「2年半前に生まれた次男。彼の存在が、19年間勤めてきた企業を飛び出したきっかけのひとつだったんですよ」―――。
2022年、プライム市場に上場する大手事務機器メーカーからSHIFTに転職、セキュリティコンサルタントとして活躍するK.T.は、そういいます。
なぜお子さんの存在が、40代なかばにして転職をしたモチベーションとなったのか?どうして、SHIFTでセキュリティコンサルタントを選択したのか?
転職の経緯といまと、これからについて伺いました。
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サービス&テクノロジー本部 セキュリティサービス部 セキュリティサービス1グループ K.T.
1976年生まれ。大手事務機器メーカーに19年勤務。オフィスプロダクト事業におけるフラッグシップ機器の商品戦略・商品企画の組織マネジメント、全商品のプロダクトセキュリティ統治の組織マネジメントなどを手がけてきた。2022年10月SHIFTに転職。セキュリティコンサルタントとして多彩な案件を手がける。2児の父。
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26歳
大学院を卒業後、大手事務機器メーカーに入社
ソフト開発部門に配属
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28歳
国内外のプロセス改善へ取り組む
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33歳
新規クラウドサービス立ち上げに従事
社内初となるクラウドサービスの初期メンバーとしてアサイン
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39歳
企画部門へ異動
セキュリティ含む企画担当からソフト企画・PMグループリーダーに
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43歳
商品企画およびセキュリティのグループリーダーに
年間収益約1兆円超、セキュリティのプロダクト展開を実現
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46歳
第2子誕生後、SHIFT入社
大手企業で築いてきたキャリアから心機一転、家族とSHIFTの成長にコミット
目次
開発から商品企画、セキュリティも。幅広い業務を担ったが……
――セキュリティコンサルタントをされているそうですが、具体的にはどのような仕事をされているのでしょう。
K.T.:お客様のセキュリティに関するあらゆる課題解決の方法をデリバリー、ときに運用までを手がけています。
たとえば、広告系企業のCSIRT(Computer Security Incident Response Team=情報セキュリティに関する事故やトラブルに対応する専門チーム)に運用支援を行いSHIFT側のPMとして参画しています。
ある保険系のお客様には、エンドユーザーのWebサイトのセキュリティリスク解析とレポーティングを行い、また別のお客様ではちょっとしたセキュリティ上の相談が可能な「セキュリティコンシェルジュサービス」なども行っています。
多種多様にセキュリティの課題解決のお手伝いをしているイメージですね。
――前職でもセキュリティのプロフェッショナルとしてキャリアを積まれてきたのですか?
K.T.:歩んできたキャリアのひとつに「セキュリティ領域もあった」のほうが正しいですね。
前職は大手事務機器メーカーに19年間勤めてきました。そもそもはソフトウェア・エンジニアとして入社。
機器のソフトウェア開発はもちろん、商品開発プロセスのマネジメント、海外支店の契約プロセスの改善、さらにはクラウド開発の新組織でスクラムなど、本当に幅広にやらせてもらっていました。
最後には開発畑から商品企画部に異動、フラッグシップ機器・サービスすべての商品戦略、商品企画のグループリーダーまで手がけた。
そのときに、コーポレートガバナンスにおいてセキュリティの重要性が高まってきたので、「技術も明るいK.T.がセキュリティチームも見てくれ」とこちらのリーダーも兼務していたのです。
――ものすごい仕事量と責務だったのでは?
K.T.:軽くはなかったですね。年間1兆円ほど売り上げる商品群の企画に携わりつつ、セキュリティの問題が発生したら血止めの処置と恒久対策をグローバルのサプライチェーンに伝える必要がありましたので。
――視座の高い幅広な仕事を手がけられてきた。もとより商品企画のグループリーダーといえば、いわゆる出世コースだと思います。なぜ2年前に転職の道を選ばれたのでしょうか?
K.T.:きっかけは、未来への不安でしたね。いま47歳の私には、中学生の娘と、2歳半の息子がいるんですね。その息子が生まれたときは45歳だった。
生まれたばかりの長男の顔を見ながら「この子が15歳になったときに私は定年を迎える。彼が行きたい場所に連れて行ったり、やりたいことをやらせてあげたり……。そうしたことが満足にできるだろうか」と、強烈な不安に襲われたんですよ。
ここでなら成長しつづけられる、と感じた理由
――前職では定年が60歳だったのですね。
K.T.:ええ。60歳以降は再雇用制度があったのですが、新入社員と同じくらいの給料にまで大幅に下がるのが現実でした。
もっとも、金銭面で打撃をうける以上に、モチベーションが著しく低下することに恐怖感を抱いていました。
現にそのころ、私よりもうんと上のキャリアの元部長などが「部下」についていました。なかには変わらずバリバリ働く方もいるのですが、ほとんどの方が意気消沈している姿を見せていた。
優秀な人たちが、定年という、ある種の年齢差別によって、無理やり第一線から退かければならない事実に悔しさと憤りすら感じていたのです。
まだまだ子どもたちのためにがんばらなければいけない。そう考えると、金銭面でも後ろ姿を見せる意味でも、「いまいる場所に居つづけるわけにはいかないな」と。
――なるほど。転職先はどのように選ばれたのでしょうか。それだけのキャリアならば、引く手あまただったのでは?
