2020年に現在のITソリューション部の前身となる技術サービス推進部が発足。
後発となるインフラ領域で競合他社に立ち向かうのは一見すると至難の技といえます。
しかし、「SHIFTには何のしがらみもないことが強みだ」とITソリューション部・部長の加藤は語りました。
業界の特徴として会社の方針や事業の細分化によってサービスや技術スキルが固定化されていくケースがほとんどですが、SHIFTは多様な人材ナレッジと技術を結集して、新たなビジネスを創出することに取り組んでいるといいます。
彼らの目指している姿とは何か、どのような可能性を秘めているのか。じっくりと話を聞いてみました。
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ITソリューション部 部長 加藤 勝也
大手SIerの金融事業部に29年在籍し、メガバンク、保険会社、クレジットカード会社などの大規模SIに従事。地方銀行向けのプリセールスや炎上プロジェクトの対応を多数経験する。その後、品質を求めるお客様がたくさん集まるSHIFTに魅力を感じて2021年9月に参画。現在は、ITソリューション部の部長として組織基盤を固め、マーケット拡大に向けた取り組みを進めている。
目次
社内メンバーをかき集めた部門から、DX推進を支える部門への転換
ITソリューション部が立ち上がってから1年後に私は参画しました。当時は社内からかき集められた20名ほどの小さな組織。仕事の案件も決してインフラ系と呼べないような小さなものばかりでした。
どのようにサービスを拡大・展開していったか。まずはメンバー個々の得意な強みのスキル把握をするために1on1をおこない、彼らのスキルを活かしたソリューションをどう組み立てて、お客様に売り込んでいくかを考えました。
さらに、お客様の要望への個別対応ではなく、型化したサービスメニューを開発して標準化を図りました。後発部隊として事業を広げていくために、ここが非常に重要で一番力を入れた部分です。
同時並行して進めたのがインフラのプロフェッショナルとして活躍している経験者を集めることです。このころのSHIFTはソフトウェア領域の事業が中心でしたので、社内にはほとんど見当たりません。そこで、外部から経験豊富な人材を採用しました。
そして、オンプレなどのインフラ基盤構築、非機能(性能)、SRE、クラウド、NW、データ基盤など次々とサービスメニューを開発しお客様のDXインフラ基盤をつくりあげるスペシャリストが集まる組織となったのです。
2022年にはマイグレーショングループと組織統合し、現在のITソリューション部の形ができあがり、インフラとアプリケーションの両方をデリバリーできる部門となりました。
基幹システムなどのSoR(System of Record)領域に分類されるメインフレームのクラウドマイグレーションや、SoE(System of Engagement)領域の顧客視点でのシステム開発、有益なデータが得られるSoI(System of Insight)領域のデータ利活用基盤構築、社内インフラサービスなど、この図のようなDXにおけるすべてのケイパビリティを手にいれることができたのです。
ITソリューション部が提供しているサービス領域
エンジニアではなく「コンサルタント」としての意識
「私たちは『インフラエンジニア』ではなく、『インフラコンサルタント』である、という意識で取り組んでほしい」とメンバーに伝えています。どんな案件であっても、お客様が望んでいる価値以上のものを提供する。おかげさまでお客様から信頼をいただき、レベルの高い案件が増えました。
目指すのは、SHIFTの強みである「品質」を武器として、「お客様のビジネスに直結する高品質なシステムを短納期で提供するSIサービス」の実現です。お客様のビジネスにストライクをどんどん投げ込める組織にする。そのためには、インフラとアプリケーションどちらもマネジメントしてインテグレーションできる人材を強化したいと考えています。
もちろんマネジメントだけではなく技術も必要です。現在は、技術領域によってグループを分け、仲間と切磋琢磨しながら検証して実践するといったお互いに技術力を高められる環境を整えています。
