
2025年9月12日、「デジタル時代におけるUXの考え方」をテーマとしたソフトウェアテストシンポジウム「JaSST’25 Niigata」が開催されました。
JaSSTプレミアムスポンサーを務めるSHIFTからは、CATエヴァンジェリストの石井が登壇。
「開発現場での実践的なUXの考え方・構築のアプローチとUXコンサルタントのアドバイス!」と題して、UX/UI設計にSHIFT所属のエンジニアがどのように向き合っているかを語りました。
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CATエヴァンジェリスト 石井
倉庫事業企業のシステム部門にて、基幹システムの開発・保守・導入および大規模基幹システム移行への参画を経験し、2015年にSHIFT入社。CAT開発チーム内でユーザーサポートとして、ユーザーと開発メンバーのブリッジを行いユーザーの課題分析や新機能提案などを日々実施している。
目次
ユーザーフィードバックから学ぶアクセシビリティの重要性
UX/UIの設計には、プログラミングやシステム設計とはまったく異なるスキルが求められます。かねてより、私は世のエンジニアがUX/UIの設計をどう考えているのか、どう向き合っているのか知りたいと思っていました。
今回は、フルスタックエンジニアの輿石(こしいし)とUX/UIコンサルタントの奥田に、UX/UI設計にどう向き合っているかを事前に聞いてきましたので、その内容を発表したいと思います。

まずは、輿石への質問と回答から。
石井:どのような方針でUX/UIをつくり、勉強していますか?
輿石:約3年前からオブジェクト指向UIデザインを実践してきました。UX/UIの設計に関しては、オブジェクト指向とタスク指向の使いわけ、共通パターンの一貫性の担保などを考慮しています。

石井:設計は計画通りに進みますか?
輿石:そうでない場合もあります。
例えば過去に、アルバイト業務を管理するアプリ開発に関わっていたのですが、自分では「かっこよくなったな」と思っていても、管理者であるユーザーからは「タブや色使いが見づらい」といわれることがありました。
その理由は、50代、60代が多く、古い端末が多かったためです。アクセシビリティの観点が抜けていたので、フィードバックの重要性に気づかされました。

石井:フィードバックはどのように収集していますか?
輿石:プロダクトやユーザー、そのほかの状況によって変わるため、決まった方法はないと思います。
一つ例をあげるとすると、過去に担当していた社内向けアプリでは、フィードバック用のフォームをアプリ内に設置しておき、そこからユーザーが改善してほしい点を送ると、すぐにSlackに通知が飛ぶよう設定していました。
開発チーム10人に対してユーザーは100人程度。
1日におよそ2、3件の問い合わせがくる規模感でしたが、運用はあまり負担ではありませんでした。むしろ、ユーザー側のブラウザやアクセス元、URLなども直接把握できるので管理しやすかったですね。


石井:リリース後は、どのようにしてUX/UIをブラッシュアップしていますか?
輿石:現在は週次で社内のデザインメンバーに相談してアドバイスをもらっています。

石井:贅沢ですね…!悩みを素直にぶつけているのでしょうか?
輿石:まずは自分で実装してみて、「もっといい表現があるはずだ」「しっくりこないな」「ここを改善したいな」という点を整理してから相談すると、より有益なアドバイスがもらえると感じています。

AIへの相談は有益か?UX/UI設計でもっとも重要な視点は?
ここからは、UX/UIコンサルタントの奥田に聞いた話です。
石井:身近に相談できるプロがいない場合、UX/UI 設計をAIに相談するのはどうでしょうか?
奥田:生成AIを相談相手にするのは、まだむずかしいと思います。理由は大きくわけて2つ。
誤った情報をベースにした回答が含まれること、AIがユーザーに忖度した内容を返すため、クリティカルシンキングにならない、矛盾を突いてもらうのがむずかしくなること。
これは、体系的な知識の収集先がまだ世の中に少ないからではないでしょうか。

石井:奥田さんたちの部署に、週次で相談できるサービスは提供していますか?
奥田:もちろんお引き受けできます。週次でMTGを開くこともありますし、画面例を作成してくださいといった依頼をいただくこともあります。

石井:どのように相談すれば、回答しやすいですか?
奥田:「ユーザーにどのような利益を与えたいか」「サービスを提供する側がどのような利益を得たいか」を明確にすると回答しやすいですね。
奥田があげたポイントは相談する際の注意点ですが、私は効果的なUX/UIをつくるうえでも重要になると思いました。このポイントが曖昧だとゴールがみえず、何をつくればいいのかわからなくなってしまうためです。
SHIFTでは、前述のとおり奥田の所属部署にてコンサルティングサービスなどを提供したり、統合型ソフトウェアテスト管理ツール「CAT」を開発・展開したりしています。ご興味のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
CATサービスサイト:https://www.catcloud.net/
(※本記事の内容および取材対象者の所属は、イベント開催当時のものです)