでなかったポジションを新設した」なんて話もありました。
寺山:イベントをとおして、技術的な信頼性やエンジニアの技術力を実感していただくことで、SHIFTのサービスへお問い合わせいただくケースも増えています。とてもよいサイクルが生まれているなと実感していますね。
――すでに結果を出しているDevRelグループですが、今後はどのようなビジョンを抱いていますか?
村松:採用を担当している身としては、やはりよいご縁につながってほしい。
イベントで「SHIFTってテスト以外でもおもしろい事業をやっているな」と感じ、さらに入社後「自分もイベントに登壇したい」と手をあげる方が増えたらうれしいですね。
寺山:国内では、DevRelの組織をもっている企業はまだまだ限られていて、DevRelというカルチャー自体の伸びしろは今後もあるのではないかと思います。
特に、採用やマーケティングではなく「エンジニアの学びの場づくり」に軸足を置いた組織は少ない。そういう意味で、さきがけ的な存在になれたらな、と思います。
チャンドラー:そうですね。現在のチームに磨きをかけて、新しいDevRelの形を確立したい。そうなれば、SHIFTはもちろん、日本のエンジニアにも、より価値提供できると信じています。
――本日は、ありがとうございました!
(※本記事の内容および取材対象者の所属は、取材当時のものです)