国家防衛に必要な集合知がある。初代防衛装備庁長官も舌を巻くナショナル・セキュリティコンサルティンググループ 

2024/07/02

2023年10月SHIFTの顧問に、初代防衛装備庁長官であり、現在は防衛技術協会理事長を務める渡辺秀明氏が就任しました。 

渡辺氏と、NS(ナショナルセキュリティ)コンサルティンググループでグループ長を務める澤田栄浩が出会ったのはおよそ20年前。以来、数々の防衛案件を通じ、たしかなリレーションを築いてきました。 

「澤田さんから事業の方向性を聞いて『この会社は、国家防衛にとって本当に必要な取り組みを提案、実現しようとしている』と共感しました。それで、ぜひお力添えしたいと」(渡辺氏) 

今回は、渡辺氏、澤田に国家防衛に関する現状の課題、SHIFTがもつ可能性やグループとして目指す方向性など幅広く話を聞きました。 

 

  • インダストリー顧問 渡辺 秀明

    防衛技術協会 理事長。初代防衛装備庁長官であり、近年では防衛装備品関係の展示会での基調講演などにも登壇。2023年4月から防衛省で施行された「産業サイバーセキュリティ基準」(米国NIST SP800-171準拠)の日本導入に向けて尽力された方としても有名。国立の研究所としては、日本最大の防衛省技術研究本部の本部長なども歴任しており、防衛技術全般に明るく、またサイバーセキュリティに関する知見も際立っており、いま現在も、国家安全保障領域において、広範囲に活躍している。 

  • NSコンサルティンググループ グループ長 澤田 栄浩

    メーカー系SI会社にてインフラSE業務に10年従事した後、サイバーセキュリティ専門会社およびコンサルティングファームにて、国家安全保障機関(内閣官房、警察庁、防衛省、JAXAなど)のシステム整備に係る調査研究やシステム整備支援などにPM・総括責任者として20年ほど従事。日本セキュリティマネジメント学会常任理事、情報ネットワーク法学会、セキュリティと信頼性の技術に関する研究会主査、日本ネットワークセキュリティ協会幹事、国立国会図書館最高情報セキュリティアドバイザーなどを歴任。現在はSHIFTのナショナルセキュリティ領域の事業推進における責任者として活躍している。 

目次

「AIにも対応できる」防衛課題に見あった技術力を認め、顧問に

──はじめに、NSコンサルティンググループの業務概要について教えてください。 

澤田:お客様は国家防衛に関わる官公庁と企業です。防衛省、防衛装備庁に向けては広義のITコンサルティングを、企業に対しては各社のニーズにあわせたIT支援を幅広く提供しています。 

当グループが開設されたのは2022年。売上、規模ともに急成長している背景には防衛マーケットの拡大があります。要因は主に2つ。 

1つは多発する地域紛争や国際情勢の緊迫化を背景に、防衛強化の必要性が叫ばれ、毎年1兆円規模で予算が拡充されつづけていること。

2つ目は、2023年に安保三文書と呼ばれる「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」が改定されたこと。 

いま、各所でシステム改修や運用の変更手続きなどが相次いで行われています。 

渡辺:防衛装備品と聞くと、戦車や航空機、護衛艦、ミサイルなどを思い浮かべる人もいらっしゃると思いますが、近年、急激に重要性が高まっているのは、ITインフラの領域です。 

──具体的にはどのようなシステムが防衛上、重要視されているのでしょうか? 

渡辺:最たるものとして、指揮管理通信システムがあげられます。ここにどのように、AIを適用するかの議論が、世界各国で行われています。 

戦闘の際には、相手よりも迅速な判断が求められますが、人間の判断スピードには限りがある。一方、AIはマイクロ秒オーダーでの実行が可能です。

実際に、無人機を取り入れる国はここ数年で急増しています。この領域において、各国に大きく遅れをとってしまった日本は、早急に倫理面や安全面を検討しながら、何らかのアクションをとらなればなりません。 

──こうした課題に対して、SHIFTはどのような支援を? 

澤田:AIについては、渡辺さんにご紹介いただいた防衛省、防衛装備庁の上層部の方々に具体策を提案させていただきました。

案件化はまだ少し先ですが、スケジュールや実施内容はかなり具体的になってきています。 

渡辺:防衛力強化における喫緊の課題に対して、対応できる技術力、提案力がSHIFTにはあります。

すべての情報システムにとって肝となる品質管理を基盤としていながら、先端技術にも対応できる柔軟性がある。

私が顧問を引き受けたのは、安心してキーマンを紹介できる会社だと確信したからです。 

防衛省と取引実績がある“ひとり目”の従業員として、事業拡大にまい進

──そもそもの話なんですが、SHIFTは官公庁のなかでも特に障壁が高いといわれる防衛省とSETA契約(技術支援業務)を結んでいます。なぜ参入できたのでしょうか。 

澤田:端的にいうと、過去に防衛省との業務実績があった私がSHIFTに入社したことで、参入が叶いました。

防衛省は新規参入する際、企業・個人ともに過去の取引の有無が重視されるため、私自身の経験が活かされたというわけです。 

私が防衛省の案件にはじめて携わったのは、2002年。セキュアOS関連ソリューションを提供する日本高信頼システム研究所を立ち上げてまもないころでした。渡辺さんとお知りあいになれたのもこの時期です。 

