SHIFTのなかでも、ゼロイチで新たな自社事業の創出を進めるDAAE(ダーエ)戦略部。
同部ではまずSHIFT社内およびグループで利用する形でプロダクトを構築していき、その後マーケットニーズにあわせてチューニングをしたうえで、外販を展開するというパターンを得意としています。
そんなDAAE戦略部の十八番を体現しているのが、SHIFTが提供する企業向け福利厚生型ふるさと納税サービス「まん福」です。
従業員のもち出しなくふるさと納税を活用することができる点が、大きな特徴となっています。
今回は、そんな「まん福」が誕生した経緯やこだわりポイント、今後の展開などについて、同サービスを担当する3名のDAAE人にお話を聞いてきました。
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DAAE戦略部 DAAEグループ 藤原
事業会社 の執行役員・事業責任者や、BtoB事業会社の マーケティング責任者などを経て、2023年12月にSHIFTへ入社。現在はDAAE戦略部のPMとして、従業員向けの福利厚生型ふるさと納税サービス「まん福」の事業拡大を進めている。
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DAAE戦略部 DAAEグループ 清水
新卒で大手モバイル企業に入社し、問い合わせ内容のデータ分析やHPのUI/UX改善、経営陣へのレポーティングなどに従事した後、シリコンバレー発のAI企業へと移り、AIの活用を提案するコンサルティング営業を担当。企画リーダーとしてウェビナーの実施や代表の講演資料作成などに従事した後、2021年11月にSHIFTへと入社。現在は「まん福」のセールスを担当する。
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DAAE戦略部 DAAEグループ 小田長
印刷会社、媒体社、広告代理店、WEB制作会社とさまざまな会社を渡り、WEBマーケティングおよびデザイン領域の強みを伸ばしていくなかで、2021年2月にSHIFTへと入社。現在は「まん福」のクリエイティブ担当として、同サービスの非公式キャラクター「まんぷくん」の企画立案から日々の運用までを幅広く担当している。LP、バナーの広告まわり、納得感のある提案書づくり、モック制作が得意。
目次
お金の流れが違うという点が最大の特徴
──「まん福」は企業向け福利厚生型ふるさと納税サービスということですが、まずは、ほかのふるさと納税サービスとの違いについて教えてください。
藤原:何点かあるのですが、一番は、従業員のもち出しがないという点にあります。
一般的にふるさと納税を使うときは、まず返礼品の申し込みをして支払いをし、返礼品を受けとったうえで、翌年にお金が戻ってくるという流れになっているかと思います。
一方で「まん福」では、申し込み時のお金は会社が一時負担する仕組みになっているので、最初のもち出しがなく利用できるようになっています。
申し込みをして返礼品を受けとった後、翌年の6月からの分割給与天引きと住民税控除を相殺するということで、お金の流れが違うという点が最大の特徴になっています。
藤原:また、会社の福利厚生制度として告知されるので、従業員としてはふるさと納税という仕組みをより安心/信頼して利用できるというメリットもあります。
さらに、まわりの従業員が利用しているとそこから会話が生まれたりもするので、ふるさと納税活用の風穴を開けるという点でも貢献できていると感じます。
おかげさまで昨年時点のユーザー数はSHIFT社内外含めて9,000名に達し、流通額も去年実績で1.2億円に達しています。
社内SNSで活躍する公式キャラ「まんぷくん」
──「まん福」が立ち上がった経緯について教えてください。
小田長:背景としてはシンプルで、「ふるさと納税って、わかりにくいよね。もっと使いやすい仕組みをつくろう」ということで、SHIFT社内での展開がスタートしました。
日本全体でふるさと納税の利用はまだたったの14.9%※ですが、SHIFT社内では40.6%(2023年12月時点)まで高まっています。
※総務省 令和4年度 市町村税課税状況等の調べ
清水:時系列でお伝えすると、SHIFT社内での展開は2016年にスタートしており、そこから2022年8月にブランドをリニューアル。
同年12月からグループ会社への導入を開始し、2023年夏ごろからはSHIFTグループ以外への外販を開始したという流れになります。
ここにいるメンバーは、主にブランドリニューアル以降から「まん福」を担当しており、藤原さんはPMを、小田長さんはクリエイティブを、私はセールスをそれぞれ担っています。
──小田長さんのクリエイティブとは、具体的にどういうことをされているのですか?
小田長:マーケティングまわりの各種クリエイティブの制作などいろいろとあるのですが、個人的に強調したいのが「まんぷくん」というキャラクターの制作・運用です。誕生からしばらくは非公式で、自虐ネタっぽくやっていたのですが、つい先日、晴れて公式キャラへ昇格しました!
「まんぷくん」ビジュアル
──え、すごく可愛い…
小田長:「まん福」は福利厚生サービスなので、従業員に使ってもらってナンボなのですが、従業員へと訴求できる場所が非常に限られています。
社内イントラとか社内報とか……。そんななかで効率的に存在を認知してもらうにはどうしたらいいかと考え、社内SNSをうまく活用できないかと考えたわけです。
ただ担当者が宣伝するだけではつまらない、何か別にキャラクターをつくって、社内インフルエンサーとして「まん福」を啓発してくれる存在をつくりたい。そんな議論を経て、「まんぷくん」が誕生しました。
──「まんぷくん」はどんなことを社内SNS上で呟くのでしょうか?
