AI×セキュリティのフロントランナー。裾野を広げつづけたジェネラリストがAI時代に強い理由

2026/09/09

「自分には突き抜けた専門性がない」――変化の激しいAI時代において、自らの市場価値やこれからのキャリアパスにそんな不安を抱く方が、ますます増えているかもしれません。 

今回の記事の主人公であるAI BPaaSサービス部の村木も、幅広い知見を活かした改善提案を行うなかで、その価値を十分に伝えるむずかしさを感じたり、転職活動において自身の経験や強みを伝えるために試行錯誤してきた一人です。 

そんな彼が、なぜ「AI×セキュリティ」という最先端の現場で活躍できているのか。

独自の提供価値を創り出すまでの逆転劇ともいえる軌跡、そして SHIFTのAI BPaaSというビジネスモデルに見出した活路についても深ぼっていきます。 

  • AI BPaaSサービス部 村木

    総務・法務からITインフラまで網羅するジェネラリスト。某大手卸企業での多角的な実務経験を経て、インフラエンジニアとして中央官公庁の運用構築~移行設計案件に9年間従事。40歳でSHIFTに参画し、現在は知見裾野を活かして最先端のAI・クラウドセキュリティ審査を牽引する。SHIFT入社3日にして、キーボード部を立ちげた。 

目次

AI×セキュリティの最前線に身を置く、「自称ジェネラリスト」

――入社してもうすぐ丸1年ですね。仕事に部活にと、あっという間だったのではないでしょうか? 

村木:本当にそうですね。仕事はもちろん、入社3日目で立ち上げたキーボード部の活動など、公私ともに目まぐるしく、一週間が本当に早く過ぎてしまう1年でした。 

――そのスピード感がまさにSHIFTらしさですね。では本題に入りますが、 村木さんが現在担当されている現場は、ハイレベルな環境だと伺いました。 

村木:そうですね。私が身を置いているのは、取得難易度の高い情報セキュリティの国際的な認定資格をもつプロフェッショナルが多数集まる現場です。そこで業務利用される各種AIやクラウドサービスの安全性を評価・担保する審査業務を主導しています。 

AI×セキュリティという領域には、大きく2つの軸があります。ひとつは、AIを活用して日々の業務やセキュリティ管理の効率化・高度化を図る「AI for セキュリティ(セキュリティのためのAI)」の実践です。 

私たちのチームでも、膨大な審査を遅延なく進めるために進捗管理システムを自作・公開したり、現場の運用コストを削減したりと、改善活動を能動的に推進してきました。 

――もうひとつの軸は? 

村木:生成AIやAIエージェントそのものを未知の脅威から守る「セキュリティ for AI(AIのためのセキュリティ)」です。

こちらが私たちの手がける審査業務のメインターゲットであり、プロンプトインジェクションをはじめとするAI特有の脅威に対するリスクとコントロールの評価などを行っています。 

さらに、現在ではAIシステムに対する「攻撃演習(AIレッドチーミング)の内製化」も手がけるようになりました。これは、国内でも支援実績がほとんど存在しないといわれています。 

――それほど高度な案件を担当できるのは、村木さんがその領域の“専門家”だからなのでしょうか? 

村木:実は、まったく逆なんです。世間一般でいう“器用貧乏”とも捉えられかねない“ジェネラリスト”なんですよ。しかし、このスタンスがいまの私を支える強みになっています。

専門の枠にとらわれないからこそ、「専門家が壁をつくって立ち止まってしまう境界線」に直面しても、壁をつくらずに隙間を埋めることができる。

ただ、私が自分の専門を限定せず、必要な技術をその場で獲得するというスタンスの裏には、ある信念と、前職での葛藤がありました。

幅広い分野を何でも貪欲に学び抜く。SHIFTは私の経験を正しく理解してくれた

――その信念と、前職での葛藤について教えてください。 

村木:私の行動原理の根本には、「山を高くするために裾野を広げる」という信念があります。

「すぐ役に立つものほど、すぐ役立たなくなる」という格言がありますが、これは「一見何に役立つかわからない知識ほど、実は寿命が長い」というもの。私はこれを、興味の赴くままに何でも学んでいく自分への免罪符にしているのです。 

そうして自分の知識や技術の裾野を広げておくことは、人生において”選べない状況”に陥る確率を下げるための、私なりの防衛策でありキャリア戦略でもあります。生きる上で一番不幸なことは”選択肢がないこと”だと思っていますから。 

その考えに従って、これまでITインフラ技術にとどまらず、総務、経営企画、社内情シス、そのほか管理部門の業務まで、横断的に知識を吸収してきました。

しかし、それを活かして合理的と思われる改善提案をしても、専門外の意見と受け止められ、実現に至らない歯がゆさを味わいました。 

――そこから転職活動を行われたと。 

村木:はい。しかし転職活動でも、「法務からITインフラまで何でもできる」というアピールは、一般的な面接官から「専門性がない」と、自分の本質的な価値が伝わらないもどかしさに直面しました。

そんななか、私の経歴の全容を正しく理解してくれたのがSHIFTでした。 

面接官がAI BPaaSの前身であった当時の部署を紹介する言葉として選んだのが“カスタマーサクセス”だったんです。

「お客様の欲しがるものではなく、お客様にとって本当にためになる価値(カスタマーサクセス)を提供しよう」という思想にも惹かれましたし、私のなかの改善志向と合致していました。 

SHIFTなら自分の強みが活きる、私の経験が価値になると直感して入社を決意したんです。 

「セキュリティ for AI」の最前線で、ジェネラリストが活躍できる理由

――その直感は正しかったとおもいますか? 

