SAPを日系企業に浸透させたパイオニアが、いまSHIFTグループで奮闘するワケ

2024/05/14

ERP導入・活用支援を専門とするコンサルティング会社・SHIFT Enterprise Consulting(以下、SEC)。 

日本ではじめて日系企業へのSAP導入を支援し、日本にERPを浸透させる契機をつくったパイオニア、森下がSHIFTグループのSECの立ち上げに参画しています。 

SAPと出会ったのは1990年。当時、業務システムは自社開発するのが主流でしたが、パッケージを導入すれば1/10程度のコストで済む。お客様にとって有益なツールだと確信し、サービスラインナップに加えたいと上司に提案しました」 

以後、30年にわたりERP事業を基軸に知見を広げつづけてきた森下。業界のレジェンドが「名前も知らなかった」SHIFTに入社した理由は。今後やっていきたいことは──森下の本音に迫りました。 

  • DX&戦略プロジェクト本部 戦略イニシアティブ ( SHIFT Enterprise Consulting 出向 )森下

    日系大手SIer外資系コンサルティング会社、日系コンサルティング会社などで30年近く企業変革とITの最前線で活躍。初期のSAPビジネスから首尾一貫して基幹システム導入や企業変革コンサルティングに従事海外プロジェクト、大規模プロジェクトなどの経験も豊富。2023年12月SHIFTに入社し、SECのSAP事業上げに従事。SHIFTの戦略イニシアチブを兼務している。

目次

20代で日本初、日系企業へのSAP導入支援サービスを立ち上げる

──まず、SECに入社するまでのプロフィールについて教えてください。

森下:新卒で大手SIerに入社しました。当時、会社は激動の変換期を迎えていました。よい意味で何でもできる環境で、幅広い案件に接しながら経験を積むことができました。 

SAPと出会ったのは、入社数年目のころです。当時、企業は業務システムをほとんど自製していた時代。

ヨーロッパの企業はパッケージソリューションのSAPを導入してコストも期間も大幅に削減していると聞き、「これは当社が提供すべきサービスだ」と確信したのです。 

私は設立まもないSAP社に接触し、上司にSAP導入支援サービスの提供を提案。当時、国内では外資系企業が日本へのロールアウトは実施していたものの、日系企業への本格導入の実績はゼロ。

私が担当したその案件は、日本初のSAP導入プロジェクトとなりました。 

──トントン拍子に、新たなサービスが立ち上げられたんですね。 

森下:上司に恵まれていたことが大きく寄与したと思います。社内でも別のERPソリューションを開発して立ち上げようとしていたタイミングだったので、反対されてもおかしくない状況でした。 

SAP導入プロジェクト第1弾は無事成功し、社内にERP事業・コンサルティング事業を担う部門が開設。私は立ち上げメンバーとなり、サービスの成長に向けてまい進しました。 

大手Slerを退職してからは、外資系コンサルティングファームなどにコンサルタントとして在籍し、SAP導入と共に事業戦略や構想策定、企業変革に関わるさまざまなプロジェクトを推進。SECに入社する直前はフリーのコンサルタントとして活動していました。 

技術に根づいたアプローチ、考えつづける持続力が、コンサルタントとしての強み

──はやい時期にSAPの可能性を見出すなど、もともと「先を読む力」に長けていたようにお見受けしますが、コンサルタントとしてのご自身の強みをどのように捉えていますか? 

森下:ふたつあると思っています。ひとつは、考え方の根底に“技術”があること。 

実は、コンサルティングと技術って切っても切り離せない関係なんです。名だたるコンサルティングファームも、業務課題を解決するための手法・技術の開発から業務をスタートしています。

「論理的に物事を考え、あいまい性をなくし、できるだけ工業化する」という話でいうと、プログラミングも同様です。 

もともとプログラミングは業務を自動化するための取り組み。現場で必要なすべての業務とデータの流れをコンピューター言語で書き変え、数値を集計・計算し、データ処理を自動化するという考え方から生まれました。 

コンサルティングはものづくりが礎。ですから大手Slerで叩きこまれた技術へのアプローチと考え方は、私の大切な資産です。 

──ふたつめの強みは? 

森下:思考の持続力です。変革への情熱の火を絶やさず、どうしたらお客様がハッピーになるかを四六時中考え、悩みつづけられる力。

誤解を恐れずにいえば、頭のよし悪しは関係なく長時間思考すれば、よりよい答えには必ずたどり着けます。でも、これを実践できる人って世の中にはあまりいなくて。 

プロジェクト中は考えつづけるというコンサルタントの働き方が染みついているのは自分の強みだと思います。 

──これまで、強みを活かしながらERP関連のプロジェクトを数多く担ってきたと思いますが、いまの国内のERP業界の課題をどのように捉えていますか? 