小田長:基本的に自分から何かを呟くことはありません。その代わり、従業員の呟きにコメントをつけていくというコミュニケーションスタイルをとっています。
一般的なSNSでもそうですが、みんな興味がないとほかアカウントの投稿なんて見ないですよね。
でもコメントへの返信だったらちゃんと見る。そんな運用を地道につづけています。
「まん福」を通じて「DAAEとしての方法論」を研究中
──2023年夏から外販をスタートさせたということですが、清水さんとしてはどんな点を意識してセールス活動をされていますか?
清水:基本は、ユーザーである従業員の声をしっかりと聞くことですね。SHIFTでは定期的に社内向けアンケートをとっているのですが、従業員が「まん福」を利用する理由のトップが「その場での支払いがない」です。
また、導入企業の多くでご評価いただいているのが、ふるさと納税というわかりにくい制度の活用を会社としてサポートできるという点です。
この2点は「従業員エンゲージメントの強化」という文脈で興味をもたれる会社のフックになるので、訴求軸もここを中心にしてお話をしています。
──導入企業のコストはどれくらいかかるものなのでしょう?
清水:導入は完全に無料です。SHIFTとしてはほかのふるさと納税サービスと同様、自治体様からの手数料をビジネスモデルとしているので、企業は追加コストを支払うことなく、従業員エンゲージメント強化の施策を打つことができるわけです。
ほかにも、「金融リテラシーの向上」や「地方への貢献」という観点で興味をもたれる会社もいらっしゃいます。
その場合は、また訴求軸を変えながら説明をするようにしています。
──なるほど。藤原さんはPMとして、どういうことを意識されながら「まん福」のサービス拡大を設計されていますか?
藤原:自治体、企業、従業員と、関わる人全員がハッピーになることを意識しながら、我々ならではの価値を提供したいと日々考えています。
もちろん、DAAEとして「売れるサービスづくり」の実現という大命題があるので、きちんと数字をあげることは証明したいのですが、それを踏まえて私としては、従業員が行動を起こすきっかけ/一歩前に進むために後押ししてくれるような体験設計をしたいと考えています。
──冒頭にもおっしゃっていた、ふるさと納税への風穴を開ける、ということですね。
藤原:はい、そのために福利厚生という提供形式にしているし、「まんぷくん」もいるわけです。
ひとりでも多くの従業員の行動変容を促し、自治体と企業も含めて“三方よし”になる形で売上を最大化するという「DAAEとしての方法論」を、引きつづき探求していきたいと考えています。
利用率を100%に。単なるふるさと納税ポータルという存在を超えていく
──「まん福」を担当するなかでグッときた瞬間があれば教えてください。
小田長:2023年5月で「まんぷくん」が1周年を迎えたのですが、そのときに社内でファンミーティングを開催したら、100名くらいの方が参加してくれたのにグッときましたね。
これ、本当にみなさんが想像する以上に力を入れて企画しまして、細かいところでお伝えすると、普段(当時)は非公式キャラなのにその日1日だけは“公式キャラ”に変わって、社内SNSの表示も変わるよう、情シス部門にお願いするなどしていました。
──細かい(笑)。清水さん、藤原さんはいかがですか?
清水:外販を開始してすぐくらいに、とあるお客様から「はじめてふるさと納税を使って部署でクリスマスケーキをとって、みんなでワイワイ楽しめたのがうれしかった」という声をいただきました。
会社として導入しているふるさと納税だからこそ利用できる方法だなと思い、すごくうれしかったことを覚えています。
藤原:先日お客様へのアンケートをとったら、「いい」「とてもいい」が100%でした。
ここまでポジティブなアンケート結果は見たことがなく、自由コメント欄にも「給与天引きの福利厚生、最高です!」といった声がたくさん届いていたので、やっていてよかったなと改めて思いました。
──どれも素敵なエピソードですね! 最後に、これから目指したいことについて教えてください。
藤原:やりたいことはたくさんありますが、まずは、いま「まん福」をご利用いただいている会社の従業員利用率を100%に近づけていきたいですね。
一般的なふるさと納税ポータルという存在を超えて、従業員に気づきを与えて行動変容をもたらすノウハウを、SHIFTとして蓄積/提供していきたいと思います。
小田長:思いはまったくいっしょで、それに加えて自分としては、「まんぷくん」をもっと世の中に広めていきたいです。
世界的に有名なネズミのキャラクターくらいの認知度は獲得したいところですね(笑)。
清水:ふるさと納税といえば「まん福」、という世界観になるとうれしいなと思います。実は私、入社当初は「まん福」を使っていなかったのですが、いざ使ってみるとすごくいいなと。
この利用のしやすさを、ぜひ多くの企業の従業員のみなさまに実感してもらいたいと思い、引きつづき一社でも導入が増えるように励んで参ります。
(※本記事の内容および取材対象者の所属は、取材当時のものです)