「調整役」から「描いて動かすPM」へ。チームの自走を生む“デザイン力” 

2026/09/10

「いままで自分が『本来のプロジェクトマネジメントって、こうあるべきじゃないか』と思っていたことを思い切りやってみようと」 

入社直後の想いをこう振り返るのは、AI BPaaSサービス部で活躍中の忠田(ちゅうた)です 

彼にとってのプロジェクトマネジメントとは、描いて、動かすこと。 

複雑案件ゆえの難局を次々と突破している理由を取材でひも解いていく過程で、忠田はそれを“デザイン力”という言葉で表現しました。

チームに真の“自走”をもたらし、複雑なプロジェクトを前へ進めていく。プロフェッショナリズムの核心と、それを支える“デザイン力”の正体に迫ります。 

  • AI BPaaSサービス部 忠田(ちゅうた)

    ITサービスおよびオフィスソリューション事業を展開する企業にてISO 20000準拠した運用保守品質管理、社内インフラ更改Microsoft 365運用支援サービス企画販促など組織横断型プロジェクトの推進に従事。2024年1月にSHIFT入社 

目次

国境と組織をまたぐ、複雑案件のハンドリング

――忠田さんは現在、幅広い案件を担当されていると聞いています。まずは、現在の具体的な業務内容について教えていただけますか? 

忠田:PM兼プリセールスとして、主にMicrosoft 365(M365)や生成AIに関するプロジェクトの提案から伴走支援までを担当しています。 

具体的には、お客様の課題や期待される成果を整理し、要件の確認や解決策の提案を行っています。

プロジェクト開始後はPMとして、現状調査やアセスメント、要件定義、運用設計、導入後の定着化に向けた伴走支援まで、一貫してプロジェクト推進に携わっています。 

直近では、国内製造業の海外グループ会社におけるM365テナント統合でPMを務めています。また、建設業のお客様におけるM365 Copilot活用に向けたDX人材育成支援では、PMと研修講師を担当しています。 

――海外拠点も絡むような複雑でスケールの大きな案件を、スピーディに推進できる背景には何がありますか? 

忠田:こうしたプロジェクトで大きな障壁となるのは、国境や部署の違いによって生じる利害や権限を調整するコストです。 

例えば、海外グループ会社のM365テナント統合では、国をまたいだ契約手続きや、グループ会社・事業部間での利害調整など、多くの関係者を巻き込むため、検討や意思決定に時間を要するケースも少なくありません。

しかしSHIFTでは、構築や運用保守を担う部署はもちろん、ときにはグループ会社の垣根を越えて、必要な知見や人的リソースを柔軟に組みあわせられます。社内調整にかかる時間をお客様との対話や課題整理、提案活動に充てられるのです。 

こうした環境があるからこそ、複雑なグローバル案件にもスピーディに対応できているのだと思います。

提案からPMまで。自ら「現場をデザインし、動かす」醍醐味

――組織間の壁がないからこそ、迅速に動けるのですね。忠田さんは提案活動からPMまで一貫して携わっていますが、そのスタイルへのこだわりはありますか? 

忠田:はい、あります。「PMが提案もやるの?」と驚かれるかもしれませんが、私は「どちらか片方だけやって」といわれたら、多分「嫌です」といっていたと思います(笑)。 

私は、お客様の課題整理や提案活動の段階から関わり、いっしょにゴールを描いて具現化するスタイルにやりがいを感じているんです。 

“提案は営業の仕事”と割り切っていては得られないおもしろさがありますし、SHIFTにはそうしたスタイルを後押ししてくれる環境があると感じています。 

――課題の整理から入り込んで自分で形にしたいという想いは、これまでのキャリアのなかでも感じていたことですか? 

忠田:そうですね。それまでのキャリアでは、運用保守から運用品質管理、サービス企画・販促まで幅広い経験を積んできました。契機となったのは、販促活動を通じてお客様の困りごとを直接伺ったことが転機でした。 

お客様の生の声に応えようと組織横断の取り組みを推進するなかで、丁寧な合意形成の大切さを学ぶ一方、組織規模や事業特性による制約から、適用範囲が限定的であったり、運用が複雑化したりと、総合的な判断のむずかしさを実感することもありました。  

こうした背景から、「もっとお客様に近い場所で、いっしょに課題を整理し、事業をよりよくするプロジェクトマネジメントに挑戦したい」と考えるようになりました。

そうした想いから転職活動を行い、コンサルティングファームからも内定をいただきましたが、「幅広い案件があり、自分の可能性を広げられそう」「一番自由度が高く挑戦できそう」と感じたのがSHIFTでした。

目的を失ったプロジェクトに息を吹き込む、対話型のアプローチ

――実際のプロジェクト現場で、停滞や困難に直面したときはどのように紐解いているのですか? 

