定年退職直前だった59歳で、SHIFTに転職。長年、百貨店のインフラ構築を手がけてきた知見を活かして、ITソリューション部インフラサービス2グループで大活躍しているのがO.S.です。
「いまは某メーカーのインフラリプレイス案件に携わっています。これまでの経験が思っていた以上に活きていますね。大変ではあるけれど」と笑います。
引きあいの多いSHIFTのインフラ領域。仕事の内実とその醍醐味をO.S.へのインタビューを通して、お伝えします。
目次
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サービス&テクノロジー本部 ITソリューション部 インフラサービス2グループ O.S.
2023年2月入社。新卒で入った会社でアプリ開発を手がけた後、大手百貨店グループのシステム系子会社に転職。32年にわたってインフラ・ネットワークの設計・構築・運用を手がける。2023年に定年退職を直前にして、SHIFTへ転職。インフラ系のプロフェッショナルとして、PM、PMOとして活躍する。大学院に通う息子がいる。
70ものプロジェクトに横串を刺す
――インフラ関連のプロが集まる「インフラサービス2グループ」に所属されています。具体的にはどのような仕事を手がけるチームなのでしょう?
O.S.:インフラにまつわる全方位の案件です。
オンプレミスのインフラ基盤の構築やリプレイス、データ分析の領域、もちろん昨今多いオンプレミスからAWSなどのクラウド化への対応、さらにアプリ領域にも踏み込んだ案件も増えています。
いうまでもなく世間的にはインフラエンジニアが不足しています。しかし私のいるインフラサービスグループには、幅広なインフラエンジニアリングに長けた人材がいます。
コンサル的な提案までできるインフラ領域のプロフェッショナルが集っているのです。だからこそ、お声がけいただく機会が多いのだと思います。
――なかでも、ご自身が手がけている案件は難易度が高いプロジェクトだと伺いました。
O.S.:はい。某メーカー系金融企業のインフラリプレイス案件です。それ自体は突出して難易度が高いとはいえませんが、とにかくプロジェクトの数が多いのが特徴です。
2015年~2016年の間に、一気にシステムを更改したため、約8年がたったいま、70ものシステムがEOL(サポート終了)を迎えるタイミングを迎えていました。つまり、リプレイスプロジェクトが70件ほどあるのです。
――70ものシステムをリプレイスするのは、あまり経験がなかったのでは?
O.S.:ええ。前職で30年以上、インフラエンジニアとしてリプレイス案件も多く手がけてきましたが、もっとも多く同時進行したときで3~4件程度でした。
本案件で実際は70プロジェクトが同時に走ることはないのですが、最大で20件以上は同時進行します。どれかが終わったと思ったら、また別のプロジェクトが次々に走り出す…といった具合ですね。
――どうやってこの大量のリプレイスをまわしているのでしょう?
O.S.:そもそもお客様からの依頼は「インフラリプレイスの要員が不足している。プロジェクトの立ち上げ支援から入ってほしい」というものでした。
そこに私がまず先発隊として単騎で入り、プロジェクト全体の企画からご支援していきました。
お客様といっしょに、3年間70件のリプレイス案件に関して「どれをどこから手をつけていくか」のスケジューリングからスタート。パズルのように表をつくりあげましたね。
――リプレイスのプロジェクトが動きはじめてからは?
O.S.:私から提案する形で、プロジェクトごとの各PMを後方支援する、PMO(Project Management Officer)の役割を担いました。
70のプロジェクト、それぞれにPMを立てますが、さすがにお客様側にPM経験者がそれほど揃っているわけではありません。はじめてPMをする方が何人もいました。
しかし、手とり足とり、指導して仕事を理解してもらう時間はありません。そこで、PMOとして同時並行して走らせるプロジェクトに横串を指し、都度、プロジェクトの進行管理とチェックをする体制を整えました。
具体的には、WBS(スケジュール管理ツール)などのドキュメントは週次でチェックし、「最低限のタスクを終えているか」「品質を保持できているか」などをくまなく見ていきます。
クリアしていない場合は、次回までに修正すべきポイントなどをお願いして、追いついてもらう、と地道に進めていきました。
――PMOとして、意識されていることは?
O.S.:仕組み化は徹底しますが、できるだけ簡素に、できるだけ機械的にプロジェクトを進められるように意識しています。
優れたPMも、経験値の浅いPMにとっても、できるだけ効率的に進めつつ品質を保持するということが理想的で、その点を考えてマネジメントをしています。
――そうしたノウハウというか、勘所は前職で習得されたものなのでしょうか?
