2024年1月現在、某メガバンクでコールセンターのインフラシステムをリプレイスするプロジェクトにおいて、PMOを担うN.H.。
直前のプロジェクトを牽引し、「N.H.さんなら、安心できる」とお客様からの信頼も厚いプロフェッショナルです。
そんな彼は、つい2年前まで約20年の長期に渡り、パッケージソフトの開発などを手がけてきました。
40代半ばにして、なぜはじめての転職を決意したのでしょうか。現在はインフラ領域で見事な活躍ぶりを見せているN.H.に決断の経緯と、躍進の秘密をうかがいました。
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サービス&テクノロジー本部 ITソリューション部 インフラサービス2グループ N.H.
2022年4月入社。大学時代にエネルギー問題からITに興味をもち、修了後、ソフトウェア開発の仕事に就く。コロナ禍に感じたいくつかの考えから転職を決意。「インフラ領域で挑戦していきたい」「エンジニアを大事にしながら組織を変えていける会社で働きたい」と考え、約20年勤務した前職から、SHIFTに転職を果たす。東京在住。2児の父。
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24歳
新卒でERPパッケージメーカーに入社
開発部に配属。販売・仕入管理製品の開発作業全般に携わる
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27歳
結婚
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32歳
第一子が誕生
育児のために定時退社を目指し、生産性向上を強く意識する。
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39歳
全製品クラウド化推進部隊へ
データベーススキルを駆使し、クラウドDB安定稼働を確立させた。
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43歳
SHIFT入社。インフラコンサルタントに転身
メガバンクのコールセンター更改案件へインフラPMOとして参画。
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45歳
インフラPMOチームのサービスマネージャーに
自案件に加え他PMO案件参画メンバー約10名をマネジメント。
目次
20代のエンジニアが、何をいっているかわからなかった
――CMでも有名な、某業務系パッケージソフトの開発を手がけていたそうですね。
N.H.:はい。20年ほど前になりますが、大学卒業後 に入った会社でいちプログラマーからキャリアをスタートし、販売管理に特化したそのソフトのアプリケーション開発をしていました。
当初のCD-ROMからインストールしてもらう形から、次第にオンラインに変わり、クラウド化していく。そうした変遷を現場で歩んできました。
――20年ほど勤めてきたその会社から転職、2022年4月にSHIFTに入られます。きっかけは何だったのでしょう?
N.H.:40代半ばにして「外の世界が見てみたい」「エンジニアとしてもっと幅を広げたい」と考えたことです。
前職の最後のほうは業務系パッケージソフトの領域がSaaS化していくタイミングでした。私はといえば、製品開発はひととおり手がけて、マネージャーとして後輩育成もしておりました。
そもそも「自ら手を動かして技術力を磨きつづけたい」タイプだったので、全製品のクラウド化を手がける部署に志願し異動させてもらったのです。
異動後は、データベースまわりを手がけ、インフラよりの知見を積むことができて。また触れれば触るほど、「製品やサービスの根幹はデータベースやインフラだな」と実感してもいました。
――アプリ開発の領域から、インフラレイヤーの現場は前職で経験されていたのですね。
N.H.:ただ会社としてはデータベースまわりよりも、エンドユーザーの方々にわかりやすい機能性や操作性にフォーカスする傾向があり、データベースまわりを手がけている身としては、モヤモヤした思いが芽生えていました。
そんなときにコロナ禍に入りました。その途端、Uber Eatsやオンライン診療といった、新しいサービスがどんどん現れて、急激に市場に受け入れられましたよね?
――たしかに潮目が変わりましたね。SaaS関連のサービスもさらに増えました。
N.H.:眼の前にあらわれた激しい変化のなか、ずっと同じ業務系パッケージだけ手がけている自分にどこか「物足りなさ」を感じはじめました。私自身の潮目も変わった、という感じでしょうか。
「まだいけるのなら、飛び出してみようかな…」と自分自身の可能性を知りたいと考えて、まずは転職サイトに登録しました。3社内定をいただいたなかの一つがSHIFTだったのです。
――すぐに転職を決められたのですか?