コンサルタントとしてお客様や社内から評価される優秀な人材も増えてきました。クラウドベンダー出身でマルチクラウドやアーキテクチャに詳しいコンサルタント、事業会社出身でAWS全冠取得しているコンサルタント、モダンなゼロトラスト含めNW技術がずば抜けたコンサルタント、マイクロサービスなどのアーキテクチャに詳しいコンサルタントなど、話をしても勉強になりますし、一緒に働いてもワクワクします。
ずっと同じ部門で、同じ釜の飯を食べている人たちと仕事する組織とは異なり、いろんな知識やスキルをもっている人たちが同じ部屋に集まり議論を交わす。新たな知見や技術で自分の殻を破りコンサルタントとしてお客様に提供できるようになれば、SHIFTの新たな強みにもなるのです。
新しい技術も取り入れ、「面白い」と感じる案件を獲得する
現在、ITソリューション部には約130名が在籍しています。メンバーには、「どんどん新しいことをやっていこう」と口を酸っぱくして語っています。(2023年5月時点)
自分の技術を活かせるのであれば、それをお客様に刺さるように提案して勝ち取る。「面白い」と思ったらどんどんやる。制約は一切ありません。
お客様の業種も最初は金融系が多かったですが、「さまざまなお客様の課題解決をしたい」と、製造業、流通業、公共系、IT系、サービス業など業種を広げ、さまざまな案件の経験を積めるようになりました。
技術領域に関しても当初はサーバ周辺の案件ばかりでしたが、「ネットワークをやろう」と経験者を採用して新しいサービス開発や提案を通してゼロトラストネットワークのような新しい開発をビジネスの強みにすることができました。
ネットワークは一例ですが、いくつか事例の概要をあげるなら、
・バースト的なトラフィックが発生するシステムのクラウド化にあたり、サーバレス技術を適用したスケーラブルなアーキテクチャを提案。
・国際ネットワークの機器EoLに伴い、構成機器の棚卸と、ネットワーク更改プロジェクトの全体を支援。
・DX基盤構築に際して、GitHub Actionsを使用したCI/CD基盤の構築、サーバレス技術を適用したアプリケーションアーキテクチャの策定、認証基盤の構築を支援。
・VMwareで構築していたシステムの老朽化に伴い、既存システムの分析から、Azureへのマイグレーションまで支援。
さらに、インフラとマイグレーションが統合したことによって、全社システム基盤をコンテナ化するマイグレーションサービスや、マイクロサービスに詳しいエンジニアを中心としたモダナイゼーションのストーリーもあわせて提案することなども検討しています。
とはいえ、インフラ領域は技術が星の数ほどありますので標準化がむずかしく、まだまだ手探り状態です。どうしたら標準化や高品質化できるか模索しながら、少しずつプロセス標準と技術標準を両輪で回していこうと取り組んでいます。
「届けたい」という思いが重要。しがらみのない組織で挑戦してほしい
SHIFTには、これまで自社のシステム一筋でやってきたけれど、そこで得られた有用な技術を多くのお客様に届けたいという人がたくさん入社されています。私たちのビジネスを拡大するためには、このような「届けたい」という想いが重要です。
ベンチャー企業ですので、「しがらみでこの仕事をやらないといけない」という風土はありません。営業部隊も積極的に私たちのところに足を運んでくれますし、新しいことをやるにはとてもいい環境です。さらにコンサルだけではなくてちゃんとデリバリーもして、システムを動かす。その後の保守も含めて、最後までお客様に価値を提供します。
自分たちで細かい要件まで提案して、お客様と対等に話ができるコンサルタントを育てることも考えています。
ぜひ、自分のスキルをお客様の価値に言い換えて提案できる、アイデアをもっている人と、意見交換しながらビジネスを生み出していきたい。いろんなキャリアを積んできた方が、「もっとこうしたらよくなるはずだ」と思ったことを挑戦できる環境は十分にあります。
私たちの組織は、まだまだ発展途上。しかし、ようやく勝負できる環境は整いました。これから組織をさらに強くして、「DXといえばSHIFT」というブランドを必ず構築します。私たちITソリューション部がその一番の柱となる部門になっていきたいですね。
外部協力:林 康章(執筆)
(※本記事の内容は、取材当時のものです)