「2027年問題」に直面しているSAP導入企業たち。ECCからS/4HANAに移行する必要性から、業界ではプロジェクトが乱立しています。
人手不足に拍車がかかり、SAPを少し触ったことがある程度でも、SAPエンジニアとしてプロジェクトに参加する人もいれば、プロジェクト経験が浅いSAPエンジニアがPLを担うこともあると聞きます。
しかし2027年を超え、プロジェクトの乱立も落ち着き、SAPエンジニアが売り手市場から買い手市場へと転換したとき、生き残ることができるのはどんな人なのでしょうか。
「ただSAPを扱えるだけの人ではなく、深い業務知識を兼ね備えている人や、エンドユーザのデータを知っていてデータ活用からDXにつなげられる人が生き残るでしょうね」
こう語るのはSAPサービスグループで、データ移行支援サービスを立ち上げた木津。安定した大手企業のグループ会社から飛び出した彼は、業界の課題に真っ向から立ち向かっています。
木津のこれまでを追いながら、SHIFTだからできるSAP領域の新キャリアを紐解いていきたいと思います。
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SAPサービスグループ グループ長 木津 明徳
前職は大手SIerにて大手電機メーカー向けの生産管理システム開発、運用、海外拠点への導入展開を担当。その後同社のSAP導入プロジェクトにおいて、PM兼移行リーダーを経験。2020年にSHIFT入社後は東京/大阪複数企業のアカウントマネージャーとして従事するとともに、移行サービスの企画、推進など新しいビジネス創出をリード。グループ長へ昇格後はメンバー育成、採用活動にも携わる。
目次
SAP導入プロジェクトにおける「三大疾病」
前職は大手電機メーカーのグループ会社に勤めていました。親会社内の白物家電を扱う部署向けに、生産管理システムの開発や運用、海外拠点への導入展開を担当していたのですが、あるときフルスクラッチのシステムからSAPへ刷新するプロジェクトに携わることに。そこでデータ移行のリーダーと、プロジェクトリーダーを担いました。
SAP導入プロジェクトが炎上しがちであることは、業界経験者なら周知の事実。私がこれまでの経験を踏まえて「三大疾病」と呼んでいるのが、「エンドユーザがやる気がない」「要件定義が終わらない」「データ移行がうまくいかない」の3つです。
このうちデータ移行については、プロジェクトを成功させるための必要最低条件であると私は感じていました。データ移行がうまくいったからといってプロジェクトが成功するわけではありません。しかし、データ移行がうまくいかなければ、プロジェクトが成功することもないのです。
とはいえデータ移行の主なタスクであるクレンジングやデータ抽出~変換は、ユーザー企業側がやるというのが一般的。責任分担やリソース不足もあいまって、データ移行サービスを提供する会社は、私の知る限り存在しませんでした。
大変な業務なのに、失敗したら責任を負う。そんなデータ移行をやりたがる会社はないですから……
こうした業界の課題に対して、私のなかでは、プロジェクト成功のために必要なことを追求したいという想いが徐々に強くなっていきました。自分が思い描くサービスを、実現できる場所はないだろうか……
そんなことを考えていた矢先、ちょうど近しい構想をもっていたのがSHIFTだったんです。
アセスメントから課題を抽出、必要な支援を行うサービスを展開
口を開けていたら仕事がくる。正直なところ、そんな状況に飽きてしまっていた私でしたが、SHIFT入社後は水を得た魚のように、さっそくデータ移行サービスの立ち上げに着手しました。
そもそもデータ移行がうまくいかない理由は、ユーザー企業における「経験・スキル・マンパワー不足」に尽きます。
ユーザー企業はSAP導入の専属メンバーを確保することがむずかしく、担当者は日常業務と並行してさまざまなタスクに対応する必要があります。そのためプロジェクトの遅延が発生したり、プロジェクトと日常業務の両方に品質低下が発生したりすることがあるのです。
また考えはあってもアウトプットできないケースや、進め方や成果物がこれでいいのか、と担当者が不安を抱えるケースも。
これに対して、私たちはまずは必須サービスとして「データ移行アセスメント」を実施します。これにより課題と必要な支援が判明しますので、移行計画の作成や、マッピング、リハーサル準備などオプションサービスを提供していくのです。
プロジェクトの上流工程から参画し、お家芸でもあるテストを含めた下流工程まで、一気通貫でプロジェクトに貢献できるのが特徴といえるでしょう。
こうしたサービスを提供するために、SAP人材を採用・育成することも同時並行で行ってきました。21年上期からトライアルで開始した本サービスですが、メンバーは約10名から30名程度に、売上も順調に右肩上がりで推移しています。(FY2023上期現在)
お客様としては例えば、連結売上数千億円の商社、医療機器、製造業、食品メーカーなど幅広い業界を支援しているんですよ。社内にSAP経験者が不足していることから、旧システムからのデータ移行作業が難航するケースで、アセスメントや移行計画の策定、マスタ整備を期待されることが多いですね。
お客様からの期待値は非常に高いです。先にお伝えした通り、データ移行の成功はあくまでプロジェクトの失敗を防ぐための最低条件。しかし「データ移行が成功すればプロジェクトも絶対成功する」と思われてしまうこともあって。
成功事例をどれだけ分析しても、その要因はさまざま。つまりこれさえやれば、プロジェクトは成功しますよ、と明示することは誰にもできません。
しかし私たちは幅広いお客様を支援する実績から、「失敗しない方法」を知っています。失敗する理由を重ねていくことで失敗する確率があがっていくなか、「失敗のリスクを削ぐ」その一つがデータ移行サービスなのです。
この点をお客様と共通認識としてもつことが、これからのサービス展開においても重要だと感じています。
コンサルやSIerからも引っ張りだこの人材に伝えたい、SHIFTで働く魅力
誰もやりたがらないサービスなのに、なぜSHIFTはやるのか?
それは品質保証をうたう会社として、プロジェクト品質も高めていく必要があると考えているからです。遅延せず、炎上せず、円滑にプロジェクトを進めるために。そして『ERP/SAPマーケット全体の品質向上』を達成するために、私たちSHIFTがやるべきだ、と。
業界の負に目をそむけない姿勢や、どこの会社もやらないとしてもSHIFTはやるといった気概が誇らしくもあります。
案件やお客様の数はまだ業界の1%にも満たないかもしれない。伸びしろは十分です。このデータ移行サービスをもっと業界に広げるために、もっともっと仲間が必要です。
例えばSAP導入プロジェクトのPL・PMを担うなかで品質の重要性を感じている方や、導入をゴールとせず、ERPにおけるお客様の本質的な課題に向き合いたいといった方は、大歓迎です。
コンサルやSIerからも引っ張りだこの求職者の方々にSHIFTの魅力を伝えるなら……SHIFTであれば多種多様なデータを知ることができる、「DX」「データ活用」に近い場所に身を置ける点ですね。
2027年を過ぎても市場価値の高い人材でいられるかは、単にSAPを扱えるだけでなく、業務まで深く理解できているかにかかっていると、私は考えています。その点、ユーザー企業の支援経験を通じて、業務コンサルティングまで担えるようになるのが、SHIFTで働くメリットではないかと。
個人的には、新しいサービスをつくることができるのも面白いですし、お客様のニーズに直面しながら脳で汗をかくのもやりがいを感じています。いまは、よい意味で負荷がかかった状態で、充実している日々なんですよ。
興味をもっていただけたかたには、ぜひ直接、私たちの考えているビジョンをお伝えしたいですね。ご応募をお待ちしています。
(※本記事の内容および取材対象者の所属は、取材当時のものです)