「ONE-SHIFT」を体現。最上流のブランディング戦略から支援したEV充電事業で見せるDAAEの神髄

2024/07/01

「DAAE(ダーエ)戦略部は基本的に自社事業を創出する組織だが、定期的にクライアントワークをすることで、事業創出に大切な新しい刺激がもたらされる」 

そのような方針のもと、DAAE戦略部でお客様支援プロジェクトとして力を入れているのが、中部電力ミライズ株式会社の新規事業であるEV充電事業「treev(ツリーブ)」の開発支援です。

本事業は、同社が掲げる脱炭素化の達成に向けた重要戦略の1つと位置づけられている重要プロジェクト。 

(※法人所有の駐車場に設置した充電スタンドにより、EV利用者向けにEVの充電サービスを提供する。駐車場保有者は、充電スタンドの設置や充電サービスの運営などに必要となる負担が軽減されるため手軽に充電スタンドを導入できる。またEV利用者は専用アプリを通じて簡単に充電することができる。)

具体的には、ビジネスモデルやブランディング戦略の策定・構築といったプロジェクトの最上流から参画し、市場調査や競合分析、ペルソナ設計など、ユーザー視点を盛り込んだ事業・プロダクトの立ち上げを「ONE-SHIFT」で進めていき、ローンチ後もプロダクトの発展に向けて継続的にご支援しています。

今回は、このなかでも最上流工程であるブランディング戦略の策定などを担ったクリエイティブディレクターと、管理者向けプラットフォームの開発を進めたフロントエンドエンジニアに、それぞれこだわったポイントやDAAEの強み、今後に向けた思いなどを語ってもらいました。

  • DAAE戦略部 DAAEグループ 上地

    学卒業後、広告会社でブランディング、マーケティング、広告制作(パッケージ、Web、CM)など幅広く経験した後2022年10月にSHIFTへと入社。現在はDAAE戦略部所属のクリエイティブディレクターとして、中部電力ミライズ株式会社との「treev」プロジェクトを担当している。 

  • DAAE戦略部 DAAEグループ ブラッドフォード

    2014年にWeb制作会社へ就職し、Web制作について一通りの業務を経験する。その後、1度の転職を経て2021年にフリーランスとして独立し、フロントエンド技術を中心に中小から大手まで複数のクライアント業務に携わった後、2022年9月にSHIFT入社。現在は中部電力ミライズ株式会社との「treev」プロジェクトにて、開発者向けシステムの開発を担当している。 

目次

「圧倒的な提案内容に、SHIFTを選ばざるを得なかった」というお客様の声 

―――「treev(ツリーブ)」プロジェクトでは、ビジネスモデルやブランディング戦略の策定など、超上流工程から入ったと伺っています。どのような経緯でそうなったのでしょうか? 

上地:もともとRFPにはアプリ開発と管理画面の開発だけが要件として記載されていたのですが、それだけだとサービスの立ち上げ支援としては足りないと感じ、ビジネスモデルからいっしょにデザインし、あわせてブランディング戦略なども策定していくという内容でご提案しました。 

結果、先方からは「相見積もりだったが、SHIFTが3段ぐらい圧倒的によかったので、選ばざるを得なかった」とおっしゃっていただき、戦略部分からお任せいただけることになりました。 

―――「3段くらい圧倒的によかった」って、ベタ褒めですね。どんな提案内容だったのでしょうか? 

上地:「ONE-SHIFT」でtreev事業の成功に向けたご支援をするということで、その思想を体現する150ページほどの提案資料を2週間でつくりあげました。 

特に大切にしたのが、動くサービスの試作モデルをすばやくつくり、ユーザーの反応をたしかめながら改良などを進めてサービスの成功を実現するという、DAAEの思想・進め方を知っていただくという点です。 

そのためにも、BTC(ビジネス・クリエイティブ・テクノロジー)が三位一体となって「売れるサービスづくり」をして、事業をいっしょに伸ばしていくことを強調しました。 

―――なるほど、まさにDAAEの真髄をふんだんに盛り込んだプロジェクトということですね。お二人の役割や、プロジェクトに入ったタイミングを教えてください。 

上地:私はクリエイティブディレクターとして提案のときから参加していて、ブランディング戦略の策定部分を主に担当しています。先ほどのBTCのなかではC(クリエイティブ)部分にあたりますね。 

ブラッドフォード:私は案件が決まってから、フロントエンドエンジニアとして参加しています。主な担当としては、駐車場保有者などの管理者が使うダッシュボード(管理画面)のフロントエンド部分を担当しています。 

側で見ていて、一種の狂気すら感じたロゴ制作プロセス

―――基本的なことで恐縮なのですが、ブランディング戦略って、どうやって考えていくものなのですか? 