O.S.:そうですね。成功のための条件より「これをやったら失敗する」という失敗事例を身をもって経験しているので、そういったことを徹底的に避けていこうと考えていました。
仕組みはつくっても、ハードルは誰しも乗り越えやすいよう低く
――前職は百貨店グループのシステム子会社だったそうですね。
O.S.:ええ。新卒で一社を経た後、バブル真っ盛りの1990年に大手百貨店のシステム系子会社に転職しました。
そこから32年間にわたって、インフラの設計、構築、メインテナンスまでを手がけるインフラエンジニアとして従事していました。
10年目に課長、15年目に部長と役職があがりましたが、一貫してPMを手がけ、また障害が起きれば対応の現場をリードするなど、完全にプレイングマネージャーでしたね。
――百貨店、というか流通業界のICT化がどんどん進んでいったタイミングで前線にいた感じでしょうか。
O.S.:おっしゃるとおりですね。入社当初は勘定系といえばまだ汎用機が動いていました。ただすぐにUNIXが出はじめて、導入。その後、Windowsでシステムをつくりはじめる……といった調子でめまぐるしく変遷を繰り返して、ネットワークもそれに伴ってどんどん進化させてきました。
――そうしたなかで、いま活きる「失敗事例」を積んだ?
O.S.:はい。ネットワークの草創期から近代化をずっと図っていくタイミングでしたからね。エンジニアがみな同じスキルや知識をそろってもっているとはいえない状況でした。
それでもマネージャーとしては「ここまでできて当たり前」「これができなければ標準的ではない」といったハードルを高く設定しがちになり、案の定、現場が混乱しました。
いつしか仕組みはつくっても、ハードルはつねに低く設定、誰しも乗り越えやすいようプロジェクトを進めることを意識するようになりました。PMも現場スタッフひとりひとりも動きやすく、迷わずに実務に迎えることが第一、と考えています。
――そうした意識と手法によって幾重のプロジェクトがうまくまわっているわけですね。ところで、PMOながら、PMとしても活躍されはじめたと伺っていますが、どういうことなのでしょう?
O.S.:仕組みはシンプルに動きやすく…と考えていますが、それでも何人かはPMとして若干、品質が上げられないプロジェクトも出てきていました。PMを務めていたのは外部パートナーの方だったのですが、PMOとしても少し歯がゆさを感じていました。
そのとき、お客様から「SHIFTにPMも担当してもらえないか」とお話があったのです。
そのころには私以外に数人、SHIFTからの人員を増やしてもらっていたうえ、全体を通してはPMOとしての仕事はうまくまわっていて、私の業務量に少し余裕がある状況でした。
「ならば、私がぜひやらせていただきます!」と、2024年1月からPMとしてやらせていただくことになりました。
――さらに高いレベルでプレイングマネージャーをされている、八面六臂の大活躍ですね。
O.S.:いやいや(笑)。
ただ、そもそも私は前職時代、定年して再雇用となった場合に業務は変わらないのに、給料が3分の1に下がることが見込まれ、転職を決意しました。
当初は「ほとんど1社の情シスのような仕事をつづけてきた自分に、お客様を相手に通用する技量があるのか……」と強い不安がありました。
正直なところ、今回の複数プロジェクトに参画する際もうすく不安はありました。けれど、いざ動きはじめてからはいままでの経験を十二分に活かして推進できる、と日々、実感しています。
インフラの知見はもちろんですが、長年働いてきたなかで、人の心の機微や、どう伝えたら、動いてもらえるかといった普遍的な知見はどこでも活用できるんだなと思いました
決断して本当に正解だったと感じています。
地方百貨店の「一人情シス」問題で気づいた、ビジネスの芽
――さらに新しい挑戦も動きはじめているとか。
O.S.:そうですね。少し話が戻りますが、転職時の選考面接で、百貨店のシステムを手がけていたときに感じていたジレンマについて話をしました。
前職グループ内の地方百貨店にはシステムに知見をもつ方がほとんどいませんでした。元販売担当のような方が、いわゆる「ひとり情シス」のように突然配属されて、いかにも属人的に仕事をしていたのです。
いわばDXで効率化などをはかるべき場所ですが、リソースが足りずに四苦八苦していました。だからといって、そこに人材を補充できず、もどかしさを感じていたのです。
SHIFTとの選考面接時に、「同じような課題を抱えている中小企業や、地方の支社などは多々あるのではないか」「こうした課題を巻きとるようなサービスをSHIFTでできるのではないか」とプレゼンをしました。すると「まさにそうした事業をはじめたいんだよ」と返されまして。
――その事業化が動き出している?
O.S.:組織的な役割分担のいろいろがあって、私はお手伝いくらいになると思いますが、こうした提案や新規事業のチャレンジ、さらに新たな社内制度にいたるまでが、SHIFTではすぐに走りはじめます。
ベンチャーの空気のようなものが根づいていて、とても新鮮ですし、私の志向性と意外とフィットするんだな、と自分でも少し驚いていますね。
――ところで、前職では定年を迎えた場合は再雇用、給与が減りそうだったとのことですが、SHIFTに入られてどう変わりました?
O.S.:おかげさまで前と同じどころか、あがりましたね。
――SHIFTは定年も70歳です。
O.S.:そうですね。実際、インフラチームにも私より年上の方がいらっしゃいますからね。
年齢に関わらず、これからも自分の経験を活かして、前向きにさまざまなことに関わっていきたいですし、同じような想いをもった方々といっしょに仕事に向き合っていきたいと思います。
(※本記事の内容および取材対象者の所属は、取材当時のものです)