N.H.:いえ。その段階ではまだ決めていませんでした。しかし、内定をいただいたSHIFT以外の1社から「一度、現場の人間と話してみませんか?」とお誘いいただき、お会いすることに。
20代の若いインフラエンジニアの方に「僕らはこういうことをやっています」と話を聞きましたが、その内容がほとんど理解できませんでした。
――話が理解できなかった?
N.H.:そうですね、「なんとなく」止まりでした。自分よりずいぶん若い方が深く理解しているインフラ知識が、自分にはまったく足りていなかったという事実に気づくきっかけになりました。
アプリケーションやデータベース周辺の知識はあるものの、今後も新しいサービスが生まれでて、自分も何か手がけたいと思ったとき、インフラも含めた上から下まで理解していなければ、やりたいことができないのではないかと。それが危機感になりました。
当時、43歳くらい。あと20年ほどエンジニア人生をつづけたいと考えたときに「インフラという新しい領域に挑戦するなら、いまが最後のチャンスに近いのかもしれない」と思い、飛び出す決断をしたのです。
――なるほど。内定をもらった3社のなかからSHIFTを選ばれた理由は?
N.H.:新しい領域への挑戦ということもあって、ギリギリまで悩みました。
ただ、いまの上長である加藤さん(ITソリューション部部長)と面談をした後にもらった「手紙」が決め手になりました。Word1枚ほどでしたが、SHIFTがどういう会社か、カジュアルに書かれていました。
「優秀な人材が集まっている」こと。
「教えあう文化がある」こと。
「エンジニアの思いを無視するようなことは絶対にしない」こと。
そして加藤さん自身も「実は私自身も2ヶ月前に入社して、本当にエンジニアファーストの会社で驚いたくらいだから、安心して入ってほしい」とありました。
まさにインフラ領域に挑戦するチャンスをもらえながら、まだまだ成長したい自分には最適な場所だと感じました。またその手紙を妻に見せたことも後押しになりましたね。
――どういうことでしょうか?
N.H.:まだ子どもが小学生と幼稚園で、しかも新しい領域に飛び込む転職でしたので、妻が反対したら実行すまい、と考えていました。
しかし、手紙を見せたところ「こういう手紙をくれるってことはとても信頼できるんじゃない」とむしろ背中を押してくれたのです。思い切って飛び込む、最後のアクセルになってくれました。
社外でも社内でも「一歩踏み込み」活路を見出す
――SHIFT入社後、最初に手がけられたプロジェクトは?
N.H.:最初はインフラ関連ではなく、物流系システムのリバースエンジニアリング案件でした。
アップデートのためにソースコードを解読して、開発ドキュメントをつくる仕事でした。あるベンダーが手がけていたのですが、そのシステムが「C#」というやや古い開発言語を使っていたうえ、複雑だった。
ベンダーは各部署から人材を集めて当たっていたのですが、なかなかドキュメント作成まで進んでいない状況でした。
「C#がわかって設計書が書ける人がいないか」とSHIFTにも声がかかり、前職でC#を使って開発も手がけていたこともあり、私がアサインされたのです。
――実際に現場に入ってみて、いかがでしたか?
