「提案はできる。でも、その先を変えることはできない」
世界的なクラウドベンダーでソリューションアーキテクトとして活躍していた江口と加治には、共通のもどかしさがありました。
二人が選んだ次の挑戦は、お客様の真の課題解決に向き合う新職種「ストラテジックアーキテクト」。
システムの解析から戦略策定、実行まで。一気通貫でお客様に伴走しながら、課題の本質に迫る役割です。
AI時代に、人間だからこそ発揮できる価値とは何か。二人の転職と挑戦の背景から、その答えを探ります。
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AIモダナイゼーションサービス部 ストラテジックアーキテクト 江口
20代で独立系SIerにて受託開発を経験後、30代の約10年間はフリーランスとして活躍。40歳を機に組織だからできる仕事と裁量を求め正社員へ転向。LINEでのバックエンドエンジニア、AWSのソリューションアーキテクト、総合商社の子会社である医療系企業で開発部長を歴任。2025年11月SHIFTに入社。現在はAIモダナイゼーションサービス部にて、ストラテジックアーキテクトを務める。
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AIモダナイゼーションサービス部 ストラテジックアーキテクト 加治
SESや事業会社、大手グローバルクラウドベンダーを経て2026年4月にSHIFTへ入社。前職ではソリューションアーキテクトとして、企業のクラウド導入支援などを主導。多数の技術イベントや勉強会の企画に携わり、自らも登壇。現在はAIモダナイゼーションサービス部のストラテジックアーキテクトとして、お客様のシステムのモダナイゼーションを支援している。
目次
エンジニアに残された最後のロール?ストラテジックアーキテクトとは
――まずは、お二人が担われている「ストラテジックアーキテクト」という職種について教えてください。
江口: ストラテジックアーキテクトは、お客様のシステムのソースコードを解析するところから入り、ときにはコンサル、ときにはPM、ときにはアーキテクトとして関わる複合的なロールです。
お客様のシステムを解析した結果、どのように刷新するのかを合意形成しながら、技術面も踏まえて会話をし、計画を立てていく役割です。
――一般的なコンサルタントやPMとはどのような違いがあるのでしょうか。
加治: PMやコンサルタントだと、案件ごとに担当する範囲が決まっていることが多いと思います。
一方でストラテジックアーキテクトは、お客様と最初に接するプリセールスの段階から、戦略策定、システム刷新、運用まで、一気通貫で関わりつづけます。お客様の最適化が終わるまで伴走していくイメージですね。
――かなり守備範囲の広い仕事ですね。正直、大変そうにも聞こえますが、そのなかでどんなところに面白さを感じていますか。
加治: 一番面白いのは、「ストラテジックアーキテクトだからこれをやる」という決まった枠がないところですね。
PMとしてプロジェクトを推進することもありますし、コンサルタントのようにお客様と戦略を考えることもあります。必要であれば自分で手を動かすこともあります。
お客様の理想の姿を実現するために、「自分は何をやるべきか」を考えつづける仕事なんです。
江口: お客様の課題はシステムだけにあるとは限りません。業務や組織の課題がボトルネックになっていることもあります。
そうした背景もいっしょに読み解きながら、お客様にとっての最適な姿を考えていく。
単なるシステム刷新ではなく、本質的な課題解決に向き合えるところが、この仕事の面白さだと思います。
――なぜいま、このような役割が求められているのでしょうか。
江口: AIによって代替される作業が増えたことで、各ロールの垣根が低くなってきていることが背景にあります。
お客様と向き合いながら課題解決をリードするストラテジックアーキテクトは、これからの時代における人間がやるべき、「エンジニアに残された最後のロール」なのではないかと思っています。
真の課題はソースコードの外にある
――実際には、どのようなご相談が多いのでしょうか。
江口:お客様が何十年も運用されてきたシステムで、担当者が退職してしまったとか、ドキュメントがなくて困っているとか、システムをどう刷新するのかわからないといったご相談をいただくことが多いです。
課題としてみえている部分がありますが、我々がソースコードを解析するともっと大きな課題がみつかるケースの方が多いです。
なんとなく体調に不安を感じていた人が10年ぶりに健康診断を受ける。その結果、将来的なリスクが見つかり、「要精密検査です」とお伝えするようなイメージです。
――かなり危険な状況のお客様もいらっしゃる。
加治:ただ、システムはとりあえず動いているため、お客様自身が危機感を抱きにくいというむずかしさがあります。
「放置しておくと将来的に大変なことになりますよ」と、客観的なデータを示してリスクをお伝えし、いかに納得感をもって行動を起こしていただくかが、私たちの最初の重要なミッションになります。
――客観的なデータでリスクを示せば、スムーズにシステムの刷新提案へと進めるのでしょうか。
加治: 実はそうとも限りません。ある案件では、最初はシステムの課題だと思ってご支援に入ったのですが、深掘りしていくと、もっと組織的・体制的な問題がみえてきたことがありました。
結果として、システムの話ではなく組織体制をどう変えていくかという議論に発展したんです。
