「ゲーム開発に携わるすべての人を幸せに」
これは、SHIFTのエンターテインメント事業が掲げるビジョンです。事業の発足は10年近く前の2014年。
当初はテスト事業を中心に拡大してきましたが、現在では企画支援やPM支援など、ゲーム開発全体を支援するサービスにまで幅が広がっています。プランナー・PMも多く在籍し、多様な人材が集う組織に成長しました。
その成長の過程である2020年、長年ゲーム業界に携わり「業界の課題を解決したい」と思いつづけてきた井手勝也が、SHIFTに参画。 彼は現在エンターテインメントサービス部の部長を務めています。
「業界の底上げをSHIFTから。業界に新しい価値提供をしたい」という井手がいま考え、実行しつつある、ゲーム業界の課題に対する打ち手の、すべてを語ります。
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エンターテインメントサービス部 部長 井手 勝也
オンライン/ソーシャルゲームの開発エンジニアや、プロデューサーとして経験を積み、新規事業の立ち上げや同統括、M&Aにも従事。自身が起業した会社でサービス立ち上げ・受託開発・事業提携などに携わった実績があり、経営目線も併せもつ。
目次
“面白さ”と“品質”のせめぎ合い。SHIFTは一つの解をもっている
私はもともとゲームが好きでプログラミングを覚えました。オンラインゲームやソーシャルゲームの開発エンジニアやプロデューサーとして経験を積み、新規事業の立ち上げや統括もしました。AIベンチャーを経営した経験もあり、経営者としての視点でも業界を見つめてきたつもりです。
私がSHIFTへ入社したのは、ずっと感じてきた日本のゲーム産業における2つの大きな課題を、自身の培った技術力を活かしながら、SHIFTの仲間と一緒であれば、解決できると感じたからです。
課題の1つは、開発がどんどん複雑化し働く人たちが疲弊しきっていること。もう1つは、ゲーム業界ではキャリア形成がむずかしいこと。いずれも、もう長くゲーム業界に巣くっている誰もが認める課題です。慣習として諦めている方も多いかもしれない。
企画側はリリースの直前ギリギリまでゲームの面白さを追求しつづけ、エンジニアは不具合やバグを防ぐために、はやく切り上げるように詰め寄る。ゲーム開発の現場ではよく見る光景です。
巨大な投資をしているが故にヒットへのプレッシャーもありギリギリまでチャレンジする気持ちも、品質を重視するエンジニアの立場もよくわかります。たとえヒットしても発売後に不具合やバグが出ては本末転倒だし、品質はよいけれどまったくヒットしなければ事業として成り立たちませんから。
しかしこれが開発のプロセスを複雑にし、働く人を疲弊させる要因でもあります。その上、日本のゲーム産業はマンパワーに頼る部分がまだまだ多く、結果的に業務過多を招き、さらに疲弊を重ねてしまう。
“面白さ”と“品質”とのせめぎ合いはエンターテインメント事業という性質上、変わりえないけれど、エンジニア視点で見れば、人の手を介さずに効率化できる部分はあるはずだと私は考えています。ギリギリまで開発をしても、高い品質を担保できる、そんな仕組みやシステムなどが必ずあるはずです。
その1つの解が、非常にSHIFTが得意な方法、効率的な適材適所で分業制にするスタイルです。業務全体をエキスパートの判断が必要な部分と、未経験者や機械でもできる作業に切り分け、業務内容にマッチングする人材を配置する。
いちはやくスタートした、作業と判断を切り分けた少数精鋭チームの体制でも、すでに成果を上げています。お客様にも質の高い仕事を提供できるし、SHIFTのメンバーも自分たちの能力を最大限に発揮できるし、ウィンウィンの関係を構築できています。
「SHIFTにしかできない」「あなたにしかできない」を生み出す
リリース前に不具合やバグがないかチェックするテスターは、もともとゲーム好きな方が多いです。ただ現状の業界では、どんなに意欲や能力があってテスターは、アルバイトが大半で、その先のキャリアパスがほぼないに等しい。せっかく好きでテスターから入っても先が見えないのは、非常に重要な問題だと捉えています。
この先のキャリアパスをどうつくっていくか。優秀なテスターが、エンジニアやプランナーへとキャリアアップできる道筋をつくるのが、SHIFTの仕事だと思っています。まずは私たちが模範例をしめすことで、業界の底上げをしたいんです。
キャリアアップができなければ、収入も上がりません。収入も業界の課題です。ゲームの場合は、売上が300万円で終わるタイトルもあれば、1,000億円を売り上げるものもある。跳ねればどこまでいくかわからない世界です。