忠田:例えば生成AI領域のプロジェクトでは、「生成AIを活用する」という方針だけが先行し、自分たちの事業をどうしたいかという目的が曖昧なまま進んでしまうケースがあります。 

そうしたときは、「何のために活用するのか」「その施策はいま必要なのか」という問いに、お客様とともに向き合います。お客様のカルチャーや立場なども考慮しながら、目指すべきゴールをお客様といっしょに再定義していきます。 

また、プロジェクトの立て直しや推進においては、「メンバーとの対話」によって目的を揃え、チーム自体の自走力を高めることを意識しています。 

――「メンバーとの対話による自走」とは、具体的にどのようなアプローチでしょうか? 

忠田:生成AIの黎明期に担当した、自治体向けの生成AI導入PoC案件がまさにそうでした。PMとして参画した際、メンバー間の認識のズレから議論が発散し、プロジェクトは遅延していました。 

そこで、社内外のステークホルダー一人ひとりとの対話の機会を設けました。対話を通してそれぞれの期待や懸念、本音を聞き取り、発散していた意見をプロジェクトの目的に照らして整理しました。 

SHIFTのフラットな環境があったからこそ対話を最優先できましたし、それによって「お互いの強みを尊重し、同じ目的に向かえる」という安心感が生まれました。

加えて、チームが自律的に機能しはじめ、最終的には予定していたPoCを完遂することができました。その後の継続的な支援にもつながり、プロジェクトを成功へと導くことができました。 

――そうした「自走型マネジメント」は、他のプロジェクトでも活かされていますか? 

忠田:はい。タイのお客様のM365テナント統合案件も同様でした。この案件では、日本にいる私がPMを務め、ベトナムを拠点とするグループ会社、SHIFT ASIAの技術メンバーと国境を越えて連携しました。 

国も言語も異なるチームだからこそ、細かな指示や過度な確認によるマイクロマネジメントを避けることを意識しました。

代わりに「プロジェクトの目的」「今後の見通し」「契約上の対応範囲」を丁寧に共有し、メンバーが安心して判断できる環境をつくりました。 

その結果、ベトナムのメンバーがもつ専門性とお客様視点が発揮され、タイのお客様に寄り添った対応につながりました。距離や言語の壁を越えて、お客様から感謝の言葉をいただいたときは、胸が熱くなりましたね。

曖昧な課題を解き明かす“デザイン力”こそ、PMのプロフェッショナリズム

――これからの時代において、PMが身につけるべき本質的なプロフェッショナリズムとは何だと思いますか? 

忠田:単なるツールの知識や進捗管理のテクニックではなく、曖昧な課題を正しく捉え、実現に向けた道筋を描く“デザイン力”こそ、これからのPMに求められる本質的な力だと思っています。 

この“デザイン力”は、複雑な課題を「分解して描く力」と、状況の変化を捉えて「評価し、描き直す力」の2つで成り立っていると考えています。 

まず、複雑な課題を「分解して描く力」とは、お客様が抱える課題に対し、それぞれの立場や本音を対話で紐解きながら、前提条件やリスクの関係を細かく要素分解するとともに、「何を実現すべきか」「何を基準に判断すべきか」という道筋を描く力です。 

そして、状況の変化にあわせて「評価し、描き直す力」とは、計画は流動的なものだと捉えて、「前提は変わっていないか」「解釈にズレはないか」を絶えずたしかかめながら、状況の変化にあわせて素早く道筋を修正する力です。 

――チームの自走も“デザイン力 の一部ということですか? 

忠田:はい、チームマネジメントもまさに“デザイン”の領域です。PMの役割は樹木が育つ環境に整えることに似ていると思っています。木が育っているか心配だからといって、毎日根元を掘り返して確認する人はいませんよね(笑)。

プロジェクトも同じで、細かく管理しすぎると、メンバーは自ら考えて動く機会を失ってしまいます。 

樹木は異なる役割をもつ高木、中木、低木が、風通しや日差しなどを調和させることで健やかに育っていきます。チームも同じで、異なる経験や専門性をもつメンバーが自律的に動き、お互いを補完しあえる環境をつくることが大切です。 

チームが自然と自走し、力を発揮できる環境を設計する。これこそが、私が考える”デザイン力”です。 

―― “進行役”としてのPMから脱却するための核心ですね。 

忠田:そうですね。生成AIが情報整理や進捗管理を支えてくれるようになるからこそ、これからのPMは”進行役”ではなく、プロジェクトにとってよりよい意思決定につなげていくことが重要になると思います。 

関係者の背景や感情を捉え、複雑な利害関係のなかから進むべき道筋を描くこと。そして、状況の変化を評価し、道筋を柔軟に描き直していくこと。

これら人間ならではの”デザイン力”の価値は、AI時代において高まっていくはずです。

(※本記事の内容および取材対象者の所属は、取材開催当時のものです)

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