N.H.:最初は不安でした。20年キャリアがあるとはいえ、ずっと自社のなかで仕事してきた身でしたから。お客様先でしかも他社のメンバーもいる環境でしたのでプレッシャーも感じていました。
ただ、だからこそ「やるしかないな!」と踏ん切りもつきました。恥も外聞も捨てて、すでに入っていたスタッフの方々も含めてとにかく不明点を確認していきました。
これは前職のころからそうなのですが、ただいわれたことをやるのではなく、どんな仕事もしっかり理解して「腹落ちしたうえで動く」のが信条なのです。
そうでないと、結局、戸惑い、中途半端な仕事になってしまいます。自分が理解しきることを、SHIFTでも実践しました。
結果として、要望どおり、アサインされた1週間後に、まずは設計をひとつ書き起こしたところ、「これをベースに進めていきましょう!」と止まっていた案件が動きはじめて。内心、ホッとしました。
――救世主が現れたわけですね。
N.H.:いやいや。しかし、その最初の設計をベースに横展開し、大勢の方々の止まっていた手がドキュメントづくりに向かって動きはじめたのは、うれしかったです。
「大部隊で先陣切っているSHIFTはなかなかのものだ」と評価いただき、「テスト要員も」「PMできる人材も」と増員のオーダーを受けて、最終的にSHIFTから10人ほどのメンバーがアサインされるなど、貢献できました。
個人的にも、あらためて一歩踏み出してコミュニケーションをとること、自分のできる仕事を最大限にやりきることが成果につながると再確認できましたので、いい経験を積めたと実感しています。
私なりの「三方よし」が実現できている理由
――そしていまは、某メガバンクのインフラシステムのリプレイスプロジェクトでPMOを務めていらっしゃいます。
N.H.:はい。メガバンクのシステム子会社から委託され、PMOとして入っています。巨大なコールセンターのインフラシステムで、規模も携わる人数もこれまでとは桁違いでした。ちょっとしたオンラインMTGでも、画面に50人ほど映りますからね(笑)。
――こちらではどのような意識で仕事にあたっているのでしょう。
N.H.:規模もカルチャーも違う場で、ほぼ未経験のPMOとして業務にあたるのはそれなりに大変ですが、基本は変わらないです。
周囲の特性を見ながらも、こちらから1歩、2歩と踏み込んで能動的にコミュニケーションをとっています。対お客様だからといって躊躇するのではなく、むしろ同じ目線で提案させてもらっています。
たとえば、「このプロセスはムダではないか」「このツールを使ったほうがスムーズに進むのではないか」といった改善案を積極的に伝えています。
小さいことですが、いちいちメールでやりとりするのではなく、チャットツールに変えてもらい、導入していただくなどしました。
――本格的なインフラ案件もはじめてだったと思うのですが、戸惑いは?
N.H.:こちらはSHIFT社内のコミュニケーションが本当に心強い味方になってくれています。技術的な疑問があったら、社内のメンバーに確認するとすぐにアドバイスをもらえる。
「それなら…」「似たような案件で…」とすぐさまレスポンスがあります。躊躇なくフランクに踏み込んでいろいろ教えてもらえるよさは、感動的ですらありますね。
――プロジェクトはまだ進行中ですが、手応えは?
N.H.:半導体不足などで予期せぬリードタイムがかかった面はありましたが、それをとり返すように至ってスムーズに進んでいます。SHIFTメンバーも私以外に増員していただき、いま5人にまで増えました。
お客様からも「上長が食事の席で『SHIFTにはどこよりも質が高い仕事をしてもらえている』とぼそっといっていましたよ」と教えてくれたときは、ぐっときましたね。
お客様に喜んでいただき、SHIFTにも貢献でき、個人的にもはじめての経験と新しい知見を日々積み上げられています。私なりの「三方よし」が実現できているのは、転職してみて、飛び出してみて、よかったなとしみじみ思います。
――背中を押してくれたご家族の反応は、転職後、いかがですか?
N.H.:普段仕事の話を多くしていないこともあって、あまり変わりませんね(笑)。
ただSHIFTには技術者向けにさまざまなエンジニア向けのコンテストがあります。技術を磨きあいながら、切磋琢磨しあえる環境があって、エンジニアファーストのいい会社だなと実感しています。
実は私も昨年、参加して発表したのですが、おかげさまで賞をいただけまして、そのとき妻が子どもたちに「お父さん、すごいんだよ」といってくれたのは、うれしかったし、誇らしくもありましたね。
(※本記事の内容および取材対象者の所属は、取材当時のものです)