“セキュリティが当たり前の世の中に”
これは、企業のビジョンではない。当社の一部署であるセキュリティサービス部が開設時に掲げたものです。
同部署を立ち上げた部長・森 日出雄(もり ひでお)は、外資系大手IT企業に29年間在籍。機器製造や工場の技術支援、SEなどさまざまな業務を経験しました。セキュリティ分野では暗号化技術に携わったほか、監視センターのセンター長、セキュリティアーキテクト&セールス責任者を歴任。定年を目前に控えた54歳のとき、SHIFTへ身を転じました。
豊富な知見を武器に指揮を執り、セキュリティ事業の拡大に寄与してきた森。2名でスタートした組織はわずか2年で約60名を抱える大所帯となりました。コアメンバーとして腕を振るっているのは55~60歳のエキスパートたち。
「うちの部は『まるで同窓会のようだね』と、うらやましがられます」
成長には痛みを伴うといいますが、こう話す森の表情はとても明るい。彼はどんな想いでビジョンを掲げ、事業にどのような未来を描いているのでしょう。その真意に迫りました。
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セキュリティサービス部 部長 森 日出雄
大手外資系ベンダーに新卒入社し約29年在籍。セキュリティサービスの開発から導入までの全工程を経験したのち、 セキュリティサービスの営業部長やセキュリティオペレーションセンターのセンター長を歴任。2021年にSHIFTへ入社後は、セキュリティビジネスの立ち上げを推進。 SHIFTセキュリティサービス部およびグループ会社のSHIFT SECURITY社のビジネス責任者として組織を牽引。
目次
「70歳定年制」を強みに、アラウンド60の優秀人材を積極採用
私たちセキュリティサービス部の最大の特徴は、1社1社の課題に即したサービスを、競争力のある価格で提供していることです。コンサルティングやアプリケーション開発支援、ソリューション導入支援、セキュリティ運用支援など幅広い領域を網羅しつつ、クオリティを重視した提案、デリバリーを実現しています。
なぜ高品質かつ安価なサービスを充実させることができたのか。理由は「70歳定年制により、百戦錬磨のセキュリティ有識者が集まってきたから」。この一言に尽きます。
2021年の部署開設時、グループ企業には、すでに脆弱性診断(セキュリティ診断)を主要事業とするSHIFT SECURITYがありました。
「彼らと連携を組み、SHIFTグループとしてセキュリティ事業を発展させるためにはどうしたらいいか」……そこで編み出したのは、コンサルティングサービスを立ち上げ、できるだけ早く軌道に乗せること。実現させるには、ハイクオリティな提案、デリバリーが大前提です。当然ながら熟練者の腕が必要でした。
私たちは当社が70歳定年制であることを強みととらえ、「55歳から60歳のコンサルティング経験者」をターゲットにした採用活動を展開。徐々に仲間を増やしながら、幅広い企業に向けて提案・デリバリーを行い、コンサルティング事業を拡大させていきました。
自社都合ではない「顧客起点」のサービスが、利益を生み、人を引き寄せた
ほどなくして社内のセキュリティサービス部に対する評判が広がり、他部署の社員が率先して私たちのサービスを営業してくれるようになりました。そこで彼らがもち帰ってきたのは、各社の深刻な困りごとでした。
例えばセキュリティ運用支援。競合他社が消極的な一方で、企業ニーズの高いサービスです。私たちはこのような“すき間”にこそ商機があると確信。幸いなことに、毎年高い目標を掲げ、急成長をつづける当社にはリソースの制限がなく、サービスをパッケージングして効率化を図る必要性もありません。
お客様が本当に必要としているセキュリティサービスを届ける──こうした取り組みを増やしていくにつれ、部の売上、規模はともに右肩上がりで成長。採用活動はさらに順調に運ぶようになりました。実は私たちが採用ターゲットとする有名企業在籍者は、大きな組織に属するゆえのジレンマを少なからず抱えています。「SHIFTなら日々感じている顧客課題を、自らの手で解決できる」とジョインしてくれる人が急増したのです。
酸いも甘いも知る同輩が、おのおのの知識や経験をもち寄り「あれやりたいね」「それいいね」と議論しながら、独自のサービスを作り上げていく──冒頭でも触れましたが、「セキュリティサービス部は、まるで同窓会のようだね」と、社内外の人からうらやましがられます。
「お客様からの評価」「キャリアプランの実現」──さらに高まる成長意欲
もともと経験と実績のある業界の玄人でありながら、うちの部署に来てさらに輝きを増した社員も少なからず存在します。