村木:ええ、入社後、確信に変わりました。専門外の領域に躊躇なく手を伸ばす“領域侵犯”が、SHIFTではむしろ歓迎されたのです。 

もともと私にとって、技術の勉強や検証環境の構築は20年来のライフワークなんです。これまでも自宅ラボに個人でM365テナントやゼロトラスト環境を構築して検証をつづけてきましたし、買い込んできた専門書も累計で400〜500冊にのぼります。 

ですから、AI×セキュリティという領域への挑戦が決まった際も、その延長線上で自然と没頭しました。改めて数十冊の専門書を買い足し、手元の検証環境をさらに広げて検証を重ねていったのです。 

国内に日本語の資料が存在しない「セキュリティ for AI」の手法については、洋書や海外の論文、OWASP LLM/Agentic Top10、MITRE ATLASといった一次情報を、自前のClaudeも活用しながら解読しました。 

――SHIFTと出会ったことで、村木さんのジェネラリストとしての強みが花開いたのですね。その強みは、現場でどのような価値を生んでいるのでしょうか? 

村木:大きく3つあります。1つ目は、「AI×セキュリティの境界線を埋められる」ことです。“AI×セキュリティ”は双方の専門家同士でも相互理解がむずかしい領域です。

しかし、私のように「専門にこだわらず、興味の赴くままに何にでも手を出して体当たりで学ぶ」ということを20年もやりつづけてきた人間だからこそ、専門家が壁をつくって立ち止まってしまう隙間を、滑らかに繋ぐことができます。 

――なるほど、領域のエアポケットを埋められるのはジェネラリストならではですね。2つ目は? 

村木:2つ目は、「技術にとどまらず、多角的なリスクを検知し網羅できる」点です。 AIセキュリティ審査は、単にシステムの穴をハックする技術的な側面だけでは完結しません。

生成画像を利用する際の著作権問題や、企業ブランドを損なうレピュテーションリスク、さらにはお客様の社内規程や業務プロセスに落とし込めるかといった“会社全体のリスク”を見抜く総合力が問われます。 

管理部門や法務、契約実務まで横断して学んできた“裾野の広さ”があるからこそ、技術単体にとらわれない多角的なリスク評価と安全性の保証を提供できています。 

――3つ目は何でしょうか? 

村木:3つ目は、「枠に囚われない改善志向で、現場の不合理を改善できる」点です。 

自分の役割を限定せず、現場の不合理を見つけたら先回りして解決する。その結果が、お客様からの強い信頼につながっています。

――「AI BPaaS」というビジネスモデルについては、最先端の現場での実践を踏まえてどう感じますか? 

村木: AIによって個々の技術や単純作業は急速にコモディティ化し、業務は劇的に“工業化”されていきます。 

現在、AIの高度な活用現場では、メインエージェントが複数のサブエージェントを統制し、チームとして自律的に業務を回す“マルチエージェント協調による工業化”がすでにはじまっています。 

一例としてあげると、あるAIエージェントがタスクを実行し、別のサブエージェントがそのためのテストを設計・実行し、さらに別のエージェントがそのテスト品質を評価・判断するというサイクルを自動で回しあう進め方です。 

こうなると、もはや個々のタスクを誰がこなすかというレベルではなく、全体プロセスをいかにロジカルに組み立てるかという全体設計の勝負になります。 

それはいわば「AIプロセス全体の品質保証」であり、品質を武器に価値を提供してきたSHIFTには、これまでの強みとノウハウを活かせるフィールドが広がっています。 

一般的なIT企業が「技術やシステム(商品)を売る」のに対し、SHIFTは技術がコモディティ化するリスクを見越し、「技術ではなく業務そのものを請け負い、成果に責任をもつ」という極めて合理的なAI BPaaSというビジネスを打ち立てました。 

私は社内の勉強会などでも「AIは、自分の実力がそのまま反映される鏡である」とよく伝えています。AIの出した答えをただ鵜呑みにして使うだけの人は、これからの時代、すぐに淘汰されてしまうでしょう。 

そこで大切になる、AIを使いこなす根本的な能力とは「適切な問いを立てられるか」です。適切な問いを投げかけてAIの行動を修正し、システム全体のプロセスを設計して最終成果物の「責任と保証」を担う。

これこそが、人間にしかできない本当の価値です。この「人間の責任と品質保証」をビジネス化した「AI BPaaS」は、まさに時流を捉えた負けにくいモデルだと感じています。 

――最後に、かつての村木さんのようなジェネラリストへメッセージをお願いします。 

村木: 従来のIT支援において、現場だけでなく、事務経験などで培った業務知識や多角的な経験は、どこか「間接的な知識」にとどまりがちでした。

しかし業務を請け負いながらAIを前提に業務自体を再定義していく「AI BPaaS」においては、その業務知識がまさに再設計そのものへダイレクトに化けます。 

多様なバックグラウンドを歩んできた人ほど、SHIFTという環境で自分の裾野の広さを武器に、この最前線の面白さに挑んでほしいですね。 

(※本記事の内容および取材対象者の所属は、取材当時のものです) 

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