「障がいの有無に関わらず、一人ひとりの才能や能力を活かして、みんなが活躍できる社会をつくりたい。本気でそう思っています」
そう話してくれたのは、ビジネスサポート部、通称「ビジサポ」チームのK.A.。ビジサポチームは障がい者雇用を推進している部署です。
2024年8月期において、SHIFTで働く障がいのある従業員数は185名になり、定着率(入社後1年以上経つ従業員の割合)は85.2%に達しました。一般企業における障がいのある方の同定着率は58.4%※であることからも、SHIFTの定着率が非常に高いことがわかります。
※障害者の就業状況等に関する調査研究。2017年、JEED
実雇用率も法定を超える2.8%(2024年8月時点)、さらに年々採用数が増えつづけている、SHIFTの障がい者雇用。高い定着率と実雇用率を達成できた裏側にあるものとは。チームをけん引するK.A.に、話を聞きました。
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ビジネスサポート部 副部長 K.A
2018年10月にSHIFT入社。新卒で人材総合サービスに入社。10年以上法人営業・大企業向けのRPO(中途・新卒/正社員・契約社員・アルバイト)、キャリアアドバイザー、人事採用コンサルティングを経て、サービス開発に従事。SHIFTでは、エンターテインメントHRBP、第二新卒の大量採用の企画立案~運用を経て、2023年9月に、障がい者雇用を推進しているビジネスサポート部の副部長に就任。趣味は、お酒、旅行、野球観戦。
目次
3つの役割、広がる業務内容
―――まずはじめにビジサポチームが目指していること、部署としての役割について教えてください。
K.A.: 私たちビジサポチームが掲げているミッションは「才能や能力を活かして、みんなが活躍できる社会の実現」です。
役割は3つあります。
一つ目は、社内BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)として機能すること。各部署から依頼された業務に適材適所でメンバーをアサインし、遂行。最終的には各部署の事業成長に繋がるようサポートをします。
二つ目は、障がいのある方々の採用と、活躍機会を創りつづけることです。我々が大事にしている価値観、目指すべき方向を理解してくださる方や、活躍できる人材を採用すること。そして、入社後も才能や能力を活かして、価値を発揮しつづけられるような機会の創出や、環境・仕組みづくりに尽力しています。
最後に、社会価値の創造です。SHIFTは「社会課題を解決する」会社です。障がいのある方が、もっと幅広い選択肢から仕事が選ぶことができたり、やりがいをもちながら希望のキャリアを築くことができたりする世の中にしていくための取り組みを進めています。
才能と能力を活かしながら働ける組織づくり・環境づくりを進め、SHIFT単体のみならず、グループ会社の障がい者雇用の推進をサポートするなど、自社での取り組みを広げていく活動も行っています。
―――各部署から依頼される仕事とは、具体的にどのようなものなのでしょうか。
K.A.: 現在ビジサポのなかにチームは20あり、各部署から依頼される定期業務は200を超えます。
わかりやすい事例でいうと、品質保証事業におけるテスト実行の一部、生産性向上にかかわる社内システム開発、動画や静止画の撮影や編集、社内ブログの入稿、総務や庶務の事務作業のサポートなどがあります。
はじめはビジサポチームから各部署に声をかけて、仕事をもらってくるような状況でした。現在は社内にもビジサポの存在が浸透しつつあり、ありがたいことに「ビジサポさんがいないと、仕事がまわらない」といってくれる部署が増えてきています。
ただ作業を依頼する、遂行するだけの関係性ではなく、事業に貢献するサポートができているかを大切にしています。依頼部署に対して必ずアンケートをとり、依頼業務に対する期待を超えられているか、期待値を超えられていないようであれば、その課題を特定し、改善を図るようにしています。
―――他にも障がいのあるアーティストを支援する活動もSHIFTならではですね。
K.A.: 新たな取り組みとして「SHIFT Challenged Art」という公募展を開催しています。障がいのあるアーティストの方の活躍の場や、自らの力でキャリアを築ける社会を創造するきっかけの場をつくりたいとはじめました。
アートの公募展へは全国から596件の応募があったほか、5名のアーティストとご縁があり、実際に採用に繋がっています。
他にも代表丹下の故郷、広島県神石高原町で、花の栽培からまちおこしを実現しようというプロジェクトもはじまりました。花を育てるのが上手な方に入社いただけたのですが、これからますます「障がい者雇用」の既存概念を打ち破っていけたらと思っています。
参考(note):SHIFT Challenged Art 公募展 2021~アーティスト採用までの取り組み~
参考(note):IT企業が「花」で仕掛ける、新プロジェクト、始動!