その後、大手コンサルティング企業に転職しましたが、防衛省とはずっと取引をつづけてきました。 

──では、澤田さんがSHIFTでひとり目の防衛事業経験者として、どんどん風穴を開けていった、と。 

澤田:そうなんです。実は入社した当初は、サイバーセキュリティ担当を希望していたのですが、経歴を買われて防衛案件をリードすることになりました。

グループ開設後は、防衛マーケットの拡大や法改正といった追い風もあり、順調な歩みをつづけています。 

防衛省そして防衛装備庁からの受託内容はさまざまですが、一方の企業のお客様に対しても、法改正によるシステムの改修や運用変更支援や方式設計、SAP関連支援……と受注内容はさらに幅広くなります。 

防衛業界出身者がぞくぞく入社。コンサルもエンジニアも在籍する、柔軟性ある組織 

──あらためて、グループの強みについて教えてください。 

澤田:多様な経験・スキルをもつ優秀人材が揃っていることが、最大の強みですね。

この2年で、防衛省や自衛官OB、防衛産業に関わる企業や大手外資系・日系大手コンサルティングファームの出身者など、頼れるメンバーがぞくぞくと加わりました。 

コンサルタントだけでなく防衛省のシステムを設計・構築していたエンジニアが数多く在籍しているのもグループの特長です。

設計、開発の実務経験があるメンバーがいると、当然ながらあらゆる業務に奥行きが出ます。 

例えば、調査研究。防衛省の案件の場合、システム整備を完了させるのにおよそ10~15年、装備品にいたっては20~30年の歳月がかかります。

事業の出だしである調査研究でつまずいてしまうと、軌道修正のため、毎年莫大なコストを要してしまいます。 

こうした失敗が許されない重要な任務でも、私たちは確度高く遂行できるナレッジとリソースを持していると断言できます。 

──チーム編成はどのように行っているのですか? 

澤田:防衛関連の事業は、忙しさに波があります。業務期間中、一定の人数をずっとアサインしつづけるのではなく、状況に応じて柔軟に増減する体制にすることで、経費削減や業務効率化を実現しています。 

防衛省や防衛装備庁の案件を受ける際は、最終的にデジタル庁の予算承認が必要になるものがあります。

リソースをはじめ、ライフサイクルコストの低減を念頭に置いて提案していることは、間違いなく案件獲得につながっていると感じます。 

──渡辺さんは、SHIFTのどんなところが長所だと思いますか? 

渡辺:動きがはやいことですね。もともと澤田さん自身、スピーディに対応されるタイプでしたが、組織としてもお客様のニーズをしっかりつかみ、迅速かつ確実にレスポンスしている印象があります。 

将来を見越した採用活動やあらゆる従業員教育システムにも驚かされました。外部に対してだけでなく、社内の取り組みも一切手を抜かない。さらなる成長可能性を感じています。 

プロジェクトの全体像を把握しながら、自らの専門性を発揮できるのが醍醐味 

──これまでもグループとして急成長を遂げてきましたが、今後、どのような展望を描いていますか? 

澤田:3年以内にメンバーを300人まで増やしたいというのが目下の目標です。イメージは防衛省・防衛装備庁対応チームに100人、防衛装備品会社対応チームに200人。 

特にいまは、人手不足にあえぐ装備品メーカーのお客様からの依頼が殺到しています。入札制限に配慮しながら、あらゆるニーズに対応できるよう、コンサルタント、エンジニアともにたくさんの仲間を募っていきたいと考えています。 

──最後に。採用候補者のみなさんに向けて、メッセージをお願いします。 

澤田:AIや量子コンピュータを駆使した装備品の研究開発、情報基盤のトラブルシューティング、護衛艦のネットワーク……「どんな経験をおもちの方でも、何かしらの案件に必ずアサインできる」といい切れるぐらい、さまざまな引きあいがあります。

NSコンサルティンググループだけで1つの会社として成立してしまうほどの勢いです。 

渡辺:幅広い領域で事業展開している分、集結しているメンバーの経験も千差万別。それがSHIFTの面白いところであり、強みですよね。 

防衛産業では、特定のシステム、装備品の1プロセスという限られた枠のなかで仕事をしている人がほとんどです。

しかしSHIFTでは、上流工程から下流工程まで各プロセスを把握し、プロジェクトの全体像を眺めながら、自らの専門性を発揮することができる。 

システムや装備品の構造を把握できるとどうなるか。つくるだけでなく、その先の活用方針も立てられるようになります。

つまり、自衛隊トップが担うような重要なストラテジーの部分も関与できるようになるわけです。 

今後、NSコンサルティンググループの集合知はますます大きく、強靭なものとなっていくでしょう。

国家の防衛構築に携われる。そんな醍醐味が生まれる日もそう遠くないと感じます。 

澤田: 防衛業界での経験を活かしたい方、視野を広げたい方。ぜひご応募ください。お待ちしています。 

──渡辺さん、澤田さん、本日はありがとうございました!  

(※本記事の内容および取材対象者の所属は、取材当時のものです)