ぐるなびと目指す飲食DXの浸透。「覚悟あるおせっかい」でIT企業の枠を超えていく

2026/02/26

月間UU数3,800万人の日本最大級のグルメ情報サイトとして、圧倒的な存在感を放ってきた「ぐるなび」。

振り返れば、私たちが飲食店で目にする風景はここ数年で劇的な変化を遂げました。卓上のオーダー用タブレットは当たり前、大手チェーン店でネコ型ロボットが配膳する姿も、もはや日常のひとコマです。

人手不足という大きなうねりのなかで進んだ、飲食業界の進化の足跡。

本記事ではSHIFTが株式会社ぐるなび(以下、ぐるなび様) と取り組んできた飲食DXについて振り返りながら、変革を加速させるSHIFTらしい支援のあり方に迫ります。

  • DXコンサルティング部 K.K.

    会計系ERPパッケージソフトの企業にて、新規事業の立ちあげを含め7年間の開発実務を経験。その後、経営コンサルタントとして、事業戦略策定および事業再生を支援。2021年7月にSHIFT入社後、開発スコープに限らないビジネス全体を考慮したサービス提案を強みに、DXコンサルティング部にて活躍中。

目次

はじまりは2021年。運命共同体として歩んだ軌跡

―――いまや飲食店の風景を変えた“飲食DX”ですが、SHIFTがぐるなび様と取り組みをはじめたのは2021年でしたね。

K.K.:2021年8月の資本業務提携がスタートでした。当時のぐるなび様は、グルメ情報サイト運営から飲食店の経営支援企業へと大きく舵を切ろうとされていた時期。

私たちはそのコア事業を共につくる運命共同体として参画したのです。

――当時は人手不足がさかんに叫ばれはじめ、業界全体が激動の時期だったと記憶しています。

K.K.:はい。人手不足が深刻化し、「時給1,800円でも採用できない」という経営者の悲痛な声が聞こえてくるような状況でした。

そんななか、SHIFTのコンサルティング事業部やDAAE部、戦略営業部が中心となり、現場のオペレーションをデジタルでどう支えるか、という飲食DXの戦略立案に奔走しました。

※DAAE(ダーエ)とはSHIFTが提唱する、開発における新たな価値基準。Design(デザイン)・Agility(迅速性)・Assembly(組み合わせ)・Economic Quality(経済品質)の頭文字。

――市場が大きく変化しつづけるなか、SHIFTはぐるなび様に対してどのような支援を行ってきたのでしょうか。

K.K.:SHIFTの強みである開発の品質管理はもちろん、プロダクトの開発、広報や採用など横断的に支援しビジネスサイドにおいても超上流工程の事業戦略から業務プロセス改善、営業活動などの型化まで、まさに多岐にわたる業務をご支援しました。

例えば小規模飲食店向けの戦略検討では、PLに落とし込んだ提案がぐるなび様の経営会議で協議され、同社の方向性にも大きな影響を与えることもありました。

――そこまで踏み込めたのは、根底にSHIFTへの信頼があったからといえそうですね。

K.K.:私たちが最初に行ったのは「何をいっしょにやりましょうか」という協議でした。課題に対する仮説を立てては、SHIFTが出せる価値をフラットにディスカッションする。

関係性の構築は、のちに主力製品となる『ぐるなびFineOrder』への支援からはじまりました。

DXでむずかしいのは“浸透”。ヒントは現場・現物にあり

――支援の柱となったモバイルオーダーシステム『ぐるなびFineOrder』。このプロダクトでも、当時は特有の苦労があったとか。

K.K.:来店者のスマホで注文と会計ができるモバイルオーダーシステム『ぐるなびFineOrder』がリリースされたのは2021年7月のことですが、SHIFTはそれから半年ほどたったころにご支援をスタートしました。

『ぐるなびFineOrder』の成長に向けた事業戦略、業務プロセス、開発、評価までを全面的にバックアップしてほしいというのがSHIFTへの要望でした。

飲食業界のDXで一番むずかしいのは、仕組みをつくることではなく“現場への浸透”なんです。

現場の方々のITリテラシーはバラバラですし、ITがなくても調理や配膳自体はできてしまいますから、彼らにDXの必要性を理解してもらわなければならない。

大手になるほどオペレーションやマニュアルが完成されていますし、飲食店へ来店されるお客様は従来の注文方式に慣れている。

そうした既存の枠組みがある程度確立されているなかで、混乱なくやり方を変えるための導入設計が非常にハードルの高い部分です。

――実際に導入しても、なかなか利用率があがらないという壁にぶつかったそうですね。

K.K.:はい。そこで私たちは、使われていない状況をたしかめるために実際の店舗に赴きました。

店内の様子を観察してみるとシニアや常連客が多く、メニューをみずに注文をする様子や、お水をもっていった際に口頭で注文されてしまうシーンがみ受けられました。

せっかくモバイルオーダーシステムを導入しても、口頭で注文されては想定していた費用対効果は得られません。

現場で得た一次情報から、例えばお水はセルフにする、ポップやQRコードのみせ方を変える、客単価をあげたいという背景があった場合には売りたいメニューの表記を変えるなど、解決に向けた打ち手についてディスカッションを重ねました。

