管理するPMから判断するPMへ。SHIFTのAI駆動開発が変える仕事の重心

2026/03/16

進捗管理、工数調整、議事録作成。PMとして経験を積むほど、「本来やりたかった仕事」との乖離を感じていないでしょうか。

生成AIの進化により、システム開発の現場は人がつくる前提から大きく変わりはじめています。

そこでSHIFTでは、実装やドキュメント作成をAIに任せ、PMが意思決定と価値提供に集中できる「AI駆動開発」を実践しています。

本記事では、SHIFTが2026年2月3日に開催した「【PMのためのAI活用:AIで減らす作業、濃くする判断】 ~AI駆動開発でひらく、PMからのアーキテクト思考~」の模様をレポート。

AIが「つくる」を代替する時代に、PMが担う役割とは何か。これからのPMのキャリアとは。

大手メガベンチャーや外資系クラウドベンダーを渡り歩き、現在はSHIFTのAIモダナイゼーションサービス部で活躍中の江口が解説します。

  • AIモダナイゼーションサービス部 テクノロジーマネージャー 江口

    20代で独立系SIerにて受託開発を経験後、30代の約10年間はフリーランスPMとして活躍。40歳を機に組織だからできる仕事と裁量を求め正社員へ転向。LINEでのバックエンドエンジニア、AWSのソリューションアーキテクト、総合商社の子会社である医療系スタートアップで開発部長を歴任。2025年11月SHIFTに入社。現在はAIモダナイゼーション部にて、PM兼テクノロジーマネージャーを務める。

目次

1.4億円の工数を1億円へ。SHIFTが提唱する「AIモダナイゼーション」

――江口さんは2025年11月に入社されてから、AIモダナイゼーション統括部のテクノロジーマネージャーとして大活躍されていますね。

まずは、SHIFTが取り組んでいる「AIモダナイゼーション」について教えていただけますか?

江口:SHIFTはAIを「使ってみる」フェーズから「業務プロセスに浸透させる」フェーズにすでに入っており、それはモダナイゼーションサービスについても同様です。

同サービスでは、従来の開発モデルを根本から変える「AIモダナイゼーションモデル」を構築・採用しています。

出典:2026年8月期第1四半期決算説明資料 

従来は要件定義から開発、テストまで人が手動で行うウォーターフォール型でシステム刷新を行うことが一般的でしたが、私たちのモデルでは、これまで人間が時間をかけて行っていた設計や実装のプロセスを、AIが高速に行います(AI駆動開発)。

まずPoC診断により既存のシステムを可視化します。ここではSHIFT DQS(Development Quality Standard)というSHIFT独自のシステム開発フレームワークをもちいたリバースエンジニアリングを行います。

現状のシステムのソースコードから設計書を起こすというような仕組みですね。そのうえでグランドデザインを行って、AI駆動開発へ進んでいきます。

これによって、開発期間や工数も短縮され、プロジェクトコストも例としては従来1.4億円かかっていたプロジェクトが1億円で済むようになる。

お客様にとっては低コストでシステム刷新ができるという大きなメリットがあります。

加えて、PMが本来注力すべき意思決定と顧客価値の議論に集中できる状態をつくれる。これこそ、AI駆動開発の本質です。

SHIFTが考えるAI駆動開発について、テックリードの白木とフルスタックエンジニアの馬塚(まづか)が語った記事も、ぜひご一読ください。

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AI活用が当たり前のAI駆動開発時代、開発体制はどう変わる?

――AI駆動開発における、開発体制を教えてください。

江口:AI駆動開発が普及するとシステム開発体制やプロジェクトメンバーの役割も変わってきます。

これまでの体制はPMがいて、SEがいて、その下にプログラマーがいるというピラミッド構造でした。しかし、これからのAI駆動開発時代は、PMと「AIエンジニア」が中心になります。

そして、これまでプログラマーが担っていた実装部分は、DevinやClaudeといった開発特化のAIエージェント(AIノード)が担うことになるんです。

――AIが実装担当者になるわけですね。

江口:そうです。AIノードは疲れることがありませんし、24時間365日稼働できます。そうなると、逆に人間がボトルネックになりつつあるのがいまの課題です。

人間は寝なければいけないし、判断に迷うこともあります。AIのスピードにどう人間がついていくか、あるいはどうリードしていくかが問われています。

ここでいいたいのは、PMの役割はむしろ重くなるということです。「何を、なぜ、どう変えるのか」を判断できるPMが必要です。

ソースコードから仕様書を再構築。本質的な議論にリソースを集中させる

――開発現場、特にお客様のシステム刷新に関してはどのような課題が多いですか?

