「企画」開発者たれ。社内唯一、事業の根幹を支える自社開発部門が大事にする哲学 

2023/06/29

CAT開発室のエンジニアは、企画開発者たれ」 

 こう強調するのは、CAT開発室 室長の森川 知雄です。 

 CATとは、SHIFTが自社開発している統合型ソフトウェアテスト管理ツールの名称。そう、CAT開発室は技術統括部のなかでも“唯一”の自社開発部門ということで、会社の根幹を担う重要なプロダクトを開発している部署なのです。

「SHIFTの品質保証の根幹を担い、対外的な事業としても成長性のあるCATというプロダクトの開発に集中することができる。そこが、CAT開発室最大の魅力であり楽しさでもあります」 

 中堅SIerで自動テストツールの開発や品質管理に携わってきた森川は、2019年にSHIFTへ入社。以来、技術による効率化でプロダクト品質だけでなく「人生の品質」も上げていきたいと考え、SHIFTのなかでも特異な存在として事業を支えてきた人物です。

 そんな森川は、プロダクトに対してどのような思いをもち、またチームメンバーに対してどんな期待をしているのでしょう。「企画開発者たるエンジニア」に込められた思い/哲学とは。じっくりと話を聞きました。

  • サービス&テクノロジー本部 技術統括部 開発支援プロダクト推進部 CAT開発室 室長 森川 知雄

    中堅SIerにて品質管理業務を担当テスト戦略から人材育成までを担当する。テスト自動化技術Seleniumに出会い、テスト自動化ツールスクラッチ開発し、テストコストを最大40%削減。以後、テスト自動化~DevOpsといった技術に将来性を感じる2019年、新しいこと挑戦できる環境を求めてSHIFTへジョイン。 

目次

※本記事では、部署名を示す場合は「CAT開発室」、プロダクト名を示す場合は「CAT」と、それぞれ表現しております。 

鉱工業と漁業以外はすべて。幅広い業種に導入されているプロダクト 

SHIFTと聞くと「テストや受託開発、コンサルティングの会社」というイメージが強いかもしれません。 

実際、お客様へのサービス提供を担うサービス&テクノロジー本部下にあるグループのうち、ほとんどが上述のようなクライアントワークに携わっています。 

数少ないインハウスでのプロダクト開発を行っているのが、私たち「CAT開発室」です。 

CAT開発室が主に取り組んでいるプロダクトは2つ。部署名の由来にもなっている統合型ソフトウェアテスト管理ツール「CAT(COMPUTER AIDED TEST)」と、テスト設計支援ツール「TD(TEST DESIGNER)」です。 

CATは、システム開発プロジェクトにおけるテストフェーズのテストケース・障害情報をリアルタイムで管理できるサービスです。従来よりメインで使われてきたExcel/スプレッドシートとの親和性が高く、リアルタイムかつ正確な品質管理を手軽に実現できるツールとして、ありがたいことに多くのお客様の製品開発シーンを支える存在へと日々成長しています。 

現状、鉱工業と漁業以外の全業種にお客様が存在します。(2023年5月末時点) 

また、CATがテスト工程の管理ツールであるのに対して、テストそのものの設計を支援するのがTDです。SaaSサービスで、企業がこれまで実行してきたテスト内容を参考に「標準化と資産化」を進め、主にマニュアルテスト全般を効率的に作成・実施できることを目指しています。 

こちらはまだリリースして日が浅いこともあり、これから導入社数を増やしていくフェーズとなります。 

グループ従業員数1万人超の事業の根幹を支えるプロダクト 

社内外問わず製品に対するフィードバックを直接いただけ、スピーディーに開発を進めることができる点が、CAT開発室の面白さでありやりがいだと感じています。 

実は私は、CAT開発室の室長であると同時に、SHIFT EVOLVEと呼ばれる技術イベントグループのコミュニティマネジメントも担当していて、2022年12月からはCATユーザー向けイベントの開催もはじまりました。 

先日、イベントでTDの新機能リリースについて発表したところ、すぐに使いたいというお問い合わせを多くいただき、期待値の高い生の声を頂戴しました。このように、直にお客様からの声が届く環境に身をおくことができるのが、CAT開発の醍醐味ともいえます。 

また、CATは社外のみならず、SHIFT社内でもふんだんに利用されています。といいますか、SHIFTが一番のヘビーユーザーといっても過言ではないでしょう。 

といいますのも、CATは元々、SHIFT社内でのテスト管理ツールとして開発されたものが母体となっています。お客様の困りごとを解消するのにも役立つと気づいてから、外販用の機能も実装していったという経緯があるのです。 

