「多重下請け構造」と呼ばれるソフトウェア開発業界。SHIFTは、自らがプロジェクトの上流工程に入り、階層構造や企業規模に関わらず真に業務能力のある開発会社へ直接発注することで、中間階層を排除。適正な価格で受発注するなど、業界構造の改善を目指しています。
アジャイルサービス2グループ に在籍するN.M.は、前職で二次請け、三次請けの開発案件を担当していました。10年以上勤務しても、ほとんど上がらない年収に疑問を感じ、転職を決意したといいます。
「将来像が見えないまま、ただただ大量の案件をこなす毎日に疲弊してしまったんです」
人材紹介エージェントを介して出会い、応募したのがSHIFT。ですが、一度は内定を辞退したといいます。そのあと、なぜN.M.は入社を決めたのでしょうか。そして、いまの仕事のやりがいは?本人に直撃しました。
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サービス&テクノロジー本部 アジャイルサービス部 アジャイルサービス2グループ N.M.
新卒入社した企業、その後転職した企業含めて、17年ほどソフトウェアの開発に従事。2019年9月にSHIFTに入社後、アジャイル開発における品質は何かを日々考えながら活動しています。
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21歳
新卒でソフトウェアハウス企業に入社
プログラミング、詳細設計をメインとして、多種多様な業界のソフトウェアを構築する。
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26歳
他のプログラミング言語に触れるため転職
汎用機以外の世界も見て見たくなり転職。Javaプログラマーになる。
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39歳
SHIFTに入社
本格的に品質保証の領域で活動をするようになる。
目次
一度は内定を辞退。品質管理という重要なプロセスを誤解していた
──まず、入社前の経歴と転職のきっかけについて教えてください。
N.M.:新卒から開発ベンダーを3社経験しています。といっても、2社目在籍中の組織合併により3社目となったので、実質的には2社ですね。
1社目は、プログラムをお客様に納品する会社。5年ほど在籍しました。そのあと、前職ではプログラマー、SEとして約10年勤務しました。
転職を決意した理由は、長年勤めていても給与がほとんど上がらなかったこと。将来への不安が募り、「このままでいいのだろうか?」と自問自答する日々でした。
加えて、二次請け、三次請けの案件ばかりだったので「事業会社で自社サービスを開発してみたい」「PMやPMOとして上流工程に関わりたい」というエンジニアとしての欲も高まりつづけていました。
SHIFTは、人材紹介エージェントから「PMの育成に力を入れている会社」だとすすめられて応募し、一旦は内定をもらったのですが……当時、開発の仕事を希望していたこともあり、自ら辞退を申し出ました。
──その後、なぜSHIFTへの入社を決めたのですか?
N.M.:SHIFTからの呼びかけで再度面接をした際に、評価や昇給制度について細かく聞けて、それまでのキャリアで抱いていた“もやもや”がなくなったんです。その後、長く品質保証業界に従事する友人にもじっくりヒアリングしてみて、あらためて「品質保証の仕事も面白そうだ」と感じ、転職することに決めました。
ずっと開発畑にいたので、正直なところ、品質保証サービスについて「単調な仕事なのでは?」などといった誤解も多々あったと思います。でも、SHIFTに入社して実務に就いてみると、とても奥が深く、重要な仕事であることはすぐに認識できました。
品質保証チームリーダーとして、開発に加わり“前倒し”で品質向上を図る
──SHIFTに入社してからはどのような業務を?
N.M.:MVNO(自社で通信設備をもたない携帯電話会社)のプロジェクトで商品開発の品質保証活動やPMを2年半担当した後、流通系企業の社内システム案件に半年ほど携わっていました。基本的にはアジャイル開発を実施している、もしくはとり入れたい意向のある企業を支援しています。
2022年11月からは、ECサイト運営会社で品質保証チームのリーダーを務めています。この企業では、アジャイルで複数のブランドサイトを開発。発生した不具合にスピーディに対処しながらも、なかなか品質が安定しないという課題があり、SHIFTにお声がかかりました。
──具体的にはどんな支援をしているんですか。
N.M.:「品質保証チーム組成&文化定着」「品質保証チーム運営」「品質のシフトレフト」という3つの軸でサポートを進めてきました。品質保証チームはSHIFT2名とお客様1名で組成。アジャイル開発の流れにあわせたテスト運営を展開しています。
ちなみに3つ目の品質のシフトレフトとは、「品質を念頭に入れながら設計を行う」考え方を開発サイドに浸透させ、事前に不具合を抑えるよう努めていくこと。各ブランドサイトの開発チームに加わり、品質向上の視点で細部にわたり提言するのが私たちの役割です。
──スタートからもうすぐ1年になりますが、これまでで一番苦労したことは?
