SHIFTでは近年、毎月約150名の採用をつづけています。
彼らの入社、社会保険などの手続き、さらには現職従業員の産休・育休をはじめとした休職管理、契約社員の契約更新、年末調整、その他問い合わせ対応など、一手に担うのは、正社員と契約社員、派遣社員を含めた若干十数名の労務チームです。
急増する従業員の対応、さらに毎日150件近く届く問い合わせたち……少しでも対応をスピードアップして、なんとか従業員の不安を解消し安心を届けたいと、メンバー一人ひとりが改善に力を尽くしてきました。
今回は、他社で人事のプロフェッショナルとしてキャリアを積みながら、2022年10月に入社した岡田卓摩と、同じく2022年9月に異動した島貫真児が、この1年間の取り組みと、労務チームにも浸透するSHIFTのカルチャーについて語ります。
-
人事本部 人事総務統括部 コーポレート人事部 副部長 岡田 卓摩
2022年10月SHIFT入社。新卒で学習塾に教室運営職として入社し、現場の就業環境の改善を推進したいと考え、人事部へ異動。その後、ベンチャー企業で事業開発を行った後、株式会社ディー・エヌ・エー HR本部で評価制度改定、健康管理室責任者、NECのHRBPとして人事制度導入サポートや、従業員のエンゲージメントを向上させる施策を企画・立案・運用を実施。 現在は労務グループ、エンゲージメントソリューショングループのマネージャーに従事。
-
人事本部 人事総務統括部 コーポレート人事部 労務グループ 島貫 真児
2021年11月SHIFT入社。新卒で食品会社の人事として入社し、労務、採用、制度構築を経験。その後、IT企業で人事制度設計や株式上場、営業職に従事し、 現在はSHIFTの労務業務に従事。
目次
急激な組織拡大にも、社内の人間だけでさばききる
―――お二人ともいまからちょうど1年前の入社ですが、当時の状況について教えてください。
岡田:正直なところ、当時の労務チームは人手が足りず、私たちより半年はやく入社したメンバーが、毎月約150名ずつ増える従業員の入社手続き対応や、既存従業員からの1日150件近く届く問い合わせに対応しているような状態でした。結果として従業員のみなさんに迷惑をいっぱいかけてしまいました。
ちょうど社会保険の法改正のタイミングも重なっていたので特に大変でした。問い合わせの対応もどんどん遅れてしまい、一次返答に5日間かかり、クロージングに至っては10日間、ときには何週間もかかってやっと。本当に従業員のみなさんに申しわけない状況で日々なんとかこなしている感じで……。
島貫:これだけの人数を抱える企業の場合、入社手続きの部分だけでもアウトソーシングするのが一般的です。そもそも毎月こんなに急激に正社員が増える状況は、まずありません。私もそうですし、労務チームみんなはじめての体験だったと思います。
岡田:すべて内製でやっているのは、すごい馬力だなと入社当時、率直に関心したことを覚えています。プロたちが、なんとかキャッチアップしていて。
島貫:労務に携わる人間は基本的に責任感が強いので、大変な状況でもなんとか頑張っていたんでしょうね。一方、メンバーが、過去の会社と比較してもこの状態ではいけないと感じていたのもたしかです。
―――まず目指したのは、どのような状態だったのですか。
岡田:諸手続きに必要な情報を集め、ちゃんとプロセスにのせていく。そんな労務として当たり前の状態を目指しました。月10人程度の採用なら、問題は起こらなかったと思います。やはりこの規模感と、すべてのボリュームを少数のメンバーでやっていたことが課題でしたね。
労務にも求められる業務の見える化と、KPIの設定。
―――業務効率化の出発点として、最初に着手したのはどのような業務ですか。
島貫:タイムパフォーマンスがいい業務改善を優先的に着手しました。日常業務をフルでもちながら改善も行う必要があったので、改善したら半年でどれだけの時間短縮につながるかを考えて、とりかかる順番を決めていきました。
例えば、ある改善ポイントについて会議や開発で20時間かかったとします。その結果、半年で5時間の業務時間の削減につながる場合の損益分岐点は2年。であれば優先度は低いので後回しにしていましたね。
そうなると、まずは人を巻き込まず、自分で完結できる部分でタイムパフォーマンスがいいものを最優先でコードを書いていくのがはやいんですよね。
自分で完結するメリットは、UIやマニュアル、イレギュラーをつくりこむ必要がないこと。やりすぎると属人化してしまうので一時的な対処として、余剰時間をつくるために、ですが。
―――さきほど一般的ということだった「アウトソース」は、しなかったんですね?
岡田:アウトソースをすると私たちの業務量自体は減るとしても、自分たちでコントロールできない部分が増えて、スピード感をもって対応ができないというデメリットがあります。
反対に社内であれば改善を重ねてスピーディに対応できたり、さらには一人ひとりの労務メンバーの力もつけられたり。当時からいまのフェーズでは、社内でやることのメリットが大きいと思ってアウトソースはしていませんね。
―――なるほど。では業務改善のためにどんなことを?
