ビジネス環境の急速な変化のなかで企業がDXを進めるにあたって、システムやソフトウェアの開発にはリリースサイクルの短縮が必須となっています。
しかしビルド、テスト、デプロイなどの作業が手動で行われたままでは時間を要し、それらをヒューマンスキルや手順の効率化によって短縮しようとすると品質低下を招く可能性があります。
そんなDX課題に対して有効なアプローチの一つが「CI/CD」(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)の導入です。
今回は、そんなCI/CDのエキスパートとしてDevOps推進グループで活躍している田淵に話を聞きました。
「田淵さんの技術力にはいつも感動しています」
SHIFTメンバーにインタビューをしていると、そんなふうに名前がたびたび出てくるほど技術者として信頼されている田淵。
前職の大手電機メーカーでは、10年以上通信事業者向け通信システムの開発プロジェクトに携わっており、プロジェクトマネージャー・アーキテクトを中心にSE業務全般を担当していたといいます。
そこからなぜ、SHIFTのDevOpsを推進する立場に転身したのか。どんな思いをもって、技術やSHIFTと向き合っているのか。じっくりと聞きました。
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DevOps推進1グループ グループ長補佐 田淵
大学にてコンピューターサイエンスを学んだ後、大手電機メーカーに新卒入社し、10年以上、通信事業者向け通信システムの開発に従事。PG/PL/PM/アーキテクトと幅広く従事したあと、SHIFTへと転職。現在はCI/CDのエキスパート、およびDevOps推進1グループ グループ長補佐として、お客様へのサービスデリバリーを中心にSHIFTのDevOps推進を牽引している。
目次
論理的矛盾のないところまでとことんつきあってもらう
――SHIFTのメンバーとお話をしていると、たびたび田淵さんのお名前が出てきます。あの人はすごいと。ご自身として、どんなところがほかのメンバーから評価されていると感じますか?
田淵:ありがたいと同時に、自分ではなんともわからないですね(笑)。わからないですが、もともとの性格として中途半端がとにかく嫌いで、妥協したくないところがあります。
基本的に前職含め、どのプロジェクトでもその妥協しないスタンスを貫いてきたので、そういうところが頼もしいと思ってもらえているのかもしれません。
また、自分が深掘りして調べた実践的な技術ノウハウなどを日ごろから社内向けに発信しているので、そこも喜んでもらえているのかもしれませんね。
――前職のご担当は通信システムということで、それこそトラブルも難度が高いものが多かったのではないかと推察します。
田淵:おっしゃる通り扱うシステムが大規模で複雑なので、問題が起きるときは、ネットワークやOSなどさまざまなところが絡みあって発生していました。
なかには発生頻度が少なく、ずっと様子見のステータスで止まっているような課題も何個かあったのですが、いかんせん妥協できない性格なので、そういったものについてもとことん追求して解決に導いていきました。
専門家チームといっしょに調査/解析していくのですが、専門家から解析結果が戻ってきても、その回答内容に論理的矛盾があれば臆せず指摘して、矛盾のない納得できるところまでとことんつきあってもらうという感じで、まわりを巻き込みながら問題解決をしていきました。
――すごい問題解決力ですね…。当時はPMやアーキテクトが中心だったと伺っていますが、がっつりと手も動かされていたんですね。
田淵:手を動かせる場所を自分から探して、隙を見つけて対応していきました。
というのも、前職が大手SIerだったので、技術力が求められるというよりかは、プロジェクトマネージャーやビジネスサイドでの役割を求められることが多かったのです。
自分としては手を動かすことも好きだったので、自分でその機会をつくっていきました。
必死に、CI/CDについて勉強していた日々
――10年以上前職で通信システムを担当されたのちに、SHIFTに転職されたわけですが、何がきっかけだったのでしょうか?
田淵:いろいろとありますが、一番はやはり、求められる役割がもっと技術力ベースのところに行きたいというモチベーションですね。
あと、当時からCI/CD、DevOpsに興味があり、そういった開発プラクティスに触れたいというのもありました。
――さまざまな選択肢があったかと思いますが、そのなかでSHIFTに決めた理由を教えてください。
田淵:何社か受けていた企業のなかで、一番共感できるところが多かったからですね。特にソフトウェア開発業界の「多重下請け構造」を打破するという考えには、強く賛同しました。
あとSHIFTは本当にお客様のDXを能動的に進めることができる会社だと感じたことも大きかったです。
当時からDAAE※という考えも発信していて、ほかのSIerにはない魅力がありました。
※ SHIFTがつくり上げたモノづくりの概念。デザイン(Design)、迅速性(Agility)、組みあわせ (Assembly)、経済品質(Economic quality)に由来している。
――入社当時からCI/CDを担当されたのでしょうか?