“このエンジニア、プロデューサー、テスターがいれば、1,000億円を売り上げられる可能性が上がる”とすれば、企業はぜひ頼みたいとなるでしょう。だからこそ「SHIFTにしかできない」「あなたにしかできない」といわれるような、みんながこぞって必要とするエキスパート人材を育てたいですね。
そのためにはナレッジを標準化した教育も大切ですが、何よりもチャレンジの機会を増やすことが有効だと考えています。その道のエキスパートへ成長するには、自分の特性を知り、磨くことが大切だからです。
でも誰しも自分の強みを客観的に認識はしづらい。だからSHIFTでは、いろんなプロジェクトにアサインして、できるだけ多くの経験者と対話できる機会をつくる。テスターのなかにも、プランニングに強い人もいれば、きっちりと物事を運ぶのが得意なエンジニア寄りの人もいる。
そうした特性を、周囲の経験者たちが見つけ拾い上げていく環境を目指しています。人によって気づく部分は異なるだろうから、できるだけ多くの人と触れる機会をつくるんですね。
そういう意味では、SHIFTによりマッチするのは、多方面に興味関心が強くてチャレンジしたい人ですね。やはり取り組んでみないと本人の特性は見つかりづらいですから。チャレンジ精神旺盛な方は、どんどん成長できる環境です。
ゲーム開発会社ではなく、あえてSHIFTを選ぶメリット
いま正社員として活躍する人のなかには、アルバイトから登用されたメンバーも多いです。テスターからはじめて設計業務やリーダー業務を極め、管理者として活躍している人や上流の開発工程全体のプロジェクトマネジャーとして活躍している人もいます。
プロジェクトマネジャーになれば視野は一気に広がり、見えてくる世界も変わります。キャリアを積んで、新たな仕事の面白さ楽しさを見つける人も多いでしょう。
ゲーム会社に勤めると1案件に何年も費やすために、幅広く新たな知見を得たり技術を習得したりするチャンスが減ってしまうこともあります。
その点、SHIFTはスピーディに数多くの案件を担当ができるので、スキルアップはもちろん業界の潮流まで捉えることができます。ゲーム業界のなかでSHIFTを選ぶ大きなメリットといえると思いますね。
この3年ほどで案件としては、大手企業のコンシューマーゲームが急速に増えています。1つのタイトル支援が順調に進むとお客様の信頼を得て、携わる部分も拡大します。アルバイトとしてプロジェクトに参画し、お客様の評価が非常に高く1~2年でマネジャーに昇格した方もいます。
一気にキャリアを駆けあげるという表現がぴったりですね。同じように才能のある方は、他にもまだまだ世のなかや社内にいると思っています。そういう才能を取りこぼさないことは、私の重要な役割です。
目指すは世界。国内ゲーム産業の活性化と、個人のキャリアアップは密接につながっている
私がSHIFTに入社した当時、SHIFTのエンターテインメント事業は立ち上げから6年程しか経っていませんでしたが、急速に事業が伸びていました。国内大手企業のほとんどと取引があり、多くの企業からテストの依頼先としてSHIFTの名があがるほどに成長していました。
ただし業界を変えるにはテストだけではダメで、品質を高めるためにはより上流へ行く必要があります。上流の開発への認知度ももっと拡げていきたいですね。
目指すのは、「企画や開発、エンジニアなど、ゲーム業界をひっぱっていく人たちを集めたら、みんなSHIFTの人だった」というような組織。ゲームにかかわるさまざまな分野の第一人者がSHIFTにいると。そういう風に人を育てたいんです。
もう随分長く日本のゲーム産業は停滞しています。若い人たちは、海外のゲームを楽しんでいる人も多いのではないでしょうか。なんとかこの状況を打破して、日本のゲーム産業を活性化させたいですね。
そうしないと、ゲーム業界で働く人たちのキャリア形成も収入アップも進まないと思っているからです。日本のゲーム産業の活性化とキャリアアップは密接につながっています。
そのために目指すのは世界。日本のゲーム会社が、世界で存分に戦えるプラットフォームをつくりたいんです。基盤づくりは、SHIFTが強みを発揮できるところでもあるから。
大手企業も中小企業も、SHIFTの土台をベースにヒットするゲームを創造し世界へ出て行く。そんな支援をしたいと考えています。ゲーム産業という視点と、働く人という視点の両方で、新たな価値提供をSHIFTから発信していきたいですね。
外部協力:新川 五月(執筆)
(※本記事の内容および取材対象者の所属は、取材当時のものです)