上地:いろいろな流派/手法があると思うのですが、私の場合、最初のプロセスとして「お客様のことをよく知る」ところからスタートするようにしています。

今回のケースでお伝えすると、中部電力ミライズ様がどんな未来を目指しているのかを把握していき、そのなかでサービスをやることの意義を確認・言語化したうえで、P-MVV(パーパス – ミッション・ビジョン・バリュー)をつくっていきます。 

上地:そこまでできたら、「じゃあ実際のサービスってなんだろう?」という視点から、サービスの体験としてのアイデンティティ(Experience Identity)、ざっくりとしたサービスイメージのようなものを言語化して、サービス名やタグライン、サービスのパーソナリティ(シンボルや色、フォントなど)へと徐々に落とし込んでいきます。 

最終的に制作されたブランドコミュニケーションガイドライン 

―――すごく緻密ですね… 

ブラッドフォード:上地さんだからこそできる仕事だと思います。もはやアートディレクターだなと。

―――ブラッドフォードさんから見て、特にどういうところがスゴイと感じられましたか? 

ブラッドフォード:すべてのプロセスに妥協がないところですね。例えばロゴ制作一つ見ても、何百パターンものデザイン案をつくり、細かく比較検討しながら決めていく様は、側で見ていて一種の狂気すら感じました(笑)。 

ブラックボックス的にポンといい案が出てくるのではなく、しっかりとロジックを組み立て設計しているので、お客様としても相当納得度が高いだろうなと。

イメージから実際のモノ/形へと落とし込んでいくことに一切の妥協がない、生粋のクリエイターであり、アーティストでもあると感じます。 

上地:恐縮です…。たしかに、ロゴ制作はものすごくパワーを使いました。 

日々、侃侃諤諤の議論をしながら開発 

―――上地さんが策定された核となるブランドを前提に、ブラッドフォードさんは管理者向けシステムへと落とし込んでいく役割だと思うのですが、どんなところに苦労されましたか? 

ブラッドフォード:実は、そこまで苦労していないんですよ。というのも、上地さんがデザインシステムの形式でブランドの核を構築されていたので、フロントエンド部分もそのデザインシステムにあわせてコンポーネントをつくっていきました。 

とはいえ、特に最初の方はデザインがフィックスしていない状態で開発を並行して進めていくので、ワイヤーフレームベースのPoCをつくり、それにあわせて開発をしながら、順次上がってくるデザインを反映するという改修スタンスで進めていきました。 

当然そのギャップが大きいと改修規模も大きくなるわけで、この辺りは実際にデザイン部分を担当された方と日々、侃侃諤諤の議論をしながら進めていきましたね。 

―――現在のプロジェクト状況としてはいかがでしょうか? 

上地:いまも追加開発・追加デザインを行っていますよ。当初からプロジェクトとして3つほどのフェーズにわけていまして、まずはサービスローンチということで第一フェーズが終了した段階です。 

これから第二フェーズに入っていくにあたって、追加/改修すべき機能などについて、先方と話しあっている状況です。

またクリエイティブ面でお伝えすると、ゼロイチが終わって1→10のフェーズに入るので、TVCMなどの広告出稿など、マーケティングに付随する戦略の策定と実行も進めていく予定です。 

最後は「お前が好きなようにやれ」といってくれる環境

―――第一フェーズが終わった段階ということで、「この案件をやっていてよかった」と感じた瞬間を教えてください。 

上地:いろいろとありますが、多くの追加受注をいただけたのはうれしかったですね。初期の段階で急遽EVスタンドのデザインをお願いされましたし、スタンド撮影や営業資料の制作、toB向けフライヤーの制作、LP制作など、多くのご依頼を受けました。 

―――すばらしいですね! 最後に、DAAEに入ってよかったと感じることについても、ぜひ教えてください。 

ブラッドフォード:技術者としては、いいことしかないですね。前職ではレガシーな技術がメインになっていたので、SHIFT入社時に、よりモダンな環境での開発案件にアサインしてほしいと伝えていました。 

DAAEにはそういった案件がたくさんあり、上司や同期などメンバーの理解も相まって、やりたいことをやらせてもらっています。技術者として伸ばしたいところを伸ばせていて、かなり恵まれた環境です。 

上地:私は新卒からずっと広告業界にいたのですが、往々にして最後の見える部分ばかりを担当することが多く、ユーザーにとって本当に価値を与えることができているのか疑問に感じることも少なくありませんでした。 

せっかくならサービスを一からデザインしてブランドに責任をもちたい。そう思って転職したのがSHIFTだったわけですが、DAAEでまさにそこを任せてもらえているのが本当にありがたい限りです。

これも、優秀なプロジェクトメンバーと、最後は「お前が好きなようにやれ」といってくれるマネジメント層のおかげだと実感しています。 

(※本記事の内容および取材対象者の所属は、取材当時のものです) 

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