人事×AIの可能性は極大。「新しい常識」をつくりだすために乗り越えたい三つの壁

2025/04/11

SHIFT2030年まで売上3,000億円達成をめざす中長期成長戦略を推進するための一手として、「AIネイティブなSIカンパニー」としてのAIの徹底活用を大々的に宣言。 

 

この変革をリードし、業務の効率化や新たな取り組み推進するのが人事本部です。AIと人事の相性について、具体的なツールについてまたAI活用を日常化するために突破すべき壁について深ぼっていきます。 

※本記事は一部AIを使用して作成しています。

  • 人事本部 VPoHR 上岡 隆

    2012年12月入社。新卒でSIerに就職し、システムエンジニアとして5年間勤務。退職後、ひとり世界一周旅行へ。帰国後はコーヒーショップでアルバイトをしながら、友人とともに保育園事業で起業。2年間の挑戦の後、SHIFTへ。おもにエンタープライズ領域のグループ長として活躍後、2018年より人事領域に異動し、現在は人事戦略統括部の統括部長を務める。休日は自宅のある江の島の海を見て過ごす。

目次

人事がAIを活用する理由

―――先日、SHIFTの「AIネイティブなSIカンパニー」としての取り組みを発表する機会がありました。 

上岡:はい。当社はFY2030までに売上3,000億円達成をめざしているのですが、近年の進化が目覚ましいAIを徹底活用し、売上目標の早期達成・高い利益率を実現するねらいです。

AIを活用すること=個人の能力が拡張されること、だと私たちは考えています。

AI活用によって「仕事を奪われる人」が生まれるのではなくて、業務が効率化された結果生まれた時間でメンバーと新しい取り組みにチャレンジしていきたいんです。

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――それを人事が率先して実現していこうとしているんですね?

上岡:そうです。社内各所でAI活用の動きが活発ですが、私たち人事は企業文化の発信地として、人事部門所属のHR専任AIエンジニア2名とともに後述するツールの開発など進めています。

まずはとにかく「使ってみる」、それから「慣れる」、さらに「業務フローに組み込む」という3段階を意識してさまざまな施策を進めています。

――その施策について詳しくは後程お聞きしますが、そもそも人事×AIって相性がいいのでしょうか?

上岡:非常にいいですよ。一般的に、人事領域には整理されていないデータ、いわゆる非構造化データが無数にあります。

そういったデータや点在した情報を、人事戦略や評価制度、採用、配置などを人海戦術でやっていることが多くて。労働集約型の業務フローになりがちなんです。

その点、AIは非構造化データを構造化できますし、AIで民主化できるチャンスが人事領域には大いにありますね。

だから私たちSHIFTが成功事例となれば、他企業の人事支援など社会課題の解決にもつなげていける可能性も秘めています。

具体的な施策内容

――では具体的に、人事領域における生成AIの取り組みについて教えてください。

上岡:一例は、職務経歴書アナライザーの「Resumiru(仮称)」。

応募者のレジュメ(職務経歴書)を統一フォーマットに要約することで、その方の評価されるべきポイントが可視化されるツールで、それによって適切な評価や配置が判断しやすくなるというメリットがあります。

SHIFTグループが受領する応募数は毎年14万件にもおよびます。

Resumiruの開発に至った背景としては、書類選考の効率化が採用人事の工数削減に大きく寄与することはもちろん、応募してくれたみなさんのこれまでの実績とポテンシャルを正しく理解したいという想いがあります。 

――年間14万件……! それらをバイアスなくフラットに評価する上で、AIが不可欠なパートナーになっているわけですね。 

上岡:はい。Resumiruを利用することで曖昧な判断をなくし、明確な基準に基づいて応募者を評価することができるようになります。経験の因果関係や行動パターンの変遷を紡ぎあわせることで、ひとつの「線(物語)」にもつなげる。書類の先にある「入社後の活躍イメージ」が鮮明になり、選考担当者による判断の質を劇的に引きあげます。

この取り組みは、応募者にも企業にもポジティブな影響を与えられるものです。 

Resumiruとは別に、面接プロセスにおいてもAIを活用した機能が導入される予定で、候補者へのアトラクトや信頼度を向上させることが期待されています。面接の実施率向上や、選考後のサマリー作成も自動化されることで工数削減が実現される見込みです。 

――採用以外に、例えば従業員のエンゲージメント向上を目的としたようなAI活用の事例はいかがですか?