だからこそ、CATはテスト部門の人たちの標準的な業務ツールになっており、すなわちSHIFTの根幹を担う存在となっています。 

グループ従業員数1万人超の事業の根幹を支えるプロダクトに携われるというのは、大きなプレッシャーではあるものの、非常にやりがいのある業務と感じています。 

お客様がほしい機能ばかりをつくらない 

CAT開発室は、CATおよびTDの開発チームと、決済/認証基盤チームの2つに大きくわかれています。 

「なぜ決済/認証基盤?」と思われるかもしれませんが、2023年1月よりCATをECサイト経由で購入できるようにアップデートしたことで、そこの部分を専門で担うメンバーも携わるようになりました。 

ちなみに、CAT以外にもSHIFTが提供するサービス・プロダクトについて順次EC対応を進めるべく、それらについても決済/認証基盤チームが担当しています。 

開発チームはユーザー寄りの立ち位置であり、一方で決済/認証基盤チームは社内寄りの立ち位置ではあるものの、いずれも重要になってくるのは「企画開発力」だと捉えています。 

エンジニアと聞くと、いわれたものをつくっていくお仕事というイメージを強くもたれる方も多いかと思いますが、CAT開発室では企画から考えていく「企画開発」の側面が強いです。 

SHIFTには5つのクレドがあるのですが、そのなかでも私は特に、「できないとは言わない、できると言った後にどうやるかを考える」「我々はビジネスの世界におけるアスリートである、脳で汗をかけ」の2つが気に入っています。 

技術や機能を通じて、社内メンバーやお客様の課題を解決していく。そんなエンジニアになってもらいたいと日々考え、メンバーと接しています。 

そのためにも、逆説的に聞こえるかもしれませんが、お客様がほしいものは中長期的にはつくらないことを意識しています。ご要望にばかり応えていくと、幕の内弁当のような機能の集積体になり、製品としての軸が歪んでしまうリスクがあるからです。 

筋を通して製品をつくり上げていくのであれば、中長期的な視点で方向性を定める必要があります。CAT開発室が製品に対して掲げている軸こそが、冒頭のTDの紹介時にお伝えした「標準化と資産化」というわけです。 

この軸に沿って、本当に必要な機能かどうかを見極めていきたいと考えています。 

次なるミッションは「膨大なバグデータの活用」 

私が2019年にSHIFTにジョインしてもうすぐ4年が経つのですが、つねに感じるのは、経営層がエンジニアをしっかりと評価してくれているということです。 

特にCAT開発室は、グループのテスト事業の根幹となる部分を担っているといえるので、その渦中にいることの面白さがありますし、うまくいったときにある意味で非常に評価されやすい位置にいるとも感じます。 

そんなCAT開発室が求めているのは、先ほどお伝えした「企画力」があり、かつスピード感をもって取り組んでくれる人です。もちろん、一定の技術スタックは必要ですが、それ以上に企画開発に対する姿勢が大切だと捉えています。 

また、アウトプットが好きな人も大歓迎です。たとえば基盤チームで活躍しているメンバーのなかには、SHIFTの技術ブログのPV全体の2割を稼いでいるエンジニアがいますし、CATのマイグレーションについて発信しているインフラエンジニアもいますね。 

そんなユニークなメンバーと共に今後取り組んでいきたいのは、開発スピードのさらなる向上と、CATおよびTDに溜まっているバグに関するビッグデータの活用です。 

特に後者について、現在150万件以上のバグデータが溜まっているので、それらのデータを活用することがCAT開発室のミッションの一つと定めています。 

いまお伝えした2点について、一緒に考えてくださる企画開発者に、ぜひともジョインしていただきたいと考えています。 

メンバーの属性としては、私のように中堅SIerで自動テストツールの開発・品質管理を行っていた者もいれば、事業会社やSIerでシステムエンジニアなどをやってこられた方もいて、みんな何かしらの技術的な強みをもっていますが、バックグラウンドは多様です。 

SHIFTはいわゆるトラディショナルな企業よりも、柔らかい部分が多分にあると思っています。たとえば立場を超えてチームの関係性は極めてフラットですし、部署の壁を超えた意思決定についても想像されている以上にスピーディーに進んでいきます。 

このような職場環境こそが、ものづくりをしていくうえで非常に大切な要素だと思います。 

そこにピンときたら、ぜひ声をかけていただきたいと思います。 

外部協力:長岡 武司(執筆)

(※本記事の内容および取材対象者の所属は、取材当時のものです)

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