SHIFTのBPaaSが、業務変革のジレンマを解く。運用の壁を突破する「三位一体」の勝ち筋

2026/03/06

ソフトウェアテストのリーディングカンパニーであるSHIFTが、新たに「BPaaS(Business Process as a Service)」領域へ本格参入しました

労働人口の減少という日本の構造的課題に対し、SHIFTは単なる「業務代行」ではなく、ビジネスプロセスそのものをアップデートする生産性革命を仕掛けます。

なぜいま、SHIFTがこの領域で圧倒的な勝ち筋を描けるのか。BPaaS推進部を牽引する大平へのインタビューを通じ、業界の常識を打ち破る「三位一体」の戦略と、その根底にある飽くなき挑戦心に迫ります。

※以下、決算説明資料参考。BPaaSはSHIFTの主要サービス4つのうちの一つに据えられ、40兆円という巨大市場で利益率の高い事業モデルを確立して広げていけるかが問われている。

2026年8月期第1四半期決算説明資料P.18より引用

  • BPaaS推進部 部長 大平 祥人

    2015年、新卒入社。従業員数百名規模のフェーズから、現在の急成長を現場最前線で支えつづけてきた。「優秀な人間が、誰よりも泥臭く考え抜く」という社風に惹かれ、入社後は大手ネット企業の現場責任者を歴任。その後、M&Aに伴うグループシナジーの創出やアライアンス推進を主導し、直近3年間は自社SaaS管理ツール「ワスレナイ」の立ちあげ・グロースを牽引した。2026年1月より現職。

目次

SaaS管理ツール「ワスレナイ」の提供からみえた顧客の本質的な課題

――大平さんは2026年1月からBPaaS推進部を任されていますね。まずは簡単に自己紹介をお願いします。

大平:新卒でSHIFTに入社して11年目になります。私が入社したころは、売上がまだ20億円ほど、従業員数も100〜200名規模で、マザーズ上場前のフェーズでした。

入社後はテストだけでなく、グループ会社との連携やアライアンス推進、直近の3年間は、自社開発のSaaS管理ツール「ワスレナイ」※の立ちあげからグロースまでを担当しました。

※ワスレナイとは:SHIFTが開発した、企業のIT資産を一元管理するシステム。SaaSとハードウェア、両方の管理ができる。ユーザー企業がもつアカウントや契約内容を可視化して、管理における対応漏れなどをなくすことで、コスト削減やセキュリティリスク予防にも貢献する。

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――ワスレナイから現在のBPaaS事業にはどうつながっていくのでしょうか?

大平:きっかけは、ワスレナイのお客様と接するなかで、単にツールを導入するだけでは解決できない「現場の疲弊」がみえてきたことです。

例えば中小企業様では、人手不足やコスト高騰のなかで、業務オペレーションをまわす体力そのものが限界にきています。

大手企業でも店舗数を急激に伸ばしている小売業者様など、外部のベンダーがそのスピードについていけておらず対応品質が落ちています。

「ツールを入れて業務を効率化しましょう」と提案しても、それを運用する人が足りない状況で、「業務プロセスごと代行してほしい」という切実な声をいただくようになりました。

ワスレナイ自体は無料のSaaSですが、そこで接点をもったお客様のシステム運用や業務プロセスそのものを請け負うことで、ビジネスとして成立することを証明してきました。

――なるほど。ワスレナイをきっかけに、業務全体を巻きとる形になっていったわけですね。

大平:はい。情シス部門の枠を飛び越え、人事給与や営業、経理まわりのご支援もしていました。

昨今はAIエージェントなども出てきていますが、手段がAIであろうとなかろうと、お客様の事業を維持するために「プロセスごと代行する」、つまりBPaaSとして省人化しながらまわしていく。

これが我々の辿り着いた答えです。

ジレンマを突破する。勝ち筋は「コンサル×IT実装×オペレーション」の三位一体

――BPOやBPaaSの領域には競合も多いと思います。SHIFTがこの領域で勝負できる強み、あるいは「勝ち筋」はどこにあるのでしょうか?

大平:この業界に存在する「ジレンマ」を壊せる点です。

既存のBPOベンダー様や派遣会社様は、基本的に「人月商売」です。つまり、業務を効率化して人を減らしてしまうと、自分たちの売上が下がってしまう。

そのためテクノロジーによる抜本的な改善が起きにくいという、構造的な課題があるんです。

我々は後発だからこそ、業界の慣習に縛られず「顧客利益の最大化」に振り切ることができます。既存モデルへの忖度なしに、はじめから徹底した効率化やDXを提案できる。

「顧客のコストを下げながら、価値を最大化する」という、当たり前でいてむずかしかった変革をリードできる立場にあることが、SHIFTの最大の武器です。

――利用顧客とSHIFTの向いている方向が完全に一致しているのですね。では、実行力の面ではいかがでしょうか?