江口:一番多いのは、ブラックボックス化ですね。「ドキュメントがない」「担当者が退職して仕様がわからない」「長年の継ぎ接ぎ改修で誰も全容を把握していない」といった悩みです。

そこで私たちは、AIを活用したSHIFT独自のリバースエンジニアリング技術を活用しています。

SHIFT DQS for リバースエンジニアリングではお客様からソースコードをお預かりし、AIで解析を行います。

そして、高品質・高生産性を実現するSHIFT独自のシステム開発フレームワーク「SHIFT DQS」のテンプレートに沿って、関連する46種類のドキュメントを再構築するんです。

――ソースコードから仕様書をつくり直すんですね。

江口:はい。AIがシステム概要を整理し、解析ツールが画面設計書やデータ項目仕様書を作成します。

ロジックやAPIシーケンス図、システムアーキテクチャ図まで、AIがソースコードを読み込んで可視化してくれます。

人間が行うと数ヶ月かかる作業が一瞬で終わるイメージですね。

現状分析やドキュメント作成という可視化の工数を劇的に削減できるので、その分のコストメリットをお客様に還元できますし、浮いたリソースを「どうシステムをよくするか」という本質的な議論にまわすことができます。

管理から「意思決定」と「合意形成」へ。AI時代にPMが果たすべき使命

――AI駆動開発において、あり方が問われるのはプログラマーだけではありませんよね。実装やドキュメント作成をAIが担う場合、PMの役割はどう変わるのでしょうか?

江口:PMの仕事は、管理から意思決定と提案へシフトします。

例えば、初回ヒアリングの議事録作成や課題抽出もAIが行います。AIに「この議事録から、セキュリティ、コスト、保守性の観点で課題を抽出して」と指示すれば、整理されたレポートが一瞬で出てきます。

重要なのは、AIが出した技術的な課題を、お客様に伝わる言葉に翻訳することです。

例えば「ライブラリのバージョンが古い(EOL)」という技術的負債を、AIはセキュリティリスクとして抽出します。

「クラスが数万行ある」というスパゲッティコードの状態は、保守性の欠如やコスト増として可視化されます。

PMはこれを使って、技術の話ではなく「経営課題」としてお客様と対話するんです。

――AIが多様な役割を担っているのですね。人間には、どんな使命があるのでしょうか?

江口:AIの提案に対する判断と、お客様との合意形成です。

例えば、AIが「このシステムはマイクロサービス化すべきです」と提案してきたとします。

でも、お客様の予算や組織体制、システム規模を考慮すると、マイクロサービスは過剰で、「モジュラモノリス(分割可能なモノリス)」の方が適切な場合がある。

そこで「お客様の現状を鑑みると、こちらの構成がベストです」と判断し、お客様と握る。これがこれからのPMの仕事です。

つまり、これからのPMは、メンバーの工数や進捗の管理ではなく、技術的な意思決定やお客様への価値提供に集中すべきなんです。

「つくる」技術はAIに置き換わりますが、「何をどう変えるか」という意思決定は人間にしかできませんから。

【Q&A】AI時代を生き抜くためのマインドセットと、いますぐはじめるべきこと

――ここからは、参加者から寄せられた質問に答えるセクションです。

Q. これからAIが発展していくなかで、PMの仕事はどう変わっていくと思いますか?

江口:結論からいうと、PMの仕事はなくなるのではなく、役割の重心が変わります。

SHIFTにおいてPMは、進捗や工数を管理する役割から、技術的な選択や投資判断に関わる意思決定者へとシフトしていきます。

実装やドキュメント作成といった作業はAIが担えるようになりますが、お客様のビジネス背景や組織状況を踏まえて「どの選択が最適か」を判断し、合意形成する役割は人間にしか担えません。

お客様自身がAIを活用してシステムをモダナイズできるようにならない限り、その意思決定を支援する専門家としてのPMの価値はむしろ高まると考えています。

Q. AIとどのように向きあっていけばいいと思いますか?いまできることは何でしょうか。

江口:まずは、自分が日常的に行っている業務をAIで代替・補助できないかを考えることが第一歩です。

たとえば、

  • 議事録作成
  • 課題整理
  • 情報収集や比較検討

といった作業は、すでにAIで効率化できます。

仕事で使うハードルが高い場合は、プライベートでさわってみるのも有効です。

重要なのは、AIを「便利なツール」として使うだけで終わらせず、「どの業務をAIに任せるべきか」と最適なプロセスを設計する視点をもつことです。その視点が、将来的にPMとしての価値につながります。

自分がどのようなキャリアを描きたいのか、AIを活用してどう意思決定するか考えることも大切です。

その際は、メンバーやお客様に影響を与えられる人間として成長することを前提に、自分に残された仕事について考えをめぐらせてみてください。

Q.AI時代、どんな方の市場価値が上がると思いますか?

江口:市場価値が上がるのは、AIを前提とした業務プロセスを設計できる人、そしてAIのアウトプットを使って意思決定できる人です。単にAIツールを使えるだけではなく、

  • どこにAIを使うべきか
  • どこは人間が判断すべきか

を切りわけられる人は、どの組織でも求められるようになると考えています。

Q. 「AIを使って意思決定できる人」とは、どのような経験をしている人が当てはまるでしょうか?

江口:AIのアウトプットをそのまま採用するのではなく、自分自身で妥当性をレビューできる経験を積んでいる人だと思います。具体的には、

  • AIを使わなくても、自分なりの仮説や結論をもっている
  • そのうえでAIに問いを投げ、壁打ちする
  • 出てきたアウトプットの意図や前提を読み解く

こうしたプロセスを何度も繰り返すことで、「AIを使って考える力」が身についていきます。AIに思考を委ねるのではなく、思考を深めるためにAIを使う。

その姿勢が、これからのPMには求められると思います。

――江口さんのキャリアやSHIFTを選んだ理由を紐解いた記事も、ぜひ読んでみてください。本日は、ありがとうございました。

(※本記事の内容および取材対象者の所属は、イベント開催当時のものです)



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