「品質を担保しながらスピーディーにマイグレーションさせる。これが私自身、いまも昔も変わらずにやっていることです」
このようにコメントするのは、1980年代から某大手コンピューターメーカーでソフトウェア開発の第一人者として活躍していた保西です。
「2025年の崖」といわれる年を目前に、各企業がDXに向けて大きく舵を切るなか、数々のマイグレーションプロジェクトを進めてきた保西がSHIFTを選んだ理由は何なのか?現在どのようなプロジェクトに参画し、どんな視点でいまのシステム界隈を眺めているのか。
今後に向けたチャレンジも含めてざっくばらんに聞きました。
-
アプリケーションサービスグループ 保西
1980年に富士通に入社し、同社ソフトウェア開発の第一人者として、企業の基幹システム(オンライン、バッチ、ハブ)を支えるソフトウェア製品開発に従事。また官公庁、金融、社会などの業種での基幹システム構築プロジェクトにおけるSEの技術支援などを経験。2022年5月にSHIFTに入社してからは、主に大規模システムのマイグレーション案件を担当している。
目次
品質を担保しながらスピーディーにマイグレーションさせる
――はじめに、保西さんの現在の業務内容を教えてください。
保西:主にマイグレーション担当として、100人くらい入っているプロジェクトで、アプリ開発チームのPMとして活動しています。SHIFT内でもかなり有名なお客様を担当させてもらっています。
――いわゆる大規模プロジェクトですね。マイグレーション領域は、SHIFT入社前から従事されていたのでしょうか?
保西:そうですね。前職には1980年に入社したのですが、まだメインフレーム全盛の時代からシステムやソフトウェア開発に携わっていました。
そこでのキャリア後半では官公庁や銀行など、特に社会的責任の重大なシステムのマイグレーションやリビルド、リプレイスなどに携わっていました。
――40年以上システム開発の現場にいらっしゃる保西さんから見た、現在の企業がシステム領域において抱える課題を教えてください。
保西:経済産業省が発表した「2025年の崖」で問題提起されているように、既存システムのサイロ化、ブラックボックス化や複雑化が進んでいると思います。
これにより、既存システムの維持コストがIT予算の大部分を占め新しいシステムに投資できないことや、既存システムを扱えるIT人材の退職・高齢化などによりトラブル対応が困難になるなどのリスクを抱えていると思います。
こうした問題を解決するためには既存システムをはやいうちに、品質を担保しながらスピーディーにマイグレーションさせる。これが、私自身いまも昔も変わらずにやっていることです。
――システムはつくった直後から陳腐化がはじまるというのは昔からいわれていることですが、ここ最近は特に技術革新のスピードがはやく、より陳腐化しやすいと感じています。こういう時代に、特に大企業は自社システムをどのように構築し、運用するのがよいとお考えですか?
保西:基本的にはパッケージとの組み合わせが望ましいのかなと感じています。昔のシステムって、お客様がハードを買って、それこそ「手組み」(フルスクラッチ)でアプリをつくっていました。
私がいた会社でも、社内に数多くの手組みシステムが存在しサイロ化、複雑化していました。これに対し社内システム全体の見える化を行い、パッケージでカバーできる業務と手組みで構築するシステムの仕分けを行いました。
また複雑なデータ連携が行われていた部分についても連携方法やデータ形式の統廃合を行いました。この手法がいまの時代にあったやり方だと思っています。
自分にも活躍できる場があると思って、思い切って応募
――40年以上所属した会社を辞めてSHIFTを選んだ理由を教えてください。
保西:前職を辞めた理由はシンプルで、早期退職制度の募集があったからです。実は辞める5年ほど前に同僚がSHIFTに転職しました。
SHIFTについて調べてみると、プライム市場上場企業であり急成長をしている、定年が70歳、さらに成果は給与として還元されるなど魅力ある会社という印象でした。
しかし品質保証の会社ということだったので、「私にはあわないな」と自己判断して、そのまま忘れていました。
でもそれから5年経って、早期退職制度に応募しようと思ったときに改めて元同僚に話を聞くと、これからマイグレーションの案件もどんどんとやっていくというじゃないですか。
それであれば自分にも活躍できる場があると思い、思い切って応募しました。
――実際、入社してからすぐにいまの業務に就かれたのですか?