ソースコードをみると、古さや更新履歴などからシステムの状態はある程度みえてきます。ただ、その背景をお客様に聞いていくと、「実はこういう組織体制だった」「こういう運用だった」という話が出てくるんです。
そうすると、システムがこうなった原因と組織の課題が紐づいてきます。
――システムだけをみていても、本質的な課題解決にはならない、と。
加治:そうですね。本質的な課題解決をしようとすると、システムだけではなく、そうした部分にも踏み込まなければならないことがあります。
実際には、真の課題がソースコードの外にあるケースも少なくありません。
恵まれた環境を飛び出してでも、二人が求めた「実行の舞台」
――お二人がこうした役割を目指すようになった背景は何だったのでしょうか。
江口:前職は尊敬できる仲間が多く刺激的な環境でした。ただ、私自身、もともと開発をしていたこともあり、「開発現場にもっと深く関わりたい」という思いがずっとありました。
お客様の真の課題を解決するには、表面的な提案だけでなく、現場に踏み込んでいく必要があります。
しかし当時の環境では、提案自体はできてもそれを実行に移す舞台が自分たちにない。そのことが、次のステップを考えるきっかけになりました。
加治:私も、前職で経営層から現場まで多様なお客様に直接提案ができることに、大きなやりがいを感じていました。
ただ、お客様の課題に対して提案やプロトタイプの提供まではできても、その先の実行フェーズに自分たちが直接介入することはむずかしかったんです。
お客様に最後まで伴走したいと思っても、ロールの制約上そこから先は別のパートナー様に任せるしかない。そうした構造的な限界に対する歯がゆさは、私だけでなく社内でも共通の課題意識としてありました。
――そうした思いが、SHIFTへの転職につながっていったのですね。
江口:はい。システムを提供する立場としてお客様に伴走し、かつAIを積極的に活用していくSHIFTの方向性に大きな面白みを感じました。
加治:私は、いまのAI時代において自分がどう変化し、AIを使って何ができるのかを実践できる環境を探していました。SHIFTはまさにそれを体現できる場所だと感じました。
また、実は前職時代から江口さんのことも知っていたので、その安心感や、人を大切にする社風にも強く惹かれましたね。
――数ある選択肢のなかで、最後の決め手になったのは何だったのでしょうか。
江口:私にとってAIは非常に重要なテーマでした。正直、AIを使わない仕事はもう考えられなかったんです。そのなかで、「Native AI事業」を伸ばしていくという方向性が明確だったことに強く惹かれました。
なかでも立ち上げ期にあるAIモダナイゼーションサービス部で、組織づくりに大きな裁量をもって関われる点にも面白さを感じていました。
現実的な話として、前職からの年収アップと、70歳定年という長く働きつづけられる制度も決め手になりました。
加治:私も、社長をはじめとする経営層自らが「AIを徹底的に使っていく」という力強いメッセージを発信していたことが最も印象的でした。
会社全体でAIを使いこなし、自由に勉強や挑戦ができる環境が整っている点に魅力を感じて入社しました。
「システムをつくる・直す人」ではなく「ビジネスを伸ばす人」
――会社全体でAI活用を推進するSHIFTですが、AIがこれほど急速に進化するなかで、エンジニアが価値を発揮しつづけるには何が必要だとお考えですか?
加治:AIはさまざまな情報を出し、モノをつくってくれます。しかし、それが本当にお客様のビジネスの改善に繋がるのかを判断し、納得感をもっていただくための理由づけや合意形成は人間にしかできません。
AIの答えを鵜呑みにせず、前提や価値をしっかり伝えて支援していくことが重要です。
江口:お客様にとってシステムはビジネスの手段でしかありません。そこにとらわれず、お客様のビジネスをいかに楽にするか、伸ばしていくかをいっしょに考えられることに価値があると思っています。
いままでもそうであったと思いますが、AIの登場でより人間ならではの役割の必要性が増したと感じています。
――AI時代の価値が「ビジネスへの伴走」にシフトしていくのですね。その前提のうえで、ストラテジックアーキテクトにはどんな方が向いていると思いますか?
加治:お客様の最適な姿を定義していくうえで、自律的に動くことが強く求められます。
技術面でもビジネス面でも「こうしていくべきだと思う」という強い信念や考えをもち、責任をもって主体的に動ける方は非常に向いていると思います。
江口:お客様自身も正解をもっていない課題に対峙することが多いので、「こうすればよくなるのではないか」と自ら仮説を立てて動ける力が必要ですね。
たとえ仮説が外れても、すぐに次の手を考えられる柔軟性と前向きさがある方には、ぜひ挑戦してほしいです。いきなり全てができなくてもチームでサポートできますので。
――最後に、これからのキャリアに悩む方に向けてメッセージをお願いします。
加治:ITの歴史のなかで、インターネットやクラウドの登場、DX化など、大きな変化はつねにありました。
重要なのは、変化を恐れず、自分の得意なものを主軸としながら、その時代にあわせて柔軟に自分を変化させていくことだと思います。
江口:これまでは専門性の深さが強みとされてきましたが、いまはAIを活用したプラスアルファの価値を意識していくことが大切です。
技術だけでなく、ビジネス視点でお客様に伴走するストラテジックアーキテクトは、非常にやりがいのある魅力的な職種です。
今後のキャリアに不安や迷いがある方は、ぜひご応募いただけるとうれしいです。
(※本記事の内容および取材対象者の所属は、取材当時のものです)