――机上の空論ではなく、現場にヒントがあったと。

K.K.:こうした取り組みをもとに、『ぐるなびFineOrder』導入後にもより多くのお客様へ利用していただくためのコンサルサービス「定着化支援」が形づくられました。

同サービスは、現在では大手のお客様を中心に評価いただき、お客様のサービスを支える大きな価値となっています。愚直な行動から成果を出したことで、ぐるなび様との関係構築がより強固なものとなりました。

“おせっかい”がSHIFTのスタイル。事業のために、なんでもやる

――K.K.さんの行動から、SHIFTの支援スタイルを語るうえで欠かせない“おせっかい”というキーワードを想起しました。

K.K.:SHIFTはITサービスを使って、お客様の課題に対してなんでもやろう、というスタンスの会社です。

“おせっかい”と代表の丹下もよく発言しますが、どこまでも踏み込んでいくという点がIT企業として他社と一線を画す部分だと思います。

――ぐるなび様への支援をリードするDXコンサルティング事業部 事業部長 小林 哲也さんからも、コメントをお願いします。ほかにも“おせっかい”を焼いたと聞いていますが。

小林:『ぐるなびFineOrder』案件における“おせっかい”の例は枚挙に暇がありません。

メインターゲットである大手チェーンだけではなく、小規模飲食店向けにも販売していきたい。

そこでSHIFTはそうした小規模飲食店向けモバイルオーダーのベンダーとつながり、彼らの製品を売ってみて市場の反応をみようとしたこともあります。

その際、営業活動に必要なLPや動画制作を、1週間足らずで進めたフットワークの軽さがSHIFTらしい。

その結果、まだニーズが顕在化しておらずマーケットが成熟していないことや、営業コストが膨大にかかってしまうことが確認できました。

行動して得られた知見は、別のシーンで役立たせればいい。飲食業界において人手不足が常態化していることを踏まえ、ゲームチェンジに対応するために必要な活動のひとつと捉えています。

――そのほかに、ぐるなび様へ行った支援策があれば教えてください。

K.K.:SHIFTのお家芸である「型化」を、以下4つの領域で手がけました。

・お客様への提案書
・『ぐるなびFineOrder』の導入効果を定量的に明示するためのデータ分析
・前述した同システムの利用率向上のための定着支援施策
・来店者の満足度や製品改善に用いるデプスインタビュー

これらの活動の意図は、型化とナレッジ共有というムーブメントをぐるなび様の社内でつくりだし、今後の事業推進を下支えする基盤をつくることです。

組織として活動を推進するためにも、型化によって関係者と共通言語をもつことは非常に大切だと考えています。

営業活動や組織の基盤づくりにまでコミットする。ぐるなび様との取り組みにおいて、SHIFTはあらゆる気づきを“おせっかい”に変えています。

ITサービス提供企業でありながら、「そこまでやるの?」と周囲が驚くようなことにまで足を踏み入れていくのです。

意識的に越境できる人が求められている

――最後に、こうした飲食DXの歩みを振り返って、引きつづきSHIFTで働く方に求められている姿勢をどう感じていますか。

小林:ぐるなび様へのご支援において、組織や部署の垣根は一切設けていません。

K.K.:ぐるなび様の経営陣と各現場部署の両方と接点をもっているからこそ、両者の立場からの視点を組みいれた勘どころのよい提案ができると考えています。

そしてSHIFT内でも、デリバリー部署含めいろいろな部署やグループ会社と連携して、もてる力をすべてぶつけた“ONE-SHIFT”での支援を心がけています。

2026年8月期 第1四半期 決算説明会資料(※P44を引用):https://finance-frontend-pc-dist.west.edge.storage-yahoo.jp/disclosure/20260114/20260114533757.pdf

SHIFTで働く方に求められることは「価値を生み出す覚悟」と「意識的に越境できること」。です。

事業成長のために自らの役割に制限を設けず、やるべきことをやりきる。状況が変わりつづけるなか、考え行動しなくてはいけないことは山積みです。

スコープが決まっていないフェーズに身を投じ、フラットな視点で相手の悩みに対して遠慮せずに提案をする。そしてぐいぐいと関係者を巻き込んで推進していく。

そんな覚悟ある“おせっかい”が、これからの未来をつくっていくのだと確信しています。

(※本記事の内容および取材対象者の所属は、取材当時のものです)