上岡:「対話型AIメンター」を開発し、試験運用中です。従業員が抱える悩みや疑問に対して質問を投げかけ、コミュニケーションをとりながら適切なアドバイスを提供することを目的にしています。

各人のコンディションを把握するための情報収集を行い、定期的に状況確認することが可能になりますし、退職理由の分析などにも活用の可能性があります。 

従来のアンケート調査のように会社が従業員満足度調査を定期的に行うのではなく、従業員がふとした時にいつでも気軽に話しかけることができる環境を提供することで、よりリアルタイムで悩みを共有できる環境をめざしています。 

AI活用における三つの壁と施策

――人事領域でのAI活用を推し進める、そのポイントはどんな点にありますか?

上岡:非エンジニアである人事メンバーが日常的にAIを使うという状況を生み出すには、以下三つの壁を突破する必要がある、と私は考えているんですよ。

――三つの壁、ですか。

上岡:そう。一つ目は、「変化を拒絶する壁」。組織において自己保存の法則がはたらいて起きる壁ですね。変化に対する抵抗感やアレルギーを克服するために、人事では「AI朝会」を定期的に開催しています。

これは総勢300名が参加する場で、AIツールの活用事例、成功体験を共有するものです。メンバーがAIを使うことに対する不安を軽減したいという狙いがあります。 

「みんなもやっているから、私もやろう」とAI活用への心理的ハードルを下げながらもマストとして打ち出して、「変わらないとまずい」というふうにうまく誘導することが重要だと思っています。 

――まずは心理的なアレルギーを、成功体験の共有で溶かしていく。まさに文化づくりからのスタートですね。二つ目も教えてください。 

上岡:二つ目は、「意志、意識の壁」。いわゆる「2-6-2の法則」において上位2割は勝手にAIをつかいはじめます。

他の大多数を占める方には、めんどくささをとっぱらってAIを使う意欲や意識を高めてもらわないといけません。彼らには、活用したらこんなに業務が楽になるよといったメリットを実際に感じてもらうことが大事です。

SHIFTではその点、ノープロンプトツールの「天才くん」シリーズという、簡単なやりとりでAIを使えるツールを開発しています。要約や文面作成などが容易になるので、業務効率化を実感してもらえると思います。

――徹底したユーザー目線を感じます。後は、何でしょうか? 

上岡:三つ目は、「業務フローの壁」。最終的には、AIが日々の業務に「溶け込んでいる」理想の状態をめざしたい。そこで業務フローをすべて可視化して、どこにAI活用ができそうか見直しを行っています。

AIを業務に溶け込ませるには、業務プロセスの標準化を加速させ、各部門でのAIの利用を必須とするフローを構築する必要があります。前述の「Resumiru(仮称)」も業務フローに溶け込ませている最中です。 

――三つの壁それぞれにアプローチを変えて取り組んでいるんですね。実際、AI活用が日常になりつつあると感じていますが、今後はどんなAI活用を考えていますか?

上岡:人事内でも「こんなことAIでできないですか?」「AIでできることについて解像度を上げたいので相談できますか?」というような問い合わせが増えており、変化が行動に現れはじめているのがいいことだと考えています。

今後はこういった実務に携わるみなさんの声を大事にしつつ、いまある当たり前を疑っていけるといいですね。

具体的には既存の業務フローのなかにAIを溶け込ますのではなく、AIの特性にあわせて業務フローを組み替えていく流れをつくれたら、と。

これによって本来、人事がなすべき付加価値の高い業務のための時間が生まれ、個人のやりたいことの実現やSHIFTとして掲げる社会課題の解決につながるのではと考えています。

ーーこれからの人事メンバーに期待することがあれば、教えてください。 

上岡:AIを使いこなして、自身の能力を拡張していくことです。例えば、アトラクトのスペシャリスト・HRコンサルタントなど、新たなキャリアを切り拓いていってほしいですね。 

新たな価値創造ができる人材として個人の市場価値を向上してもらえたら、というのは全社メンバーに向けての願いでもあります。

もともとSHIFTは社会課題を解決する会社として、「高い労働生産性で国際競争力を強化すること」を最終ゴールにしていましたが、AIエージェントを徹底活用することによって、その実現がぐっとはやまるのでは、という見解に変わってきてもいます。

個人も組織も、そして社会もよりよい未来へという視点で、今後SHIFTに入社される方にもぜひAIを使いこなして、新しいことにどんどん挑戦していってもらいたいですね。

――人事の枠を超えた、SHIFTらしい壮大な挑戦ですね。本日はありがとうございました! 

(※本記事の内容および取材対象者の所属は、取材当時のものです)