岡田:徹底したのは業務の見える化でした。実はSHIFTで斬新だったのは、上長から「KPIは?」「どういうプロセスになっている?」「見える化してほしい」といわれたこと。労務畑を歩んできて定量的なKPIを出せとはいわれた経験がなかったので。
最初は悩みましたが、考えるうちに問い合わせのリードタイムやクロージングまでの期間、社会保険を完成させる日数、工数削減など、いくらでもKPIは立てられると気づいて。
“何かを改善する際は、業務を見える化する”のはとてもSHIFTらしいと思います。だからSHIFTでのキャリアが長く、他部署から異動してきたメンバーは難なくできてしまうんですね。
島貫:構造化がうまかったり、感度がエンジニアっぽい人は特に。
岡田:社労士の資格をもちながら労務外の人事知識があってコードまで書ける島貫さんのような人事の高度なプロ人材が数名いて、彼らがカオスになっていた部分を整理しながら少しずつ余剰時間を生み出してくれたのが約半年。
そのあとの半年で、今度はSHIFTが得意とするところ、つまり「業務を見える化して、構造化する。そのうえでKPIを見ながら必要な改善策を考え実行する」。合計1年が経って、いまやっと少しずつ各数値が改善してきたというところですね。
SHIFTの労務に求められるのは、当たり前の上をいく“感動”
―――SHIFTの労務部門として目指すのはどのようなところですか。
島貫:私は本来、労務の諸手続きの理想の状態は、正しい情報がインプットされれば、すべて自動で済むはずだと思っているんです。その状態を突き詰めたいですね。
一方で人が介在する価値というのは、別の部分にあるので、そこに時間をかけられるようになりたいですね。具体的には、感情に配慮したような相談ごとにしっかりと向き合うことにシフトしていければと。
岡田:「できて当たり前」の労務が達成できれば、次は「こんなこともやってくれるんだ」というところを目指したいですね。感動を生む労務、が理想です。
―――先ほど「目標への達成度は半分くらい」と。とはいえ、少しずつ改善が進み余力も出てきました。労務チームが、会社のみなさんにどのような影響を与えられていると感じますか。
岡田:影響なんて、まだまだです。給与担当のリーダーが「労務とは、蛇口ひねったら水がでる。そんなもの」とよくいいます。蛇口をひねってジュースが出る必要はないけれど、まずどれだけ規模感が大きくなろうとも当たり前のように水が出てくる状態を継続しなくてはいけません。
安定したインフラを提供するのが最優先。ただし、SHIFTでは、それだけでは全然だめ(笑)。組織全体にいい影響を与える施策をいまから考えておく必要性も感じています。それを実現できると、SHIFTらしい労務になっていけるなと。
島貫:私も同じですね。まだ、いい影響を与えられていると感じることはありません。迷惑をかけている状態で、むしろいまは不満を抱える方もまだまだいるので、まずマイナスをゼロにしていくことが、いちばん大事です。
岡田:人事部門がどんないい施策をやっても、インフラに穴があって垂れ流されている状態では、満足度が労務のせいで下がっていくことが起こってしまいます。そしていま、ようやく穴を塞ぎつつあります。ここから先、近い将来には労務チームで感動を与えることを考えられるようになれればと思います。
改善をまったく嫌がらない。SHIFTらしい労務のありかた
―――まだ道半ばということですが、一方でSHIFTの労務チームのここは自負できるなという部分はありますか?
岡田:1年で1,000人以上従業員数が増える会社で、数に対応するだけでなく品質を徐々にあげていることは自信をもっていいんじゃないかなと思っています。さらに一般的な労務の領域に留まらず、自らのミッションの幅を増やしていくという姿勢は、やはりSHIFTならでは、かなと。
島貫:あと仲がいいですよね。年齢層はバラバラですが、みんなフラットで誰が偉いとかなく、意思の疎通ができている。労務の領域では、どこの会社でも「改善したい」と誰かがいうと嫌がる人が多いんですね。これまでのやり方を変化させるとミスが起きやすいので踏襲することを好むというか。でもSHIFTはむしろみんな改善提案を歓迎するんです。
岡田:たしかに全然嫌がらない。前向きに改善していこうとするのも特長ですね。
島貫:改善は、前任者の業務を否定することになりかねないですが、みんなそういった捉え方をしないので前向きに進んだとも思います。
―――前向きさは、SHIFTらしさと近いでしょうか。
岡田:「無理」といわずにまず考えてみる、脳で汗かく。クレドを体現する人が集まっていますね。バックオフィスですら、SHIFTのカルチャーが浸透しているのは私が入社してもっとも驚いたことの一つかもしれません。
(※本記事の内容および取材対象者の所属は、取材当時のものです)