「当たり前のように日々積み上げてきた経験やスキルが、こんなにもお客様から感謝されるなんて」──こう語ったのは、60歳の定年まで事業会社に在籍し、情報システム部の業務をまっとうしたシステムエンジニアです。彼の最大の武器は、長期にわたるセキュリティ運用経験。コンサルティングファームでは決して経験できない、宝物のような技術をもっていますが、前職ではどんなにがんばっても「できて当たり前」、不備があればクレームを受けるのが常でした。
それが、当社に入り一変。外販担当として経験談を語るだけでも、客先から手放しに感謝されるようになったのです。自身の価値が認められた喜びから、成長意欲が刺激されたのでしょうか。以前にも増して前向きに業務に取り組む彼の姿は、周囲にもよい影響を与えています。
少し若い世代になりますが、40代の男性社員は「かつてSIerで培った技術力をこのまま錆びつかせたくない」と、大手コンサルティングファームからSHIFTに転職してきました。今はコンサルティング業務とSI構築のPM を両輪でこなしながら、提案・技術のスキルを磨きつづけています。自ら手を動かしてシステムを作っていかなければ、技術力が衰えてしまう……そんな危機感から脱した彼は、目指すキャリアを着実に築いているようです。
アプリ開発との連携体制で、根本的な課題解決を目指す
セキュリティは、上流工程、つまりアプリケーション開発の段階でリスク要素を潰しておけば、後に不具合が起こっても最小限のコストに抑えられるのが通説。下流になればなるほど、問題は肥大化し、膨大なリソースが犠牲となります。
しかし、日本におけるセキュリティの歴史は、ネットワークセキュリティから派生し確立された領域。インフラと歩みを揃えることはあっても、アプリケーション開発と交わることは、一般的な大企業においてはほぼないのが現実です。
一方、わが技術統括部にはセキュリティのほかに、インフラ、アプリケーション開発部門が属しており、常に連携を図りながらサービス開発を行っています。
SHIFTの基盤事業はソフトウェアの品質保証・テストです。アプリケーション開発のプロセスを熟知しなければ、業務を遂行できません。こうした企業の成り立ちから、他とは一線を画した組織を成し、結果としてセキュリティ事業の成長を促しているのです。
この体制を活かしたサービスの一例が、開発、運用、セキュリティを融合したDevSecOps支援です。一気通貫で提供できるのは、間違いなく当社ならではの強みですね。
「セキュリティが当たり前の世の中に」。これはセキュリティサービス部のビジョンですが、個人的にはセキュリティというカテゴリーそのものを消滅させたいと思っています。本来セキュリティは、インフラ構築やアプリケーション開発などに付随するものであって、独立して存在すべきではない。すべてのエンジニアのセキュリティ意識が向上し、おのおのが問題を解決できる状態が理想形だと、私は考えます。
求めるのは、何歳になっても“背伸びしながら”がんばれる人
「本当に必要なセキュリティサービスを日本のすべての企業に行き届かせる」「後進を育てる」。社会課題とも関係の深い、このふたつの想いが、いまいるメンバーの原動力になっていると感じています。
IT業界のなかでも、とりわけ深刻なエンジニア不足に陥っているのがセキュリティ領域です。最近では、将来を危惧した社員たちから「後進を育てていきたい」という声を受け、若手・中堅エンジニアの採用も積極的に取り組むようになりました。育成を視野に入れた体制にシフトしたことで、案件の幅はさらに広がりを見せています。
繰り返しになりますが、当社は毎年急成長をつづける会社です。誰か一人でも立ち止まっていたら、高い目標には絶対に届きません。SHIFTには「1度失敗しても、その経験を糧に再挑戦すればいい」という考えが根付いています。前例がないからとブレーキを踏ませることは誰もしない。
求めているのは、どんなに経験を積んだエキスパートであっても、常に背伸びをしながら、やりたいことにチャレンジできるタイプ。カルチャーフィットと相まって、ものすごい勢いで成長できると思います。
セキュリティサービス部には、金融、製造業界に強い人材が在籍していますが、さらに社内を見渡すと実にさまざまな企業、業界に精通しているメンバーが揃っています。「SHIFTに聞けば、何でも答えてくれる」、そう言われるような、頼られる存在になりたいですね。
外部協力:福嶋 聡美(執筆)
(※本記事の内容および取材対象者の所属は、取材当時のものです)
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