田淵:はい。前職在籍中、最後の方にはCI/CDを自身で構築したりしていました。
そのなかで、SHIFTでもちょうどテストの自動化だけでなく技術領域のサービスを拡大していこうというフェーズに突入していて、入社早々に技術統括部長からちょうどCI/CDサービスをつくりたいとの打診があり、そのままCI/CD導入担当になりました。
――前職で少しやっていたとはいえ、専門家として案件を担当するとなったら、キャッチアップが大変ではなかったですか?
田淵:大変でした。最初の案件は、過去にCI/CDを導入したけどうまく定着できなかったというお客様に、新しいプロダクト開発の機会に改めてCI/CDの導入・定着を支援するというものでした。
当時はCI/CDの専門家というわけではなかったですが、そうはいってもCI/CDの導入をリードする立場にいたので、本当に毎日必死に勉強していました。
CI/CDは総合格闘技みたいなもの
――CI/CDのエキスパートとしてやりがいを感じる部分を教えてください。
田淵:なんといっても、いまの時代に必須の仕組みだということですね。スピードと品質の両立に有効な方法論だということは10年前からDevOps界隈の当たり前になっているのですが、一方でまだまだ導入できていない企業・組織もあります。
そのなかで、実際に導入をお手伝いしたお客様から「CI/CDがなかったら開発が成り立たなかった、助かった」というフィードバックをいただいたりすると、本当にうれしいですし、やりがいを感じますね。
――CI/CD、DevOpsを経験できる環境に身を置いたことでの、ご自身の変化はいかがでしょうか?
田淵:つねに新しい発見に溢れていますよ。技術の動向自体はニュースを見ていればだいたいわかるのですが、いざそれを実践的に使おうとすると、いろいろと課題が出てくると思います。
それら課題を一つひとつ解消していくなかで実践的なノウハウや知見を得ることができているので、技術者として一歩ずつ着実に進化していると感じています。
――SHIFT入社から一貫してCI/CD導入を担当してきた立場から見て、どんなところにむずかしさがあると感じますか?
田淵:技術というよりは人ですね。CI/CD案件をいっしょにやっているメンバーの方からCI/CDって総合格闘技みたいといわれたのですが、まさにその通りで、開発言語からインフラまで幅広い知識と経験が求められます。
それができる人を集めなきゃいけないということで、当然採用活動に力を入れているのですが、そういう人材は採用市場では決して多くありません。
ですから採用を頑張ると同時に、既存メンバーの育成も地道にやっているところです。
――特にCI/CD人材は育成に時間がかかりそうですね…
田淵:もちろん、そうはいってもなんとか型化して導入の間口を広げたいところでもあるので、2年前に「CI/CDスターターパック」というものもつくりました。
標準的なCI/CDをすぐに使いはじめられるものになっており、経験豊富なエキスパートではなくてもある程度導入を進めることができるように設計しています。今後さらに、積極的に展開していきたいと考えています。
案件内容はさまざま。だから爆発的にスキルがあがる
――今後、どんな人にCI/CD担当として入社してほしいですか?
田淵:仕組みをつくる立場、いわゆるプラットフォームエンジニアとして、CI/CDやDevOpsをやりたい人ですね。
少しでもいいので開発チームでの仕組みづくり・ルールづくりの経験がある人が望ましいかなと思います。
あと、検索結果や生成AIのコードをわからないまま使うのではなく、ちゃんと中身を理解しながらモノをつくる姿勢があることも大事かなと感じています。
――田淵さんから、採用候補者におすすめしたいSHIFTの推しポイントがあれば教えてください。
田淵:SHIFTではいろんな案件を担当することができるので、非常に幅広い経験を積むことができるのは、本当にいいところだなと思っています。
僕自身これまで経験してきたCI/CD案件を振り返ってみると、言語もフレームワークもインフラもお客様によって本当にバラバラなので、経験とスキルが爆発的に広がっていきましたし、結果的にデリバリーの品質も高まっていると感じています。
――今後、田淵さんとしてはどんなことにチャレンジしていきたいですか?
田淵:引きつづき自分のスキル/技術力の深さと幅を広げていき、ほかのメンバーにも伝えていって技術力の底上げをしていきたいと考えています。
いまは経験としてグループ長補佐をやらせてもらっていますが、志向としてはエキスパートとしてひたすら技術を突き詰めていきたい人間なので、圧倒的な技術力で組織に貢献できたらと考えています。
(※本記事の内容および取材対象者の所属は、取材当時のものです)
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