K.T.:いえ、残念ながら引く手あまたとまではいえませんでした。
40代半ばでのはじめての転職、しかも大手事務機器メーカーにずっといた身で、給料をそれなりにいただいていたこともネックになったと思います。
1社にずっといた割には幅広い経験があったので「クラウド開発のリーダーとして受け入れたい」「商品企画の担当者としてどうか」とお声がけも幅広にいただいたことはたしかです。ただ、どうしても給料面で「以前とは下がってしまうが…」というお話ばかりでしたね。
――そんななかでSHIFTを選ばれました。興味をもたれた理由は?
K.T.:セキュリティの経験があったので、まずそこを評価されてお声がけいただきました。
実はほかの事業会社からもセキュリティに関するオファーは比較的多かったのです。給料面でも高いものが多く、ニーズを強く感じました。ただ期待されるスキルとして、専門的な深度や経験を求められることが多く、面談までいっても最終的にうまくマッチしなかったのです。
しかし、SHIFTは違いました。セキュリティに関する知識はもちろんですが「プロダクトに関して理解があること」がコンサルとして強みになることが面談の際に伝わってきました。給料面も「すぐに前職を上回れる」との話だったんです。
私自身は何よりも「70歳定年である」ことに強く魅かれましたね。
――そのときの面談で印象的なできごとがあったそうですね。
K.T.:はい。いまの上長である森(日出雄・セキュリティサービス部部長)の面談だったのですが、「セキュリティには多少明るいが、コンサルの経験がない不安がある」と正直に伝えたんですね。
「たしかに経験値は浅いですよね」と変に期待を高めず、フラットに自分を評価して見てくれていることが好印象でした。
2回目以降の面談では、お客様の仮課題に関してどのような提案をするか、といったロールプレイがあった。提案内容から適正を判断する狙いなのですが、「改善の余地がある」「経験の浅さが出ている」とポジティブもネガティブも含めてはっきり指摘されたのです。
――辛辣ともとれますよね。
K.T.:私にはそこがとても響きました。変にとりつくろったいい言葉だけを伝えるのではなく、真正面から誠実にこちらと向き合ってくれる証左だと感じました。
「この会社ならば、私自身まだまだ成長できるな」という期待感をもてたので、入社を決めたのです。70歳まで働ける環境なうえ、「50代でも60代でも成長できる環境に身を置けそう」な希望こそ、SHIFTに飛び込んだ大きな理由ですね。
仕事が自分の「手のひらにある」喜び
――入社後、セキュリティコンサルの仕事を手がけた感想はいかがですか?
K.T.:お客様と直接向き合う圧倒的な「現場感」が新鮮で、おもしろさを感じました。
これまでずっと事業会社にいたので、社外よりも社内のコミュニケーションが圧倒的に多かったので、直接、お客様の課題と向き合い、成果を出すごとに信頼関係が築けることに仕事の楽しさを感じています。
また、成果を出すことで「また別の案件もお願いしたい」「次もぜひ頼む」と売上や利益といった数字が直結することにも充実感があります。
何だか、自分の“手のひら”に仕事をしっかりのせられている気がするんですよ。
――「手のひらにのせる」とは?
K.T.:前職では数百億、数十億円という提案を行い、稟議を通してきました。
でも、結果としてトータル1兆円近く利益をあげても自分がそこに携わっている実感が薄かったんですよ。得意ではありましたが社内調整が多く、お客様と向き合っている感覚がなかった。
もちろん、マーケティングや競合分析をして、たくさんの人たちのたくさんのアウトプットのうえに成り立つ業務で重責ではありましたが、やりがいもありました。けれど、規模が大きすぎてどこか単なる「数字」にしか見えなかった。
しかし、SHIFTにきて、セキュリティコンサルの立場でお客様と日々向き合って、課題を解決して、目の前で喜ばれる。そこで派生する売上・利益の額は違っても、自己効力感がまったく違う。数字が手のひらにのっている感があり、直接モチベーションにつながる。
前職でも部下にも自分にも、口酸っぱくいっていた「お客様視点が大事だ」「お客様起点で仕事をしなければ」といった言葉にリアルさと説得力がありますね。
――コーポレートカルチャーに、戸惑うことはありませんでしたか?
K.T.:まったくありませんでしたね。なかでもSHIFTが掲げた行動指針には共感できました。
特に「ふてくされない、素直に受け入れる」とか、「楽しいと思えることを提案し、自ら仕事を創りだす」などですね。
私はそもそも仕事においてABCを意識しているんですね。
――ABCとは?
K.T.:「当たり前のことを」「バカにせずに」「ちゃんとやる」の頭文字でABCです(笑)。
その意味で、前者の「ふてくされずに素直に…」といった意識は、もともと私が意識してきた当たり前の社会人としての姿勢だと思っていました。
また後者の「…自ら仕事を創りだす」ことも、日々、仕事にあたっているうえで、実感したこと。受け身の仕事をしていると、ラクなようで実は苦しいんですよね。
受け身だとまわりの環境に振られてしまうから。仕事をいつも自分ごとにして、自発的に取り組む。こうした当たり前の姿勢を貫いていたので、とてもフィットした感覚があります。
――なるほど。いま入社2年目を迎えていますが、転職前に感じていた将来の不安は解消できていますか?
K.T.:そうですね。給料も約束どおり前職と同等になり、今期は上回るかなと思います。さらに同じ部署に60代でモチベーション高く、バリバリに活躍されている諸先輩方がいるのは、何よりも励みになります。
力のある人が、正当な評価を受けて、70歳まで働きつづけられる。そんなフィールドが、SHIFTには“当たり前”にありますからね。
──K.T.さん、本日はありがとうございました!
(※本記事の内容および取材対象者の所属は、取材当時のものです)
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