大平:BPaaSの成功には、3つの要素が必要だと思っています。「コンサルティング力」、「AIなどを組み込むIT実装力」、そして「泥臭くまわすオペレーション力」です。

SHIFTは、コンサル出身者である経営陣がつくりあげた「標準化ノウハウ」、テスト事業で磨いた「オペレーショナルエクセレンス」、そして最新の「AI・IT実装力」のすべてを内製しています。

この三領域を垂直統合しているからこそ、単なる外注先ではなく、お客様の事業そのものを進化させる「BPaaS」が実現できるのです。

世のなかでは「生成AIで業務効率化」といわれますが、チャットボットを入れただけで終わっているようなケースが非常に多いです。

我々は、AIをどう従業員に使わせるかだけでなく、その先の業務フロー自体をアプリケーションに落とし込んで自動化するところまで踏み込みます。

――単なるツール導入ではなく、業務プロセスそのものを再構築するわけですね。

大平:はい。手段にはこだわりません。よいSaaSがあれば他社のものでも組み合わせますし、なければ自社でAIエージェントをつくる。

「技術は急速に進化する」という前提で、柔軟に、そして確実に省人化を実現していきます。

ONE-SHIFTでの課題解決。約50%の工数削減を実現する「AI×BPO」

――どうやってお客様の課題を解決しているのか、具体的な事例を教えてください。

大平:象徴的なのが、AI自動応答ツール「AICO」を活用したITヘルプデスクの変革です。

店舗ビジネスを展開するお客様では、ITインフラ(POSレジやネットワーク)に関する現場からの問い合わせが絶えません。

AICOは、現場スタッフからの電話による問い合わせの一次対応をAIで自動化。パターン化された問い合わせはAIが裏で捌き、解決できないイレギュラーなもののみをオペレーターにつなぎます。

さらに画期的なのは、通話内容をAIがリアルタイムで要約し、SalesforceやServiceNowなどのチケット管理システムへ自動連携する点です。

これにより、オペレーターは「話を整理しながら対話し、タイピングもして記録する」という二重負荷から解放され、ホスピタリティの向上に集中できるようになります。

――ヘルプデスクやコンタクトセンターの運営を行う、グループ会社のSHIFT PLUSが得意とする領域ですね。

大平:まさにAICOはSHIFTのグループ会社であるSHIFT PLUSが展開したもので、社内連携しています。

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AIに不適切な回答をさせないための「ガードレール」の設定や、過去の膨大な対応履歴を分析して「どの問い合わせを自動化すべきか」という判断。

この泥臭いチューニングができることと、学習サイクルをまわせることこそが私たちの強みであり、ONE-SHIFTで提供できる価値なんです。SaaSを単に導入するだけでは解決しない、運用の妙ですね。

――実際にどれくらいの成果が出ているのでしょうか?

大平:わかりやすい実績でいうと、大手介護事業者様や自動車メーカー様の事例があります。年末調整に関する問い合わせ対応にこの仕組みを導入したところ、作業工数が約50%削減されました。

問い合わせ対応だけでなく、その後の処理も含めて劇的な効率化が実証されています。

生産性を上げた先に、「人間らしく働ける社会」を目指したい

――今後広がりを見せそうな事例はほかにも多そうですね。

大平:そうですね。IT運用に関しては事例も増え土台が築かれています。一方で、業務側はまさにこれから拡大していく立ちあげフェーズ。

新しい仕組みや価値をいっしょにつくり上げていける、チャレンジングな環境が広がっています。

例えば、自社独自の受発注システムと周辺のSaaSが分断されているようなケースには、大きな伸びしろを感じます。

多くの企業では、そのシステム間の隙間を派遣スタッフの方々による手作業で埋めていますが、そこにはつねに属人化や引き継ぎのリスクがつきまといます。

ここを自動化で繋ぎ込み、40人分の人件費削減を実現した事例も出てきました。

つまり、人が担っていた「システム間の橋渡し」をAIやAPIで代替するアプローチです。

現在、経理部門でもAI主導の自律型オペレーションを提案しています。請求書と発注書の照合から、支払い判断、仕訳データの生成、銀行振込データの作成までを一気通貫で行う。

こうした「目視さえ不要な世界観」を、新たなスタンダードとして広げていきたいですね。

――最後に、大平さんが考えるBPaaSの社会的意義を教えてください。

大平:究極的には「日本の生産性を上げる」こと、そして「人が人間らしく働ける社会」をつくることです。

例えば、AIと我々が24時間365日業務をまわすことで、契約書のレビューがはやくなり事業スピードが上がる。

あるいは、月末の給与計算で泣きそうになっていた担当者が、はやく帰宅して家族と夕食を囲めるようになる。「お父さん、今日はやいね」って子どもに喜ばれるような。

そういったベネフィットを生み出したいですね。コスト削減や経営指標の改善はもちろん重要ですが、その結果として、従業員が幸せになり、企業がグローバルからも評価されるようになる。

そんな未来を、泥臭く、かつ最先端の技術を使って実現していきたいと思っています。

――今後、どのような方といっしょにこの事業を伸ばしていきたいですか?

大平:技術への貪欲さはもちろんですが、何よりも「ホスピタリティ」ある方ですね。

AIが要件分解や定型業務を代替していくからこそ、人間に求められるのは、お客様が言語化できない悩みを汲み取り、社内の知見を寄せ集めて解決策を推進する力。

お客様の事業をどう導くべきかという視点をもって考えぬける方にぜひ仲間になってほしいですね。

1年先の技術すら予測できない激動の時代において、固定観念を捨て、アジャイルに変化を楽しみながら「日本の生産性を変える」という泥臭い挑戦にワクワクできる方をお待ちしています。

(※本記事の内容および取材対象者の所属は、取材当時のものです)

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