メンバーの特性や希望を尊重したアサイン、独自の評価ガイドラインに込めた思い
―――冒頭にあったように、定着率が8割を超えるとのこと。その背景にはSHIFTならでは、の施策があると思うのですが。
K.A.: メンバーの得意・不得意を尊重し、適材適所で業務をアサインできるよう、業務幅を多岐にわたって開拓し、業務分解をしてきたこと。また障がいのある方独自の評価ガイドラインがあること。この二つがSHIFTの強みであると同時に、85.2%という定着率にも繋がっている施策だといえるでしょう。
障害者雇用促進法によって民間企業での法定雇用率は2.3%とされていますが、それを達成している企業の割合は48.3%※と全体の半分に満たない状況です。
※厚生労働省 令和4年 障害者雇用常用の集計結果
残念ながら就業し活躍できる人材の雇用を生み出しきれていない現実があります。その限られた雇用のなかで選ぶ仕事もまた限られているという現状があります。
しかし成長したい、やりがいのある仕事がしたい、給料を上げたい、幸せになりたいと願う気持ちは、障がいのあるなしに関わらず、誰もがもっているはず。また、合わない仕事に自分を合わせて、もっと苦しくなっていってしまう恐れも、誰もが抱えています。
だからこそ私たちは、採用した一人ひとりの能力、得意・不得意だけでなく、日々の体調や望む働き方について対話を重ね、適した仕事や、適した量の業務をアサインできるよう工夫しています。
そのためコミュニケーションの質と量にはこだわっていますね。社会福祉士や、精神保健福祉士、企業在籍型職場適応援助者(ジョブコーチ)などの資格をもったマネジメントメンバーが専門的なアプローチを行ったりもしています。
私たちが大切にしているのは可能性を大事にすることで、遠慮はしないということ。
業務については本人の意見や希望を聞き、どんなサポートや配慮があると対応できるのかを確認。そのうえで、必要な配慮を講じ、仕事をお任せしていくことでパフォーマンス高くアウトプットをしてくれています。
また、より成長を実感できるよう、ビジサポ独自の評価ガイドラインの賃金規定を細かく設定するなど、制度面の見直しも行いました。
自分がしたことが求められる誰かの役に立ち、それが評価や給料アップに繋がっていく。そんな成功体験を積み重ねていく機会をつくりたいという想いから誕生した制度です。
そうした想いが反映された仕組みを積み重ねていけば、誰もが活躍できる社会に近づいていくのではないかと考えています。
「SHIFTなら幸せに働ける」をこれからも
―――今後ビジサポチームが思い描いている未来について教えてください。
K.A.: SHIFTとして「才能と能力を活かせる会社で働くことが、幸せにつながるんだよ」といわれるような環境づくりをしていきたいです。
才能や能力を活かしてもらうことが、あらゆるダイバーシティを包括した居場所をつくる。居場所が生きやすさの実感を生み、幸せへとつながっていく。私たちはそう信じています。
直近では、もっとさまざまな部署のなかに入り込んでいって、チームの一員として一緒に働ける関係性の構築も進めていけたら、より幅広い働き方の選択ができるようになるのではないかと考えています。
SHIFTは本気で「社会課題を解決する会社」を謳い、これまでも業界の構造を変えてきました。障がい者雇用も同じです。そうした社会課題を解決したいという思いが会社全体としてあり、日本の雇用を守ることへの視座が高いからこそ、障がい者雇用の推進と、彼らのキャリアをつくる活動ができているのだと日々感じます。
おかげさまで2023年に実施された日本HRチャレンジ大賞では「採用部門優秀賞」を獲得。また東京都の「心のバリアフリー」好事例企業にも選出されるなど、社内外で評価されるほどになりました。
一筋縄ではいかないことも多いけれど、これからも日本の障がい者雇用のあり方を変えていきたいし、リーディングカンパニーを目指して挑戦しつづけたいですね。
(※本記事の内容および取材対象者の所属は、取材当時のものです)