N.M.:お客様側の開発チームとの連携体制ですね。特に私の担当ブランドはみなさん業務委託メンバーということもあり、急にSHIFTが加わって、とまどいややりづらかった部分があったと思います。お互いに遠慮し合っていて、会議でも活発な議論に発展することはほとんどありませんでした。
徐々に距離を縮められるようになったのは、大きなプロジェクトに着手してから。もともと別々につくっていたiOSとAndroidのアプリ仕様を同一にするという作業を進めることとなり、「品質改善のためにははっきりいった方がいい」と腹を決めて、積極的に意見を伝えるようにしました。
それからチーム内の雰囲気は明らかにいい方向へと変わりました。「思わぬ箇所から不具合を検出する」レベルの高いテストを重ねたことも、信頼を高めるうえではとても大きな要素だったと思います。
未経験で入社して、がんばって、仕事を任され、給与が上がる……純粋に「うれしい」
──これまで複数の案件を担当されてきましたが、改めて、SHIFTの強みは何だと思いますか?
N.M.:独自の品質保証標準、SQF(SHIFT Quality Framework)を設けていることですね。
SQFには、ソフトウェアテストの基本的なプロセスと目的が13のステップにまとめられ、明記されています。汎用性も再現性もあるので、どんなプロジェクトにも活用できるのが特長です。
いま担当しているお客様先でも、SQFをとり入れながら品質管理ができないか、提案しているところです。品質管理の現場をリードする立場としては、こうした拠りどころがあるのは非常にありがたいですね。
──N.M.さんが懸念されていた評価制度や昇給についてはどうでしょう。
N.M.:上司が“日頃の私の業務”をしっかり見て評価してくれている。そんな安心感があります。目標を設定する際も、あくまでも私の目指したいキャリアや5年後の希望年収などを尊重してくれます。
上司からは毎回「地に足のついた目標だね」といわれますが、だからといって、そこで無理矢理、会社の期待値が乗せられるようなことはありません。
年収についても納得感があります。品質管理未経験で入社して、がんばって仕事をして任されて、給与が上がったのは、純粋に喜ばしいことですね。
SQFの導入、テストの自動化……将来的には「売るための仕組み」を提案していきたい
──最後に、今後やっていきたいことを教えてください。
N.M.:現在のお客様の話に終始してしまいますが。SQFの導入に加えて、将来的にはテストの自動化も組み入れられたらいいなと思っています。
つくって終わりではなく、リリースと修正を繰り返すのがアジャイル開発です。不具合を検出して改善したら、想定していなかった別の箇所が不具合を出すことも少なくありません。
また、ECサイトは通常の購買取引以外に何種類ものクーポンが配られるため、テストケースを何通りも想定する必要があります。
すべてのシステムにテストの自動化が適するとは思っていませんが、このサイトの性質上、人の手でテストをやるよりも断然効率的なのではないかと考えています。
──そういえばN.M.さんは、グループで開催している勉強会の、「テストの自動化」の回を運営されていると聞きました。
N.M.:そうなんです。サービスマネージャーに「自動化について勉強したい」といっていたら、いつのまにか運営側にまわっていまして(笑)。
毎日のように多種多様な勉強会が催されているのも、この会社のよさですね。リモート開催なので予定も調整しやすいですし、自分自身の学びだけでなく、他のメンバーがどんなことをやっているのか、どこに興味関心があるのかキャッチできるのもいい。
勉強会などで社内の動きを把握しながら、テストの自動化以外にも「商品を売るための仕組み」をどんどんお客様に提案していきたいです。幅広いITソリューションを提供できるのもまた、SHIFTの強みだと思いますので。
──N.M.さん、本日はありがとうございました!
(※本記事の内容および取材対象者の所属は、取材当時のものです)