保西:2ヶ月ほどプリセールスをやって、いま対応しているプロジェクトに対する提案書の作成を行いました。それ以降はずっと、いまのプロジェクトに入っていますね。
――冒頭に「100人ほど入っているプロジェクト」とおっしゃっていましたが、差し支えない範囲でどんなお客様のどのようなプロジェクトなのでしょうか?
保西:具体名はお伝えできませんが、某金融機関です。メインフレーム上にある手組みのシステムをパッケージを使って刷新するというものです。
お客様固有の業務は手組みで開発しています。要件にあわせて業務のアプリをつくっていくというのが、目下のミッションになります。
COBOLとローコードツールの絶妙なハーモナイゼーション
――プロジェクトを進めていくうえで、難しかったところや工夫されたことなどを教えてください。
保西:マイグレーションについては何度もやってきているので、いまのところつまずくポイントはないのですが、工夫している点でお伝えすると、ローコードツールを使ってアプリ開発を進めているというところですね。
――どういうことでしょうか?
保西:先ほどお伝えしたアプリの開発において、従来通りCOBOLでつくっているところと、ローコードツールでつくっているところがあります。
――COBOLだと書ける技術者がどんどんと少なくなっているから、ということですか?
保西:はい。どうしてもCOBOLじゃないといけないところ以外は、ハードル低く組めるローコードツールを使おうという方針になりました。
実は前職のあるプロジェクトにおいてローコードツールを使いシステム開発したことがありました。そのときのノウハウを利用しアプリの開発を行っています。
ローコードツールで開発したアプリのテストには我々がこのプロジェクトで開発したテスト手法を適用しました。
――COBOLのようなレガシー言語も読めるし、マイグレーション経験も豊富な保西さんならではのアプローチだと感じます。現状、そのプロジェクトはどのようなフェーズなのでしょうか?
保西: 2025年に本番リリース予定であり最終のテストがはじまっています。アプリチームとしても、引きつづきメンテナンスをやっていく予定です。
――先方からの評価としてはいかがですか?
保西:「SHIFTは頑張っている」というお言葉をいただいています。当社アカウントマネージャー※、金融グループの責任者、それから私でお客様との週次ミーティングに参加し課題管理などを細かく報告しているので、そういった手触り感のある対応をご評価いただけているのかなと感じています。
※アカウントマネージャー:お客様単位での案件管理や、すでにお取引のあるお客様の課題に対する提案活動・折衝を行うポジション
今後、マイグレーションプロジェクトにもAIを取り入れてみたい
――SHIFTに入社して2年弱が経過したいま、SHIFTの特に好きなポイントを教えてください。
保西:いろいろと新しいことを進めているのですが、基本的に誰も「NO」といわないのが好きなところです。
社内/社外を問わずまずは「YES」といって、受けた後にどう実現するのかを考える。私自身の仕事に対する姿勢とマッチしているので、とてもいいなと感じています。
――とても前向きな文化ですよね。保西さんが所属されている「アプリケーションサービスグループ」のオススメポイントとしてはいかがでしょう?
保西:いろんな業種の仕事がたくさんある、ということですね。SHIFTはソフトウェアテストの会社というベースこそあるものの、SIer的なビジネスもどんどんと大きくなってきています。
多様な人材が入ってきているので、その分お受けできる案件の幅も広がり、お客様の要望に応えるために、さらに多様な人材が入ってくる。そんなポジティブなサイクルができてきていると感じます。
――これから入社してくる若いエンジニアメンバーに対して、何かアドバイスはありますか?
保西:SHIFTにはトップガンといったグループ従業員を対象にした社内キャリアUP制度がありますが、私としてはそれ以外に、AWSやAzureといった外部資格をどんどんととっていくことが大事だと思っています。外部資格をうまく活用することで、自分も会社も受ける仕事の幅が広がっていくと思います。
――最後に、保西さんが今後取り組んでいきたいことを教えてください。
保西:いまは転職時に希望したマイグレーションビジネスをゴリゴリと進めていますが、そろそろ新しい領域も開拓していきたいと考えています。
具体的には、昨今話題のAIとか分析系の仕事にもチャレンジしてみたいと思っていて、マイグレーションプロジェクトに応用できたらと考えています。
(※本記事の内容および取材対象者の所属は、取材当時のものです)