森下:世界と比べて、日本は2歩ぐらい遅れをとっているように感じます。 

「SAP ERP6.0」が2027年に保守サポート終了期限を迎えるため、いま世界中で新バージョンであるS/4HANAへの移行作業ラッシュがつづいています。SEが不足し、単価が急騰している。 

細部にこだわるあまりアドオン開発をたくさんやってきてしまった日本企業は、この切り替え作業が大変です。

すでに世界ではS/4HANAへの移行から新しい機能の活用の段階に進みはじめていますが、日本では期限が2年後に迫っているにも関わらず、これから移行という企業がまだまだあります。 

加えて、AIや自動化などの新機能が使われるようになってきてはいますが、企業がこれらをまだ活用しきれていないことは大きな課題ですね。 

先ほどお話ししたように、プログラミング言語がつくられたもともとの目的は自動化。それがより高度なテクノロジーによってノンプログラミングで実装できる状況になりつつあるにもかかわらず、ビジネスの最前線で使いこなされていない。これからの10年間の主要なテーマになると思います。

「もしかしたら、ERP事業でも大化けするんじゃないか」未知の可能性を感じて入社

──フリーランスとして活躍していながら、会社員に戻ろうと思ったのはなぜですか? 

森下:さまざまな課題がERP業界で山積みになっているいま、あらためて「チーム」で仕事をしてバリューを発揮したいと思ったからです。 

フリーであっても、大勢の人が関わる巨大プロジェクトに参画する機会はもちろんあります。しかし、大きな組織として参画するわけではなく、アドバイザーの立ち位置では限界もあります。

大きなプロジェクトや困難な状況でこそ生きる自分の経験を活かすには、やはり組織というか、チームで挑まないといけないと改めて痛感していました。 

そんな状況で、ある先輩から紹介されたのがSHIFTグループでした。 

──SHIFTのことはご存じでしたか? 

森下:すみません、実はまったく知りませんでした。競合としてぶつかったこともないし、自分の知りあいにも在籍している方はいませんでした。 

名前を聞いて調べてみて、テストビジネスをやっていることは理解しましたが、ERP事業はまだこれからの会社だと率直に感じました。でもそれが私にとってはチャンスだと思えたんです。しがらみなく、やりたいこと、やるべきことができる・・・と。 

コンサルティングファームが最上流から下流に向かってITサービスの仕事へと領域を広げるケースは普通にありましたし、システム開発がコア事業のSIerがより上流のコンサルティング事業をはじめたという例はありました。実際、私もその流れに乗っていました。 

でも、開発のさらに下流行程であるテスト支援をしている会社が、上流のERP導入やコンサルティング事業に手を伸ばすという試みは、いままで見たことがありません。 

これ、面白いと思いませんか? 

他社の開発成果の品質を検証してきたSHIFTが、自らものづくりをするチャレンジに、勇気を感じました。

品質の大切さを痛いほどわかっているSHIFTが、上流工程で品質をつくり込まないとよいシステムにはならないし本当の変革は起きないと考えたであろうことはすぐに理解できました。しかし、前例はありません。 

テストや移行などの作業で自動化を進め、必要に応じて大胆なM&Aで事業開拓をしてきたSHIFTであればやれるかもしれない。

事業を急成長させてきた実績もあり、「もしかしたらERP事業でもすごいことが起きるんじゃないか」という期待感から、SHIFTへの入社を決めました。 

ここは大いにチャレンジできる場所。よいサービスを提供するため、力を尽くす

──実際に入社してみて、どうですか? 

森下:想像していた5倍ぐらい忙しいですね(笑)。入ってまだ数ヶ月ですが、すでに1年近くたった気分です。 

私のSHIFTでのミッションは、戦略イニシアチブ、重要案件や大規模プロジェクトなどを戦略的に推進する役割なのですが、その延長線上にSECがあり、人事上はパートタイム兼務出向をしています。 

SECではコンサルティング事業部のシニア・ディレクターという立場でプロジェクトに携わります。企画提案と実行・デリバリーを両方やるのがいまの私のSHIFTグループでの仕事です。 

是が非でも品質を守らなければならない立場として、そしてERP事業においては後発企業として「徹底的に工業化して超効率化した支援サービスをしないと、勝算はない」というビジョンは見えつつも、まだまだやるべき事は山積みです。 

社内の経験や知見のアセット化、カルチャーの浸透……一つひとつの課題と向き合いながら「お客様によいものを提供できる」体制づくりに力を注いでいます。 

──SECにはこれからどんな仲間に加わってほしいですか? 

森下:チャレンジ精神のある人が第1条件ですね。さらにERPをはじめ、さまざまなITソリューションの知見や経験があるとありがたい。

もし経験がなかったとしても、明確な野望があれば、それを叶えるための土俵づくりはしたいと思っています。 

個人的には順風満帆なタイプより、苦しみながら前に進んできた経験値の高い人に共感します。私自身も同じだから。 

これまで関わったプロジェクトは、すべて成功させてきましたが、そうすると、どんどん難易度の高い仕事を依頼されるようになります。

「ここで倒れたら楽だろうな」と思うことは何度もありましたが、残念ながら持久力があるから倒れないんです(笑)。 

しかし苦しい役割を担えば、必ずチャンスにつながります。怖がらずにリスクを排除していけば、必ず軌道修正できると信じています。 

SECはいわば“チャレンジプラットフォーム”。興味のある方はぜひご応募ください。チャレンジできるポジションをご用意いたします。 

──森下さん、本日はありがとうございました! 

(※本記事の内容および取材対象者の所属は、取材当時のものです) 

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